【CD取材ノート】実は速い、3代目カローラで幕を開けたボクの自動車人生 by 渡辺陽一郎

セダン走り30万円で手に入れた「羊の皮をかぶった狼」は映画にも出演!

 1981年に最初の愛車を選ぶ時、5つの条件を考えた。(1)4ドアセダン、(2)全長4m以下、(3)後輪駆動、(4)スポーティグレード、(5)価格は30万円以下というもの。今も昔も、大人しそうなセダンが、実は速いというのがカッコイイと思っている。そこでコンパクトな後輪駆動のスポーツセダンを探した。

 ただし貧乏学生で予算がなく、価格の上限は30万円だった。中古車で1975年式3代目カローラセダン1600GSLを購入した。パワーダウンを余儀なくされた厳しい昭和50年排出ガス規制の施行直前に、駆け込み増産を行って新聞で叩かれた「規制前」のカローラだ。

カローラスタイル

 1.6リッターの2T型OHVエンジンに、ツインキャブレターを装着して、最高出力はグロス100馬力になる。発進加速では6000rpmまで4速MTの1速を引っ張り、2速に叩き込むと、ちょうど最大トルクの13.9kg-mを発揮する4200rpmでクラッチがミートする。ローギヤードな設定もあり、シグナルグランプリ(かつては信号からのダッシュを競うのが当たり前だった!)では、排出ガス規制に対応した13B型ロータリーを搭載する2代目のコスモAPと同等の加速力を発揮した。

カローラ走り

 手に入れたカローラは、動力性能には満足したが、リヤサスペンションはリーフリジッドで、カーブではボディが大きく傾いて曲がらない。強引な荷重移動とパワースライドを必要とした。走りのバランスの悪さには驚いたが、当時自主製作した8mmフィルムによる映画では、派手な挙動変化がカーチェイスを盛り上げた。私が執筆させていただく原稿には、「お買い得」とか「割安」などの言葉が並ぶが、個人的なカーライフは正反対だ。その幕開けが3代目カローラだった。

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