種類:直列6気筒DOHC24Vツインターボ
総排気量:2491cc
ボア×ストローク:86×71.5mm
圧縮比:8.5:1
最高出力:280ps /6200rpm
最大トルク:37.0kgm/4800rpm
2.5リッターの直6DOHC24Vツインターボ、1JZ-GTE型は1990年8月に、70スープラと81系マーク2系3兄弟のマイナーチェンジを機に登場した。当時の自動車誌が、「待ってろよ! GT-R」という旨の見出しで紹介していたことを記憶している。だが、実のところ乗るまではそれほど期待していなかった。
当時はR32スカイラインGT-Rが話題を独占。RB26DETTが偉くて、それ以外は引き立て役のようなイメージだった。どれどれ今度のトヨタの「280psツインターボ」はどんな感じなんだろう、くらいの軽い気持ちで乗り込んだ。ベースは汎用エンジンの1JZである。RB26DETTに「敵うわけがない」という先入観があった。
ところが、驚いたのなんの! 直6が大好きな筆者にとって超ストライクゾーン。レスポンスと吹き上がり、エグゾーストサウンド、トルクの盛り上がりとパワーの伸びなど、どれをとっても絶品ではないか!
RB26DETTの低速トルクは薄かった。対して1JZ-GTEは下からアクセル操作にダイレクトに力強くレスポンスするところにも感心した。ひょっとしてコッチのほうが上ではないか!? いやきっとそうに違いない。それくらい衝撃を受けたものだ。
のちに1JZ-GTEは、トヨタとしてもRB26DETTに一矢報いようと意気込んで、渾身の思いで開発したと伝え聞いて納得した。
筆者は1JZ-GTEを大いに気に入り、70スープラを2台乗り継いだ。社外のマフラーに交換すると、美しい直6サウンドが一段と際立ったものだ。とにかくアクセルを踏むのが楽しみだった。
その後、1JZ-GTEはVVT-iの採用により十分なレスポンスとトルクが得られることから、ツインターボをやめてシングルターボに変化する。最大トルク値も37.0kgmから38.5kgmへと上昇し、発生回転数は4800rpmから2400rpmになった。実際にドライブしても、確かに力強さはかなりのレベルだった。だが吹き上がりのフィーリングは、ツインターボのほうがよかったといまでも思っている。踏み始めのズドンと来る感じもそうだ。
1JZ系エンジンは、排気量を500cc拡大して3リッターの2JZにグレードアップする。最大トルク値46.0kgmの最強版2JZ-GTEが、80スープラやアリストなどに搭載された。これまた乗ると「国産最強」をヒシヒシと感じた。それでも、吹き上がりやエグゾーストサウンドは1JZ-GTEのほうがいいと感じた。2JZ-GTEはもちろん力強さでは文句はないが、なんとなくこもった感じの鈍い音なのが残念だった。
ちなみに当時、チューニング業界では、2JZの腰下に1JZのヘッドを組み合わせた、1.5JZなるチューニングがあった。筆者もドライブしたことがあるが、1JZのよさと2JZのよさを兼ね備えていて、「これぞ最高!」と感じたことを思い出す。
1JZ-GTEはRB26DETTの影に隠れ、それほどの名声は得られなかった。だが個人的には歴代No1のお気に入りエンジンである。