マイカーとして乗り始めたのは、免許取得のタイミングで自宅にあったATのセダンが最初だった。が、初めて自分の意見でチョイスしたモデルということになると、歴代モデルで最後のFRレイアウトの持ち主という事になった、KP61型と呼ばれるトヨタのスターレットだった。
1.3リッターのOHV(!)エンジンは、最高出力がわずかに72ps(それもグロス値)と現代の水準ではまさに微々たるものに過ぎなかった。それでも思いのほか活発に走ってくれたのは車両重量が700kg台そこそこと、最近のKカーよりも軽量だったため。
ただし、一方でそんな軽量さに加え駆動輪に荷重の掛かりにくいFRレイアウトを採用していたため、低ミュー路面でのトラクション能力は極端に低く、凍結路ではチェーンを装着していてもそれが路面に食い込まず、たちまちスタックの憂き目にもあったもの。
雨のサーキット走行でも、いつ後輪がグリップを失ってスピンモードに陥ってしまうのかと、まさに薄氷を踏むような思いに迫られた。
しかし、見方を変えればかくもトラクションの能力に難点を抱えていただけにビギナードライバーにとっては非常に好都合な「訓練車」であったのも事実。結果的に、KP61型スターレットがボクにドライビングの基礎を教えてくれたことは間違いない。