レクサスLX 価格:1250〜1800万円 試乗記
レクサスのフラッグシップSUV、LXがモデルチェンジした。昨秋、新型に移行したランクル300のレクサス版には違いないが、あくまでレクサスの上級モデルとして開発したという。
ラインアップは標準仕様の600と、ラグジュアリーなエグゼクティブ、そしてオフロードの3グレード。パワーユニットは全車、3.5リッターのV6ツインターボ(415ps/650Nm)を積む。乗車定員は標準とオフロードが2列シート5名乗りと3列シート7名乗りの2種、エグゼクティブはリムジン感覚の4シーターになる。
新型は、ボディパネルの大半をランクルと作り分けて、レクサスらしさを表現。大型スピンドルグリルが強い存在感を主張する。ボディサイズは全長×全幅×全高5100×1990×1885mm。伸びやかな造形と入念な作り込みが印象的だ。
インテリアのクオリティと装備の充実ぶりも素晴らしい。室内は豪華で先進的。座り心地抜群の本革シートと相まって、パッセンジャーを特別な時間へと誘う。中でも初の4名乗り仕様のエグゼクティブは、ショーファードリブンとして人気を博すに違いない。海外のハイブランドと本気で渡り合う意気込みがうかがえる。
今回は富士スピードウェイ内に設定されたオンロードとオフロードコースでパフォーマンスを確認した。従来型の570と乗り比べると、その違いは想像以上だった。
オンロードでは、走り出した瞬間から、乗り心地が洗練されたことを実感した。新型は22インチタイヤを履きながらもしなやかそのもの。従来型のゴツゴツした感覚が改良され、不快な点が何もない。
コースインすると、さらに違いを感じる。新型は電動パワーステアリングを採用したこともあって回頭感が軽やか。旧型の重くひっかかり感がある操舵フィーリングから一挙に進化している。コーナリングも別物だった。新型は重心の高い感覚が薄れ、動きは素直で自然な印象。従来型ではライン取りが上手くいかず、どうしても出口でふくらんでしまいがちなコーナーも、新型はイメージどおりに走れた。レーンチェンジを試みても反応はリニア。それなりに揺り戻しはあるものの、安心感は高い。滑らかで軽やかな走りは、もはやオフローダーであることを感じさせない。背の高いサルーンといっていい。ランクル300とはだいぶ異質の仕上がりである。
エンジンはパワフル。新型の3.5リッターV6ターボは低中速域のトルクが太く、従来の5.2リッターV8よりドライバビリティに優れている。静粛性はランクル300以上に入念な対策が講じられ、一段と静かだ。従来のV8ならではの、厳かな雰囲気が薄れたのは事実だが、現状でも2.5t超級の車体を意のままに走らせる実力の持ち主である。しかもフレーム方式を踏襲しながら実現したのだから大したものだ。
オフロードセクションでは、その名もオフロード・グレードを体感。オフロードは18インチタイヤと各部のブラック処理が特徴。機能面ではセンターに加え前後のデフロック機能を標準装備する。
バンク、ローラー、階段スロープの設定されたコースで、圧倒的な走破性を体感。従来型も走破性としては相当な実力だが、新型は一段と乗りやすく快適だった。従来型で感じられた粗さをひとつひとつ丁寧に消した印象である。
各種制御の緻密化とともに、レスポンスがよく低速トルクの強いV6エンジンと10速ATの効果に違いない。車高調整に要する時間も大幅に短くなっていた。
持ち前の強みを活かしつつ、あらゆる面で大きく進化した新型LXは、欠点らしい欠点が見当たらない上々の仕上がりだった。従来型は「オフローダーの高級版」だったが、新型は「卓越したオフロード性能を隠し持ったラグジュアリーモデル」に変身している。レクサスに新たな頂点が誕生した。
グレード=LX600
価格=10SAT 1250万円(7名乗り)
全長×全幅×全高=5100×1990×1885mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント:1675×リア:1675mm
最低地上高=200mm
車重=2590kg
エンジン=3444cc・V6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=305kW(415ps)/5200rpm
最大トルク=650Nm(66.3kgm)/2000〜3600rpm
WLTCモード燃費=8.0km/リッター(燃料タンク容量80リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:5.5/8.3/9.7km/リッター)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:トレーリングリンク車軸式
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=265/55R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=6.0m
主な燃費改善対策:筒内直接燃料噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
主要装備:レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト+ブレードスキャン・アダプティブハイビーム+ドライバー異常時対応システムほか)/デジタルインナーミラー/インテリアイルミパッケージ/ハンズフリーパワーバックドア/サイドドアイージークローザー/アクティブハイトコントロールサスペンション/電動パワーステ&電子制御ブレーキ/マルチテレインセレクト/ダウンヒルアシストコントロール/マルチテレインモニター/ムーンルーフ/3眼フルLEDヘッドライト/セミアニリン本革シート/デュアルディスプレイ(12.3インチ&7インチタッチディスプレイ)/ナビゲーションシステム/指紋認証式スタートスイッチ/TFT液晶メーター/カラーヘッドアップディスプレイ/ステアリングヒーター/おくだけ充電/ETC2.0ユニット/ITSコネクト/寒冷地仕様
装着メーカーop:265/50R22タイヤ+鍛造アルミ38万5000円/リアシートエンターテインメントシステム28万7100円/マークレビンソン・リファレンスサラウンドサウンドシステム27万3900円
ボディカラー:ソニッククォーツ
※価格はすべて消費税込み