レクサスが都会派コンパクトクロスオーバーのBEVモデル「UX300e」をマイナーチェンジ。容量アップを果たした新開発の電池パックを搭載して一充電走行距離はWLTCモードで512kmを実現。ボディ剛性の向上などによって走り味も深化
トヨタ自動車が展開する高級車ブランドのレクサスは2023年3月30日、都会派コンパクトクロスオーバーのバッテリーEV(BEV)モデルであるUX300eの一部改良を実施し、同日より発売した。
車種展開および車両価格は以下の通り。
UX300e“version L”:685万円
UX300e“version C”:630万円
今回の改良は、たゆまぬ進化を追求していくレクサスの“Always On”の考え方の下、新たに開発した電池パックの導入による航続距離の延長や、ボディ剛性の向上などによる走り味の深化、予防安全技術Lexus Safety System+の機能拡充、コクピットの使い勝手の向上、最新のマルチメディアシステムの採用などを行って、クロスオーバーBEVとしての魅力度をいっそう高めたことが特徴である。
パワートレインに関しては、床下に搭載する駆動用リチウムイオンバッテリーに新開発の電池パックを採用したことがトピック。総電力量は従来の54.4kWhから72.8kWhにまで引き上げ、最高出力150kW/最大トルク300Nmを発生する4KM型フロントモーターと組み合わせて、一充電走行距離はWLTCモードで従来比40%以上アップの512km、交流電力量消費率は同モードで141Wh/kmを成し遂げる。また、バッテリーの床下配置による低重心化や、リア懸架へのパフォーマンスダンパーの採用などにより走りの上質さを際立たせ、クルマとドライバーの一体感を醸成。さらに、電池パックに遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションなど駆動系の音が少ないゆえに聞こえてしまう風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮し、室内空間の静粛性を向上させた。
一方で充電については、右リアサイド部に普通充電用、左リアサイド部に急速充電用の充電ポートを配備。充電リッドを指で容易に開けられるプッシュオープンの開閉方式や、充電インレットを照らす照明を採用するなど、使い勝手の良さにも配慮する。また、駐車時にオーナー以外の第三者が充電リッドを開けられないようにする充電リッドロックシステムも組み込んだ。充電時間は200V/30Aの普通充電器(スタンド)を用いた場合が約12時間、200V/16Aの普通充電ケーブルを用いた場合が約21時間、50kW(125A)出力の急速充電器を用いた場合が80%までを約80分でこなす。クルマへの充電に加えて、クルマに蓄えた電気を自宅などに供給できるV2H(Vehicle to Home)システムにも対応。電力供給時間は約2.5日(満充電/消費電力400W時)を実現した。
基本骨格については、バックドア周辺のボディ開口部のスポット溶接打点を計20点追加するなどして、ボディ剛性を向上。そのうえで、すっきりと奥深い走りの味を熟成すべく、Toyota Technical Center Shimoyamaでの走り込みを通じて、EPSやショックアブソーバー、ブレーキなどのセッティングを徹底して見直した。
予防安全技術Lexus Safety System+に関しては、単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大。交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能とする。合わせて、ドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能を追加した。さらに、同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能のレーントレーシングアシスト(LTA)の車線認識にAI技術を活用して支援範囲を拡大。また、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)にはカーブの大きさに即してあらかじめ減速するカーブ速度抑制機能を追加する。ほかにも、LTA制御中にドライバーの無操作状態が継続した場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援するドライバー異常時対応システムを設定した。
機能面では、専用のスマートフォンアプリをインストールすることでスマートフォン画面からの操作によってドアのロック/アンロックが行え、さらにスマートフォンを携帯した状態でパワースイッチを押すことでEVシステムを始動することができるデジタルキーを用意。また、パノラミックビューモニターには過去に撮影した路面の映像を車両直下に合成表示することで車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助する床下透過表示機能を追加した。
コクピットの使い勝手を高めた点も見逃せない。大型化と高解像度化した12.3インチタッチディスプレイを配備し、合わせてよりドライバー側に搭載して、運転姿勢を崩さずにタッチ操作することを可能とする。また、ディスプレイのタッチスクリーン化に伴い、インパネおよびコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化。インパネセンターに配していたシートヒータースイッチ等をコンソール上部に移設し、それによって生まれたコンソール前方のスペースに充電用USBコネクタ(Type-C)を新たに2個設定した。さらに、おくだけ充電のスペースも上下方向に拡張し、上部にLED照明を設けることで使い勝手を高めている。
直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムを採用したことも訴求点。ナビや音楽、車両設定などの各種メニューの選択スイッチを運転席側に常時アイコンで表示することで優れたアクセス性を実現し、同時に画面全体のレイアウトを情報の粒度に応じて表示エリアを分けて操作フローの統一化を図って、利便性を向上させる。また、クラウド上の地図情報を活用して交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。さらに、ステアリングのトークスイッチ操作による起動に加え、ディスプレイのマイクアイコン操作や音声による起動を可能とした最新の音声認識機能を導入した。ほかにも、Apple CarPlay/Android Autoの装備やApple CarPlayの無線接続への対応、DCM(Data Communication Module)を活用したインターネット接続によるWebサイト(ニュースやブログ、ストリーミング音楽、YouTube動画など)が閲覧できるWebブラウザー機能の設定、DCMによる無線通信でソフトウェアの更新が可能なOTAソフトウェアアップデート機能の採用などを実施して、アクセシビリティを大きく向上させている。
なお、ボディカラーはソニッククォーツ、ソニックチタニウム、ソニッククロム、ソニックイリジウム、ブラック、グラファイトブラックガラスフレーク、マダーレッド、ブレージングカーネリアンコントラストレイヤリング、テレーンカーキマイカメタリック、セレスティアルブルーガラスフレークという計10色をラインアップ。インテリアカラーはヘーゼル(本革/L tex)、ブラック(本革/L tex)、リッチクリーム(本革)、ホワイトアッシュ(本革/L tex)を設定している。