新型レクサスLMが上海モーターショー2023でワールドプレミア。日本での発売も決定

レクサスが“ラグジュアリームーバー”を謳う第2世代の新型LMを上海モーターショー2023で初公開。レクサスのDNAをさらに進化させた乗り心地と静粛性を徹底追求。日本市場では4名乗り仕様を皮切りに今秋頃から発売予定

 トヨタ自動車が展開する高級車ブランドのレクサスは2023年4月18日、中国・上海で4月18日~4月27日に開催の上海モーターショー2023において、新型LMを世界初公開した。

▲レクサスが第2世代の新型LM(プロトタイプ)を上海モーターショー2023で初公開。日本では2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]を搭載する4名乗り仕様を皮切りに今秋から発売予定

▲レクサスが第2世代の新型LM(プロトタイプ)を上海モーターショー2023で初公開。日本では2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]を搭載する4名乗り仕様を皮切りに今秋頃から発売予定

 

 LMはレクサス・ブランドのフラッグシップMPVで、従来型は2019年に発表され、2020年より販売を開始。トヨタの上級ミニバンのアルファード/ヴェルファイアと基本コンポーネントを共用化したうえで、吸・遮音材の増強や足回りのセッティング変更、内外装のさらなる高級化などを図って、レクサスならではのプレミアムなラグジュアリームーバー=LMに仕立てる。販売市場は中国やアジア地域がメインで、ショーファードリブンMPVの需要に対応。仕様としては4名乗りと7名乗りを設定し、幅広いユーザー層に好評を博した。

 今回発表された第2世代のLMは、近年のラグジュアリーマーケットにおけるユーザーの価値観の変化を受け、ラグジュアリームーバーとしての価値や存在意義を改めて見直して全面刷新。すべての乗員が自然体でくつろげる乗り味と居住空間を作り上げることを目指した。

▲第2世代のレクサスLMは近年のラグジュアリーマーケットにおけるユーザーの価値観の変化を受け、ラグジュアリームーバーとしての価値や存在意義を改めて見直して全面刷新する

▲第2世代のレクサスLMは近年のラグジュアリーマーケットにおけるユーザーの価値観の変化を受け、ラグジュアリームーバーとしての価値や存在意義を改めて見直して全面刷新する

 

 まずエクステリアは、「機能的本質や動的性能に根ざしたプロポーションと独自性の追求」をMPVパッケージにおいて表現する。基本スタイルは乗員スペースを最大限に確保した前後方向に抜けの良い開放的なキャビンと、走りの良さや快適な乗り心地を想起させる前後タイヤの存在感を強調した造形を融合させることで、躍動感がありながら上品で伸びやかな独自のフォルムを創出。また、フロントマスクはレクサスのアイデンティティであるスピンドルボディをさらに進化させ、押し出しの強いスピンドル形状のグリルに外板色を採用してボディと一体でシームレスに表現。合わせて周辺部品との境界の段差を減らし、ボディとより融合した構成とすることで、空力性能や冷却性能、操安性の向上を果たした。各部のアレンジにもこだわり、3連のLEDランプを配したシャープな造形のヘッドライトや、ボディの厚みと上質感を高めるサイドのキャラクターライン、リアガーニッシュとともに緩やかなUラインを描くLEDリアコンビネーションランプ、足もとの存在感を高める新造形の19インチアルミホイール+225/55R19タイヤまたは17インチアルミホイール+225/65R17タイヤなどを採用する。フロントドアにイージークローザーを組み合わせた「eラッチシステム」をレクサスとして初導入したこともトピックだ。ボディサイズは従来型比で85mm長く、40mm幅広く、10mm高く、ホイールベースが同寸の全長5125×全幅1890×全高1955mm/ホイールベース3000mmに設定。今回の発表では、ボディカラーとしてソニックチタニウム、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、ソニックアゲートの設定を予告している。

▲エクステリアは「機能的本質や動的性能に根ざしたプロポーションと独自性の追求」をMPVパッケージにおいて具現化する

▲エクステリアは「機能的本質や動的性能に根ざしたプロポーションと独自性の追求」をMPVパッケージにおいて具現化する

▲フロントマスクはレクサスのアイデンティティであるスピンドルボディをさらに進化させ、押し出しの強いスピンドル形状のグリルに外板色を採用してボディと一体でシームレスに演出する

▲フロントマスクはレクサスのアイデンティティであるスピンドルボディをさらに進化させ、押し出しの強いスピンドル形状のグリルに外板色を採用してボディと一体でシームレスに演出する

▲ボディサイズは従来型比で85mm長く、40mm幅広く、10mm高く、ホイールベースが同寸の全長5125×全幅1890×全高1955mm/ホイールベース3000mmに設定

▲ボディサイズは従来型比で85mm長く、40mm幅広く、10mm高く、ホイールベースが同寸の全長5125×全幅1890×全高1955mm/ホイールベース3000mmに設定

▲3連のLEDランプを配したシャープな造形のヘッドライトを装備

▲3連のLEDランプを配したシャープな造形のヘッドライトを装備

▲リアガーニッシュとともに緩やかなUラインを描くLEDリアコンビネーションランプを採用

▲リアガーニッシュとともに緩やかなUラインを描くLEDリアコンビネーションランプを採用

▲足もとには新造形の19インチアルミホイール+225/55R19タイヤ(写真・上)または17インチアルミホイール+225/65R17タイヤ(同・下)を装着

▲足もとには新造形の19インチアルミホイール+225/55R19タイヤ(写真・上)または17インチアルミホイール+225/65R17タイヤ(同・下)を装着

▲ボディカラーとして写真上からソニックチタニウム、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、ソニックアゲートの設定を予告

▲ボディカラーとして写真上からソニックチタニウム、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、ソニックアゲートの設定を予告

 

 内包するインテリアは、乗員が“素に戻れる移動空間”を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻な作り込みを実施。室内高のあるパッケージを生かしながら、広く心地よい空間を水平・垂直を基調としたシームレスなデザインテーマで表現し、リビングのようにくつろげる世界観を追求する。仕様としては、ショーファードリブンMPVとしての用途を想定した2列式シートの4名乗りと、3列式シートの6名乗り(2/2/2名乗車)および7名乗り(2/2/3名乗車)を設定。内装色はソリスホワイトとブラックを用意し、ソリスホワイトでは周辺部にカッパー色のアクセントを加え、一方でブラックにはグレートーンを随所に配するなど、グラデーションをつけた現代的な柄の長方形ドアトリムなどとともに新しい高級表現を目指したモダンプレミアムな世界観を創出した。

 キャビン空間の演出にこだわった点も特徴で、フロント席ではモダンで広がりのある空間の中にレクサスのコクピット思想「Tazuna Concept」を採用して、シンプルなインパネとコンソールにより運転に集中できる環境を実現。6/7名乗り仕様では開放感・見晴らしに配慮しながら前後左右に広がりのあるトリムやオーバーヘッドコンソールを配し、多人数乗車でのパーソナル感を追求する。シートについてはどこに座っても心身ともに自然体でいられるよう乗員の身体の動きを徹底的に分析し、とくに頭部の揺れの軽減と視線の安定化を図る。フロントシートは座面の面圧分布を最適化し、旋回時のGの大小にかかわらず身体をホールド。疲労を軽減する座り心地と、クルマとの対話に集中できる環境を提供する。また、2列目シートは特性の異なる2種類の衝撃吸収材を使用することで停車時から走行時まで乗員を優しく包み込みながら支える構造とし、さらに3列目シートは大人でもゆったりと座れるようシートバックとクッションに厚みを持たせた。

▲インテリアは乗員が“素に戻れる移動空間”を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻な作り込みを実施。コクピットには大型センターディスプレイとメーターディスプレイを一体化して配備

▲インテリアは乗員が“素に戻れる移動空間”を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻な作り込みを実施。コクピットには大型センターディスプレイとメーターディスプレイを一体化して配備

▲幅広のセンターコンソールにシンプルな造形のシフトレバーを配置

▲幅広のセンターコンソールにシンプルな造形のシフトレバーを配置

▲3列式シートは6名乗り(2/2/2名乗車、写真・上)と7名乗り(2/2/3名乗車、同・下)を設定。内装色はソリスホワイト(写真・上)とブラック(同・下)を用意する

▲3列式シートは6名乗り(2/2/2名乗車、写真・上)と7名乗り(2/2/3名乗車、同・下)を設定。内装色はソリスホワイト(写真・上)とブラック(同・下)を用意する

 

 一方、パーソナル感とプライバシー性を高めた4名乗り仕様では後席前方に48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを配備。また、見晴らしを考慮した昇降ガラスと乗降性に配慮したアシストグリップを統合させる。さらに、スピーカーや冷蔵庫、収納などの各機能は加飾と融合させつつ内装部品間の段差を極限まで低減。サイドウィンドウのグラフィックもシンプルな長方形とするなどインテリアのあらゆる構成要素から乗員にとっての視覚的ノイズを減らし、リラックスできる空間を追求した。座った瞬間に心身を解放させるような心地よさを目指した、体をゆったり包む大型独立シートを採用したことも訴求点である。

▲パーソナル感とプライバシー性を高めた4名乗り仕様では後席前方に48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを配備

▲パーソナル感とプライバシー性を高めた4名乗り仕様では後席前方に48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを配備

▲後席には専用の独立シートを装備。オットマンの伸縮量を従来型より延長しつつ、パーティションとの距離を保つことで余裕のあるスペースを確保する

▲後席には専用の独立シートを装備。オットマンの伸縮量を従来型より延長しつつ、パーティションとの距離を保つことで余裕のあるスペースを確保する

 

 装備面に関しては、ユーザーの多様なニーズに応えつつ、自然体でいられる室内環境づくりに力点を置いて開発する。リアマルチオペレーションパネルは脱着可能なタッチ式コントローラーで、リアクライメートコンシェルジュ/シート/オーディオ/照明など後席の各種機能を操作することが可能。また、コントローラー自体は2列目シートのコンソールアームレストに2個装備し、左右の乗員がそれぞれの好みの設定ができるように配慮した。さらに、エアコン/シートポジション/サンシェード/照明などを統合制御する「リアクライメートコンシェルジュ」をレクサスで初めて設定し、乗員に最適な車内環境の実現をサポート。4種類のプリセットモードに加えて乗員の好みに応じてカスタマイズできるモードも用意して、より快適な空間を提供する。車内の造形や素材の美しさを際立たせるとともに、リラックスできる空間を演出する間接照明を設定したこともトピック。イルミネーションは14色のテーマカラーとユーザーの好みに合わせて選べる50色のカスタムカラーの計64色を用意。それぞれに癒やしやリラックスなどのテーマを与え、乗員や周囲の状況に即して色調を選択することを可能とした。

 4名乗り仕様では、前席と後席の間にパーティションを設置したうえで、上部には昇降式スモークガラスを配して、プライバシーと開放感を両立させる。また、48インチの大型ワイドディスプレイではオンラインによるビジネスミーティングやエンターテインメントなど多様なシーンに合わせた使い方ができ、さらにディスプレイ下部には冷蔵庫や収納スペースを設けて利便性を高めた。一方、後席には専用の独立シートを装備。オットマンの伸縮量を従来型より延長しつつ、パーティションとの距離を保つことで余裕のあるスペースを確保する。また、レクサスとしては初めてアームレストとオットマンにヒーター機構を内蔵。パーティションの上部中央には乗員と周辺温度を検知する後席専用の「温熱感IRマトリクスセンサー」を組み込み、乗員の顔、胸、大腿、下腿の体の部位を4つに分けて温熱感(温かさ/冷たさ)を推定することでエアコンやシートヒーターなどを一括コントロールして、車内を常に快適な温度に保つ。さらに、アームレスト内に収まる格納式テーブルはタブレット端末やノートPCを設置・操作できる十分なサイズとし、同時に質感の向上や滑り止め/傷つき防止の機能を持たせた表皮巻きの天板で構成した。

▲リアマルチオペレーションパネルは脱着可能なタッチ式コントローラーで、リアクライメートコンシェルジュ/シート/オーディオ/照明など後席の各種機能を操作することが可能。コントローラー自体は2列目シートのコンソールアームレストに2個装備する

▲リアマルチオペレーションパネルは脱着可能なタッチ式コントローラーで、リアクライメートコンシェルジュ/シート/オーディオ/照明など後席の各種機能を操作することが可能。コントローラー自体は2列目シートのコンソールアームレストに2個装備する

▲ルーフ部にはオーバーヘッドコンソールを設定。室内の開放感を高めるムーンルーフも用意する

▲ルーフ部にはオーバーヘッドコンソールを設定。室内の開放感を高めるムーンルーフも用意する

 

 基本骨格については、スライドドア開口面積が広く剛性確保が難しいMPVのボディ骨格強化のために、次世代レクサスが一貫して取り組んでいる「素性の刷新」を新型LMでも実践。具体的には、ラジエターサポートブレース/ロッカーストレート構造/リア床下ブレース/クォーターピラー部リインフォースメントの設定などにより、従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を実現する。また、アッパーボディやフロアには構造用接着剤を効果的に採用して振動の軽減を果たした。

 パワートレインには最新世代の2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]と、2.5リットル直列4気筒ハイブリッドシステム[E-Four/FF]を搭載する。また、後席の快適性を重視したドライブモードセレクト「Rear Comfort」モードをレクサスとして初採用。AVS(Adaptive Variable Suspension)の減衰力特性は後席の乗り心地を優先しつつ、アクセルやブレーキと統合制御することで加減速時の姿勢変化がより少なくなるセッティングとした。一方、足回りにはリニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」をレクサスで初導入。低周波から高周波までの幅広い領域できめ細かく減衰して振動を軽減し、速度を問わず常に上質な乗り心地を提供する。

「心地よく感じる自然な静けさ」という“静粛感”にこだわった点も見逃せない。ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析し、発生するノイズ(源音)を小さくする、車内への侵入を防ぐ(遮音)、車内のノイズを下げる(吸音)の3ステップで取り組む。源音の低減では主にロードノイズと風切り音に着目。ロードノイズはタイヤ周辺、風切り音はボンネットやピラー周りで重点的に対策を施し、合わせてアコースティックガラスを組み込んで、高周波の風切り音の低減を実現する。また、音や振動の発生源のひとつであるエンジン、振動の伝達増幅の原因となるマウント系などは徹底したチューニングを実施。ほかにも、吸音材/遮音材/制振材の分量や厚みをチューニングしてそれぞれの部位に最適配置することで、車室内騒音の大幅な低減を成し遂げた。

▲パワートレインには最新世代の2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]と、2.5リットル直列4気筒ハイブリッドシステム[E-Four/FF]を搭載

▲パワートレインには最新世代の2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]と、2.5リットル直列4気筒ハイブリッドシステム[E-Four/FF]を搭載

▲ラジエターサポートブレース/ロッカーストレート構造/リア床下ブレース/クォーターピラー部リインフォースメントの設定などにより従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を実現

▲ラジエターサポートブレース/ロッカーストレート構造/リア床下ブレース/クォーターピラー部リインフォースメントの設定などにより従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を実現

▲足回りにはリニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS)」をレクサスとして初採用する

▲足回りにはリニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」をレクサスとして初採用する

 

 先進安全運転支援システムの面では、最新の「Lexus Safety System+」を採用。運転状況に応じて適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシストや、ドライバーモニターとの連携によるドライバーの運転状況に応じた最適制御など、ユーザーの安全・安心なドライブにいっそう貢献する。快適な移動をサポートするアドバンストドライブ(渋滞時支援)やアドバンストパーク(リモート機能付)を組み込む高度運転支援技術「Lexus Teammate」も装備した。

▲先進安全運転支援システムとして最新の「Lexus Safety System+」を装備。快適な移動をサポートする高度運転支援技術「Lexus Teammate」も組み込む

▲先進安全運転支援システムとして最新の「Lexus Safety System+」を装備。快適な移動をサポートする高度運転支援技術「Lexus Teammate」も組み込む

 

 なお、新型LMは日本市場への導入も計画。パワートレインに2.4リットル直列4気筒ターボハイブリッドシステム[eAxle]を搭載する4名乗り仕様を端緒に、2023年秋頃からの発売を予定している。

 

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