【最新モデル試乗】全方位進化。環境にもユーザーにも優しいSUV、三菱アウトランダーPHEVが万能って本当!?

三菱アウトランダーPHEV・P 新型はP/G/Mの3グレード構成 基本メカニズムは全車共通 駆動方式は4輪の駆動力を最適制御する三菱独自の4WD(SーAWC) 価格帯は462万1100〜532万700円 Pは3列シート/7名乗り標準
三菱アウトランダーPHEV・P 新型はP/G/Mの3グレード構成 基本メカニズムは全車共通 駆動方式は4輪の駆動力を最適制御する三菱独自の4WD(SーAWC) 価格帯は462万1100〜532万700円 Pは3列シート/7名乗り標準

三菱アルトランダーPHEV・P 価格:532万700円 試乗記

スタイルは「威風堂々」。新型は3列シートを設定

 9年前に初めて1stアウトランダーPHEVに触れたとき、発明級の一大事だと思った。三菱が送り出した渾身の1台は、プラグインハイブリッド車の素晴らしさを世界に知らしめた。
 全面刷新された新型は、パジェロの終焉を受けて、三菱のフラッグシップとして位置づけられた。日本仕様がPHEV専用になったのは、従来型の高い販売比率(約7対3でPHEVのほうが多かった)を考えると納得だ。

「威風堂々」をコンセプトとする外観の強い存在感は見てのとおり。インパクト満点のフロントマスクが効いている。ボディサイズは全長×全幅×全高4710×1860×1745mm。従来比で、15mm長く、60mm幅広く、35mm高くなっているが、もっと大型化されたように感じる。

 インテリアは上質なたたずまいを見せる。水平基調のデザインとされたのは、オフロード走行時に姿勢の変化を把握しやすくする工夫。視認性に優れた大画面ディスプレイが、必要な情報を的確に伝えてくれる。
 新型は、これまでPHEVには設定のなかった3列シート/7名乗りが選べるようになった。初期受注では実に87%ものユーザーが7名乗りを選んでいるという。
 3列目はさすがに広くはないものの、いざというときに重宝するのはいうまでもない。しかも2~3列目を倒すと広大な自由空間が出現する。完全フルフラットにならないのは惜しいが、少し工夫すれば車中泊くらいなら問題なさそうだ。

フロントマスクはダイナミックシールド形状 個性的なライト配置で強い存在感を演出 バンパーにはアンダーガーニッシュを装着
フロントマスクはダイナミックシールド形状 個性的なライト配置で強い存在感を演出 バンパーにはアンダーガーニッシュを装着
新型のプラットフォームは次期日産エクストレイル用をベースに開発 ボディカラーは全10色 写真の2トーン仕様はP専用
新型のプラットフォームは次期日産エクストレイル用をベースに開発 ボディカラーは全10色 写真の2トーン仕様はP専用
2359cc直4DOHC16V(98kW)+モーター(フロント:85kW/リア:100kW)+バッテリー(20kWh) でPHEVシステムを構成 Pの1充電時のEV走行可能距離は83㎞
2359cc直4DOHC16V(98kW)+モーター(フロント:85kW/リア:100kW)+バッテリー(20kWh) でPHEVシステムを構成 Pの1充電時のEV走行可能距離は83㎞
255/45R20タイヤ+切削光輝アルミ装着 タイヤはエコ志向 最低地上高は200mm 最小回転半径5.5m
255/45R20タイヤ+切削光輝アルミ装着 タイヤはエコ志向 最低地上高は200mm 最小回転半径5.5m

PHEVシステムが大幅進化。走りは気持ちがいい

 新型はメカニズム面も先進仕様だ。PHEVシステムの進化は数値でも明らか。フロントモーターは60kWから85kWに、リアモーターは70kWから100kWに大幅にパワーアップした。駆動用バッテリー容量や燃料タンク容量も大きく増加している。これらにより、PグレードのEV航続距離は最大で83kmに達し、総航続距離も1000kmを超えた。AC1000V・1500W電源による外部給電可能な日数は、従来から2日増えて12日分となっている。

 実際の走りも大幅に磨きが掛かった。ツインモーター4WDによる滑らかで力強い走りは、実に魅力的だ。アクセル操作にリニアに呼応するレスポンスはもちろん、力強さはこれまでとは段違い。しかも高い車速域でも頭打ち知らずだ。
 気持ちのよいモータードライブ感が維持されて、伸びやかな加速フィールを楽しませてくれる。思わずアクセルを踏み増してしまいたくなる。
 加えて静粛性も見事だ。走行中にエンジンがかかってもまったく気にならない。エンジン始動は、エネルギーフローの表示を見ないとわからないくらいである。

 多彩な走行モードが設定され、走り味が選べるのもうれしいポイントだ。ターマックモードを選択するとアクセルレスポンスはより鋭くなり、パワーメーターの針の動きも一変する。同時に一段と緻密になった車両運動統合制御システム「S-AWC」が効いて、ただでさえロックトゥロックが2.6回転とクイックなところ、さらにハンドリングが俊敏になる。抜群の回頭性もまた、新型アウトランダーの個性である。
 大きくレベルアップした走りには、ルノーと日産のアライアンスで開発され、大幅な軽量化と剛性向上を果たした新型プラットフォームが効いている。

0→100km/h加速は8.2秒でクリア 走りはパワフル&スムーズ さらにV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機器を介して最大12日分の電気を供給できるなど電動車ならではのユーティリティを実現
0→100km/h加速は8.2秒でクリア 走りはパワフル&スムーズ さらにV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機器を介して最大12日分の電気を供給できるなど電動車ならではのユーティリティを実現
サイド配置のヘッドライトは片側12個のLEDで構成 アダプティブ機能標準
サイド配置のヘッドライトは片側12個のLEDで構成 アダプティブ機能標準
充電は急速と普通(200V)に対応 急速時は38分で80%まで充電できる設計
充電は急速と普通(200V)に対応 急速時は38分で80%まで充電できる設計
8種の安全支援機能をセットしたe―アシスト装備 日常走行の安心をサポート
8種の安全支援機能をセットしたe―アシスト装備 日常走行の安心をサポート

フラットな乗り味。オフロードも頼もしい!

 乗り心地も良好だ。ストロークをたっぷり確保した足回りを前後バランスよくバウンシングさせることで、フラットな姿勢を実現している。路面の荒れたところでは若干の硬さを感じなくもないが、全体としてはかなり快適に仕上がっている。高速巡行時の目線がブレにくいのも特筆ポイントである。待望の車線維持支援機能を加えた運転支援装備の進化も、長距離ドライブでありがたみを感じるに違いない。

 今回はオフロードコースも試した。エコ志向の標準タイヤのままで、本格的なコースを存分に走れてしまう実力に驚かずにはいられなかった。
 ノーマルモードでも走破性は十分に確保され、グラベルモードを選ぶとテールを振り出しながら攻めた走りが楽しめるようになる。マッドモードにするとトラクションが高まり、リアで押しながらフロントで引っ張ってくれるイメージ。より前へ前へと進もうとする感覚が増して安定して速く走ることができた。

 新型アウトランダーPHEVは、三菱が誇る電動化技術と4輪制御技術の洗練で、全方位で大きな進化を遂げていた。完成度は想像以上に高く、舗装路でも悪路でもツインモーターAWDならではの優れた走りを味わわせてくれた。何より走っていて楽しかった。そこが一番の魅力だと個人的には思っている。

インパネは水平基調デザイン 各部の作りは上質 Pの室内色は写真のブラック&サドルタン標準 opで黒とライトグレーが選べる ナビは9インチディスプレイ仕様
インパネは水平基調デザイン 各部の作りは上質 Pの室内色は写真のブラック&サドルタン標準 opで黒とライトグレーが選べる ナビは9インチディスプレイ仕様
Pはセミアニリン本革シート標準 前席は電動調節タイプ/2列目はスライド&リクライニング可能/3列目の足元空間はタイト
Pはセミアニリン本革シート標準 前席は電動調節タイプ/2列目はスライド&リクライニング可能/3列目の足元空間はタイト
3列目は床下収納式 荷室は2列目使用時9.5インチゴルフバッグが4個積める リアゲートはハンズフリー電動
3列目は床下収納式 荷室は2列目使用時9.5インチゴルフバッグが4個積める リアゲートはハンズフリー電動
12.3インチのフル液晶式メーターは見やすい意匠 速度とパワーメーターの組み合わせ 表示はノーマル(写真上)とシンプルが選べる Pは速度やナビ情報を映すヘッドアップディスプレイ標準
12.3インチのフル液晶式メーターは見やすい意匠 速度とパワーメーターの組み合わせ 表示はノーマル(写真上)とシンプルが選べる Pは速度やナビ情報を映すヘッドアップディスプレイ標準
走行セレクターはスティック形状 シンプルな操作性 回生ブレーキの強さが選べるパドル標準
走行セレクターはスティック形状 シンプルな操作性 回生ブレーキの強さが選べるパドル標準
走行モード切り替えはダイヤル式 路面と運転スタイルに応じ7種類から選べる
走行モード切り替えはダイヤル式 路面と運転スタイルに応じ7種類から選べる

三菱アウトランダーPHEV 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

価格=532万700円
全長×全幅×全高=4710×1860×1745mm
ホイールベース=2705mm
トレッド=フロント:1595/リア:1600mm
最低地上高=200mm
車重=2110kg
エンジン=2359cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=98kW/5000rpm
最大トルク=195Nm/4300rpm
モーター最高出力=フロント:85/リア100kW
モーター最大トルク=フロント:255/リア:195Nm
駆動用バッテリー=リチウムイオン
総電力量=20kWh
WLTCモードEV走行換算距離=83km
WLTCモードハイブリッド燃費=16.2km/リッター(燃料タンク容量56リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:17.3/15.4/16.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=255/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=5.5m
主要燃費向上対策:可変バルブタイミング/プラグインハイブリッドシステム/アイドリングストップ装置/電動パワーステアリング
主要装備:S-AWC/AYC(アクティブヨーコントロール)/ASC(アクティブスタビリティコントロール)/e-Assist(衝突被害軽減ブレーキ+踏み間違い衝突防止アシスト+車線逸脱警報&車線逸脱防止支援機能+ふらつき警報+前方衝突予測警報+標識認識システム+後側方衝突被害防止支援システム+後側方車両検知警報システム+後退時車両検知警報システム)/前後パーキングセンサー/高速道路同一車線運転支援機能(レーダークルーズコントロール+車線維持支援機能)/MITSUBISHIコネクト/100V・AC電源(1500W)/V2H用DC電源(10kW)/コントロールボックス付き充電ケーブル/エレクトリックテールゲート/フロントワイパーデアイサー/寒冷地仕様/ヒルディセントコントロール/アダプティブLEDヘッドライト/フル液晶ドライバーディスプレイ(12.3インチ)/ヘッドアップディスプレイ/ヒーター付き本革巻きステアリング/ダイヤル式ドライブモードセレクター/EVモードセレクター/ヒートポンプ式AC(3ゾーン独立温度コントロール式)/回生レベルセレクター(パドル式)/セミアニリン本革シート/前席パワーシート(リフレッシュ機能付き)/前後席シートヒーター/サードシート(床下収納式)/9インチスマートフォン連携ナビゲーション/BOSEプレミアムサウンドシステム
ボディカラー:ホワイトダイヤモンド/ブラックマイカ(op13万2000円)
※価格はすべて消費税込み

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