【CD取材ノート】印象に残るポルシェは、997のGT3と、あの959。官能のエンジンと先進スポーツカー像にメロメロです。by 岡本幸一郎

GT3メインポルシェはスポーツカーを知り尽くしている、と思います

 最近はポルシェに乗る機会が減っている。だが10年ほど前まではけっこう頻繁に乗っていた。中でもタイプ997の後期型のGT3のエンジンは素晴らしかった。それまでの3.6ℓから3.8ℓに拡大された自然吸気エンジンは、吸排気とも抵抗感のない印象になり、エンジンの回り方やサウンドの盛り上がり方が、それまでを確実に凌いでいた。まるで自然吸気を極めたかのような“官能的”なフィーリングだと感じた。組み合わされるショートストロークで剛性感の高いMTのシフトフィールも素晴らしく、それを操ること自体にも喜びがあった。全体的なクルマの雰囲気も好みだった。ワクワクする半面、不快に感じる面も多々もあったそれまでのGT3特有のスパルタンが薄れ、ほどよい仕上がりとなっていたからだ。

GT3走り01

GT3走り02

 もう1台、強烈な印象を残したのが959。21世紀になってからドライブした959は、素晴らしかった。959が登場したのは1980年代。個人的に959は930のエボリューション版という認識だったのだが、乗るとまったく別物。スタビリティや応答性、そして前後バランスなどが当時最新の996となんら変わらない操縦感覚を実現していた。そのモダンな走行フィールに大いに驚いた。

 1980年代、ポルシェはビジネスとして930のようなクセの強いクラシカルな乗り物を販売しつつも、一方では本当はこちらがベターだということを理解していて、しかもそれを実現する力をすでに持っていたのだ。959のエンジンは1980年代のクルマらしく下が薄いドッカンターボだが、過給が乗ったときの伸びやかな加速はさすがというほかなかった。とにかく1980年代にすでにこんなクルマを作っていたとは驚きだった。

959

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