スズキ・アルト・ハイブリッドX(FF) 価格:CVT 125万9500円 試乗記
9世代目の新型アルトがデビューした。アルトは1979年のデビュー以来、累計販売526万台を誇るベーシックカー。1stモデルは「47万円」の低価格で話題をさらったが、最新モデルも「94万 3800円」からの設定と、最もリーズナブルなクルマの1台だ。
「気軽に乗れる、すごく使える、安心・安全Kセダン」をコンセプトに掲げる新型は、歴代初のマイルドハイブリッドを設定するとともに、全車に安全運転支援システム「スズキ・セーフティサポート」を装備。内外装を愛着がわく造形で仕上げた。
試乗車はトップグレードのハイブリッドX(125万9500円)。スタイリングは、従来の実用イメージから、お洒落な印象に変身。どこかイタリア車を思わせる。車高を従来比で50mm高め、Aピラーを立てたデザインが個性だ。
室内は実に広い。室内長×幅×高は2015×1280×1260mm。従来比で45mm高く、25mmワイドになった効果は絶大。驚くほどのスペースを確保している。中でも後席のルーミーさは特筆レベル。無理なく足が組めるほどのゆとりがある。ただし、後席使用時のラゲッジスペースはややタイト。後席足元空間を少し削って、荷室を拡大したほうがトータルの使い勝手は増すのではないか、と思った。
驚いたのは高い質感だ。インパネ/ドアパネルとも樹脂材の仕立てがよく、デザイン性も高水準。シートにデニム調のファブリックを採用するなど、居心地がとてもいい。ベーシックモデルとは思えないほどだ。
装備も充実しており、シートヒーター、フルオートAC、USBソケットなど、日常ユースに必要なアイテムは標準装備。これでメーカーオプションの7インチディスプレイオーディオ(11万2200円)を装着すれば万全。ディスプレイオーディオには 360度モニターやヘッドアップディスプレイがプラス装備され、スマホ連携でナビ機能も活用できる。
走りは軽快、スムーズだ。パワートレーンは新世代の直3DOHC12V(49ps/58Nm)とモーター(2.6ps/40Nm)の組み合わせ。車重が710kgと、ワゴンRスマイル比で160kgも軽いこともあってパフォーマンスはなかなか強力。加速時に巧みにモーターがアシストし、街の流れに無理なく乗れる。その気になればリードすることも自在だ。WLTCモード燃費が27.7km/リッターと、Kカートップを誇る点も新型の大きな魅力である。
アルトは、乗るほどに生活になじみ、自然体でつきあえる逸材だった。スズキのクルマ作りの高い実力を実感した。
グレード=ハイブリッドX(FF)
価格=CVT 125万9500円
全長×全幅×全高=3395×1475×1525mm
ホイールベース=2460mm
トレッド=フロント:1295×リア:1300mm
最低地上高=150mm
車重=710kg
エンジン=657cc直3DOHC12V(レギュラー仕様)
最高出力=36kW(49ps)/6500rpm
最大トルク=58Nm(5.9kgm)/5000rpm
モーター最高出力=1.9kW(2.6ps)/1500rpm
モーター最大トルク=40Nm(4.1kgm)/100rpm
WLTCモード燃費=27.7km/リッター(燃料タンク容量27リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=24.0/29.2/28.6km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=155/65R14+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=4.4m
主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/充電制御付きアイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ロックアップ機構付きトルクコンバーター/自動無段変速機
主要装備:軽量衝撃吸収ボディ(TECT)/デュアルカメラブレーキサポート/前後誤発進抑制機能/後退時ブレーキサポート/リアパーキングセンサー/車線逸脱警報/ふらつき警報/先行車発進お知らせ/ハイビームアシスト/エマージェンシーストップシグナル/ヒルホールドコントロール/6エアバッグ/LEDヘッドランプ/キーレスプッシュスタートシステム/エコクール/フルオートAC/前席シートヒーター/運転席シートリフター/ファブリックシート表皮(ネイビー)/チルトステアリング/電動格納式リモコンドアミラー/マルチインフォメーションディスプレイ/メッキフロントバンパーガーニッシュ/14インチアルミ/ラゲッジアンダーボックス/2スピーカー
ボディカラー:ダスクブルーメタリック・ホワイト2トーンルーフ(op4万4000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は5980円