マルチパーパスビークルの本来の意味は「多目的車」。 編集部では、ユーザーの「ライフスタイル」に寄り添い、生活の質を高めるクルマはすべて該当すると考えた。クルマ選びは、ボディタイプの中で検討するのではなく、ユーザー自身の生活スタイルとの関係性や幸福度をぜひ重視してほしい。そこで今回、4種のライフステージ別にベストモデルを考察した。
共働きで子供がいない「DINKs」は、比較的余裕のあるライフスタイルが可能だといえる。選択の自由度は高く、「クルマエンゲル係数」が多少高くなっても許される時期でもあるため、ここで挙げた車種ならあまりもめる心配はないのではないだろうか。クルマが必要なレジャーに積極的な夫婦の場合、荷室の使い勝手や遠出に備えて経済性にはこだわりたいところ。あるいは、遠出はさほどしないまでも、買い物ついでにドライブが好きな方などは、デザインや運転のしやすさ重視で選ぶのもよいのではないだろうか。いずれにせよ、「いましかできないこと」 を意識して、日々の生活も充実させるクルマ選びをしていただきたい。
TOYOTA YARiS CROSS
手ごろなサイズでコストパフォーマンスに優れている。リーズナブルな価格のわりに見栄えするのが魅力。ただし後席は広くない。乗り心地もそれなりなので後席を重視する場合は再考を。電動テールゲートや運転席パワーシートが設定されているのは高評価。分割式のボードを備えたラゲッジの使い勝手もいい。走りはしっかりしているが、総合的には平均レベル。ハイブリッド、ガソリンとも燃費のよさはプラスポイント。
HONDA VEZEL
このクラスで「ここまでやるか」というほど内外装と走りが洗練されている。老若男女を問わない万人向けキャラクターだが、使い勝手に優れたサイズのSUVがいいな、と思っていて、質感にこだわるユーザーにもってこい。多くのライバルに対して、上質さは抜群にいい。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトの利点で荷室フロアが圧倒的に低い。おかげで多彩な室内アレンジができるのもヴェゼルならでは。
MAZDA CX-30
オシャレな実用車を求めるユーザーに最適。スタイリングが気に入ったら、それだけで選ぶ価値がある。インテリアもこのクラスとしては別格。高いクオリティが味わえる。実用性は高く、荷室は十分に広い。後席は成人男性が座っても頭上に余裕がある。エンジンはディーゼルやスカイアクティブXを設定するうえに、MTが選べる点も特徴。GVC+による自然なハンドリングも持ち味のひとつ。満足度の高いクルマだ。
TOYOTA RAV4
フレッシュさが売りのSUVなので、ぜひ若いうちに乗っておきたいところ。たくましいルックスを見て「ほしい!」と思ったユーザーは多いだろう。完成度が高く中身が充実しているわりに、価格は比較的手ごろ。買うならぜひ4WDをお勧めしたい。ベクタリング機構を備えたアドベンチャーもE-Fourのハイブリッドもハンドリングが楽しいからだ。見ても乗っても楽しく、使い勝手に優れる実に万能なクルマである。
MINI
「いつかMINIに乗りたい」と思っているユーザーは多いはず。計5種のボディタイプの中で、クロスオーバーやクラブマンならどの世代でも大丈夫だが、後席も荷室も狭く実用性がさほど高くはない本流のハッチバック系は、DINKs世代に似合う。とにかくこのデザインと独自の世界観は、他車にはない魅力がある。走りもターボエンジンの強力な加速とキビキビとしたフットワークが刺激的。MINIは抜群に楽しい!
PEUGEOT 208
見た目も中身も日本車とは違う魅力を満載。208は輸入車の入門編として、価値ある1台だ。さりげなく個性的なスタイリングはいかにもプジョーらしく、コクピットの作りも独特。小排気量でもパワフルなターボエンジンには、このクラスでは貴重な8速ATが組み合わされる。一方で日本ではまだBEVの選択肢が少ない中で、同じデザインで価格差もそれほど大きくないピュアEV版が選べる点も注目だ。