種類:V型 6気筒DOHC24Vツインターボ
総排気量:2997cc
ボア×ストローク:86×86mm
圧縮比:10.5:1
最高出力:298kW(405ps) /6400rpm
最大トルク:475Nm(48.4kgm)/1600〜5600rpm
※フェアレディZの数値
日産にはエンジンの神様がいる! 日産は、ときおり非常に印象的なエンジンを作り上げてクルマ好きを唸らせてきた。VR30DETTもまさにそうだ。
このエンジンが以前から海外で販売するインフィニティ・ブランド車に搭載されているのは知っていた。日本のスカイラインにも、物議をかもしたメルセデス製2リッター直4ターボではなく、こちらを積んでくれればいいのにと思っていたら、2019年のマイナーチェンジで願いがかなった。
3リッター・V6ツインターボには、304psと405psの2タイプがあり、スカイラインの405ps仕様は、日産にとって「GT」よりも格上の位置づけとなる「R」の称号が付く。GT-Rを含め、歴代スカイライン最強出力を誇る400Rのデビューは大きな話題となった。
VR30DETTは、メカニズム的にとくに目新しいことをやっているわけではない。定番技術を突き詰めることで、高い性能を引き出すことに成功している。
バンク角は60度。各バンクの外側に小径のターボチャージャーを配し、これを高い回転まで回す工夫で出力向上とレスポンスの両立を図っている。さらに水冷式インタークーラーと電動ウエストゲートにより効率を高めた。
レスポンス確保のためEGRは未採用。さらに急変動時の追従性アップとポンピングロスの低減を狙ってVVEL(可変バルタイ&リフト)は廃止され、吸排気にはCVTCS(連続可変バルブタイミングシステム)を組み込んだ。小径ターボを高回転化すると過回転のリスクがあるが、これは渦電流式の回転センサーで監視している。
これらにより405ps/6400rpm、475Nm/1600〜5200rpmという、いまどき珍しい高回転型の量産高性能エンジンが完成した。
ドライブフィールは刺激的だ。3リッターのターボエンジンとは思えない瞬発力のあるレスポンスに感心しつつ、アクセルを踏み増すと、どこからでもついてくる豪快な加速と、車内に響く野太いV6サウンドに惚れ惚れする。巧みにチューニングされたアクティブ・サウンドコントロールも、味わいを深める。こなれた技術をフルに使い切ったという印象である。
この素晴らしいエンジンが、最新のフェアレディZにも搭載されたことを歓迎したい。スペックはスカイライン400Rとは大なり小なり違いがある。405ps/475Nmの値は同じだがトルクの発生回転数は微妙にZのほうがワイド。組み合わされるトランスミッションも、400Rは7速AT。Zは9速ATに加え6速MTが選べる。Zはエンジン自体にもレスポンス向上のための技術が新採用されている。
VR30DETTは、スカイラインとフェアレディZという、日産の「二枚看板」に与えられた、日産らしい直球勝負のエンジン。納車を心待ちにしている人は、大いに期待してほしい。