FCAジャパンは2022年2月10日、本国でベストセラー商用バンの「デュカト(DUCATO)」をキャンピングカーのベース車両として日本に導入すると発表した。未架装の車両価格は469万円~に設定。販売方法は主に正規ディーラーから架装業者などへのB-to-B(法人間取引)を想定し、販売ネットワークとして車両架装を専門とする法人、既存のFCAジャパンおよびグループPSAジャパンの正規ディーラーなどを主な候補として全国から幅広く募集する。デリバリー開始は今夏の予定だ。
欧州マーケットで2020年と2021年に小型商用車のベストセラーモデルに輝いた現行デュカトは、スタイルと機能の融合に焦点を当てたイタリアンデザイン、優れた機能性と効率性を実現したパッケージング、快適かつ先進的なキャビン空間、高効率で力強いパワーユニット、そして幅広いカスタムに対応する汎用性を有していることが特徴である。
まずエクステリアは、日本の商用バンとは一線を画すスタイリッシュなボクシーデザイン基調に、ヘッドライト下端からつながる逆台形の枠に横桟を配した大型グリル、イタリアのアテッサ工場で製造されたことを示す象徴的な“FIAT”エンブレム、新アレンジのスキッドプレート、大開口のスライド式サイドドア、左右ヒンジ式のリアドアなどを採用。また、フルLEDテクノロジーを導入した3セクション式(ヘッドライト/デイライト/スワイピングターンシグナルライト)の新しいヘッドランプやコーナリング機能付きのフロントフォグランプ、ヒーテッド機能付きの電動格納式ドアミラーを組み込んで機能性を高める。ボディタイプはホイールベース3450mmのL2H2、同4035mmのL3H2およびL3H3を設定。また、H2は標準ルーフ、H3はハイルーフで仕立てる。最大積載量はL2H2が1645kg、L3H2およびL3H3が1540kgを確保。ボディカラーは標準色のDucato White(ソリッド)のほか、ソリッド系のExpedition Grey/Lanzarote Grey、メタリック系のIron Grey/Black/Artense Greyという全6タイプをラインアップした。
内包するインテリアは、フルデジタル化したコクピットに、再定義した快適性を具現化する装備群を鋭意採用したことが訴求点だ。デジタル面では、7インチTFTメータークラスターや10.1インチタッチパネルモニター(Uconnectインターフェイス、ナビゲーションシステム、Apple CarPlay/Android Auto対応)、USB-Aポート/USB-Cポート、電源コンセント、ワイヤレスチャージングパッドなどを装備。また、キーレスエントリー&ゴー機能やプッシュエンジンスタート、エレクトロニックパーキングブレーキ、デュアルゾーン式フルオートエアコン、オーディオコントロール/クルーズコントロール付き本革巻きステアリングなどを採用して機能性および快適性を高める。一方、運転席/助手席には、一体型ヘッドレストや幅広のバックレスト、ダブルアームレストを配したキャプテンシートを装着。このシートは高い安定性と信頼性を備えたピボットプレート上に設置したうえで、後方へのアクセスを容易にする180度の回転機構を組み込む。合わせて、荷室後端までの効率的なウォークスルー・レイアウトを採用した。
パワーユニットに関しては、“MultiJet3”と称する2184cc直列4気筒インタークーラー付ターボディーゼルエンジンを搭載。優れた燃焼効率や高い耐久性を確保したうえで、最高出力は180hp/3500rpm、最大トルクは450Nm/1500~1750rpmを発生する。トランスミッションにはトルクコンバータ式の9速ATを組み合わせ、前輪を駆動。燃費性能は欧州サイクルで9.6~10.1km/リットルを成し遂げる。一方、操舵機構には電動パワーステアリングを、懸架機構には前マクファーソンストラット/後リーフリジッドを専用セッティングで採用し、クルージング時の快適性や低速走行時の扱いやすさ、そして積載時の安定感を実現した。
先進安全運転支援システムを乗用車セグメント並みに充実させた点も見逃せない。具体的には、車線逸脱警報のレーンデパーチャーウォーンング、歩行者検知機能付きの衝突被害軽減ブレーキ、ポストコリジョンブレーキング、レインセンサー、クロスウィンドアシスト、リアパーキングカメラなどを標準装備。さらに、デジタル処理したリアビュー画像を映し出すデジタルルームミラーも組み込んでいる。