シボレー・コルベット・クーペ3LT 価格:8DCT 1450万円 試乗記
新型C8コルベットは、新たな1ページの始まりである。最大のトピックは、歴代で初めてミッドシップ・レイアウトを採用したこと。大英断に打って出たのは、トラクション能力や俊敏なハンドリングなど、従来のFRレイアウトではブレークスルーが難しいさまざまな課題を一気に乗り越えるためだ。
ドライバーズシートに収まる。パッセンジャー側と明確に仕切られた「1+1」キャビンは特徴的。センターディスプレイは完全にドライバー側に振られたデザインである。なお日本仕様はコルベット初の右ハンドルだ。
2人のためのシート背後に8速DCTとの組み合わせでマウントされるのは、502ps/637Nmという大出力を発揮する、6.2リッターの自然吸気V型8気筒ユニット。「OHVだから、あまり上までは回らないんでしょ」と思われるかもしれないが、予想に反してオーバー6000rpmまでピュンピュンと威勢よく回ってくれる。
どんなシーンでも太いトルクが得られ、アクセル操作に対するレスポンスがシャープなことは大いに歓迎したい。もちろん、そんな強心臓に安心してムチを入れられるのは、トラクション能力に優れたミッドシップ・レイアウトを採用した恩恵でもある。
新世代コルベットの走りで「これはいままでとはまったく違うな」と感じる点は、ステアリングを切り込んだ際の挙動の軽やかさ。これはもう、画期的といえるほどに印象が異なる。
ハンドリングは「軽快」という形容がふさわしい。6.2リッターという大排気量エンジンを積むモデルを 連想するのが不可能なほどである。
予想を上回ったのが、全般的な快適性の高さ。日本仕様は、電子制御式の可変減衰力ダンパー「マグネティックセレクティブライドコントロール」を標準で採用する。ランフラットタイヤを装着するにもかかわらず、最もコンフォート志向の「ツーリング」はもとより、ハードな「スポーツ」を選択しても、乗り味は快適そのもの。路面をなめるように走り抜けてくれる。
実用性もハイレベル。トランクは前後に用意される。フロントはさほどではないが、リアは思った以上に広い。ミッドシップ・レイアウトながらGTカー的要素も備えている。
C8コルベットはすべてが新世代。FRスポーツカーとして長い歴史の持ち主ゆえ、余りの激変ぶりに当初は戸惑いの声も聞かれるかもしれない。しかし、走り込み、チェックを重ねるほどに「満を持してのミッドシップ化」だったことを実感した。何とも気合の入った1台である。
グレード=3LT
価格=8DCT 1450万円
全長×全幅×全高=4630×1940×1220mm
ホイールベース=2450mm
トレッド=フロント:1630×リア:1570mm
車重=1670kg
エンジン=6153cc・V8OHV(プレミアム仕様)
最高出力=369kW(502ps)/6450rpm
最大トルク=637Nm(65.0kgm)/5150rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:245/35ZR19/リア:305/30ZR20+アルミ
駆動方式=MR
乗車定員=2名
最高速度=未公表
0〜100km/h加速=未公表
※価格は消費税込み
撮影協力:小田急・箱根レイクホテル