ホンダ・ステップワゴン 2022年春発売予定 新車ニュース
2022年はホンダ・ステップワゴン誕生25周年。そのタイミングで6thモデルが公開された。新型の発売は春の予定。今回は実車を見て、触った印象をお届けしよう。
1stモデルは、当時のオデッセイやCR-Vと同じく乗用車用プラットフォームを用いた「クリエイティブムーバー(生活創造車)」として登場。FFレイアウト/四角いシンプルスタイル/戦略的な価格設定が功を奏して、瞬く間に人気モデルとなった。
ステップワゴンは、そこから世代を重ねる。しかしクルマとしての性能はともかく、世代ごとに右往左往するコンセプトにユーザーは混乱。鉄壁な戦略を掲げるライバルに対して販売面では、決して順風満帆というわけではなかった。
1stモデルの成功の秘密は何か? それは「クルマが主人公ではなく、家族が主人公の商品企画」だったからだろう。1stモデルのキャッチコピーは「こどもといっしょにどこいこう」。走りではなく、豊かな室内スペースと、それがもたらす生活の広がりがメインテーマだった。新型のグランドコンセプトは「素敵な暮らし」、つまり、人に寄り添うことである。6thモデルは原点に回帰したステップワゴンだ。
エクステリアはボクシーで伸びやか。1stモデルをオマージュしながらも最新トレンドを巧みに盛り込んでいる。プロポーションはズバリ、「シンプルでクリーンな〈箱〉」である。
ミニバンはSUVやクーペと比べると、デザインしろが少ない。この点を逆手に取り、「カッコいい箱(=BOX)を作る!!」というデザイナーの発想が生まれた。リア回りは縦長ランプ、シンプルなバンパー回りなど、1st&2ndモデルをオマージュしたことがひと目でわかる。
新型はラインアップも新しい。旧型同様に2シリーズ展開だが、新型は標準モデルをAir(エアー)と名づけた。そして従来からあるスポーティテイストのスパーダの2本立て。エアーは従来イメージからの脱却を図る挑戦のひとつ。特徴はノイズレスなデザインである。
一方、スパーダはいわゆるエアロ系だが、「いかついオラオラ系」ではなく、品よくスポーティさをアピールする。エアーに対してフロントオーバーハングが20mm、リアオーバーハングは15mm長い。これは伸びやかさと力強さのために活用されているそうだ。
インテリアもエクステリア同様にシンプルでクリーン。どこか「いいモノ感」が漂う。インパネは水平基調。シビックと同様の空調グリルと加飾を一体化したアウトレットメッシュを採用するなど、遊び心も忘れていない。
良好な視界もセールスポイントである。運転しやすさを増す目的で、フロントピラー形状を工夫し、車両感覚を把握しやすいボンネットフードの見え方を徹底研究。
クルマ酔いを防ぐため2列目/3列目からの視界にもこだわった。どの席に座っても快適さを追求したパッケージングは、新型の大きな特徴だ。
インテリアコーディネートはエアーがソファのような生地、スパーダは合皮を用いて、それぞれ独自の世界観を演出した。エアーのカジュアルで上質な雰囲気はなかなか心地いい。デザイナー家具を彷彿とさせる。
ミニバンの特等席となる2列目シートには、新たな仕掛けがプラスされた。キャプテンシート仕様は超ロングスライド機構と中寄せスライド機能付き。3列目は旧型と同様の床下収納式だ。
気になるメカニズムは、現時点で未発表。パワートレーンはガソリンが1.5リッター直噴ターボ、ハイブリッドは2リッター・NA+2モーターの「e:HEV」になる見込み。
基本的には従来モデルのリファイン版になるが、ソフト面に加えてハードにも手を入れて発売される、と予想している。
フットワーク系は、プラットフォームを含めて旧モデルの進化版になる。開発陣は「徹底的な走り込みで煮詰めた自信作」と説明してくれた。ヴェゼル/シビックの伸びしろが大きかった実績を考えると、期待していいだろう。
価格は、正式発売までは「お預け」になっている。ご存じのように、従来型ステップワゴンのスターティングプライスは、ライバルに対して若干高めに設定され、これがネックになっていた(実は同装備で比べるとそれほど変わらない)。新型はどのような戦略を掲げるのか気になる。
新型は、ライバルとはちょっと異なる価値観を提唱する意欲作。このチャレンジにユーザーがどう反応するのか楽しみだ。