種類:直列2ローター・ロータリーターボ
総排気量:654cc×2
ボア×ストローク:―
圧縮比:9:1
最高出力:255ps/6500rpm
最大トルク:30.0kgm/5000rpm
※1991年モデルの数値
「軽量コンパクトで、スムーズかつ静か」という特性が注目され、プラグインハイブリッド(e-SKYACTIV R-EV)の発電機用として、ロータリーエンジンの「復活」が明らかになった。
このニュースを歓迎する一方で、「生み出されたパワーは直接駆動力として使用するのが本来の姿」というのが多くのクルマ好きの本音に違いない。
いまでも強く記憶に残るのは、ロータリーならではの特性はそのままに、圧倒的なパワーを味わわせてくれたターボ付きユニットである。それは、日本を代表するピュアスポーツの1台、RX-7の最終モデル(FD型、1991年デビュー)に搭載された13B-REWである。
255psというデビュー当初の最高出力は、前任の2代目モデルに積まれた13Bを大きく上回るもの。それまで1基だったターボチャージャーは、運転状況に応じて2基のユニットが連携するシーケンシャル・ツインターボへと進化。そんな心臓には発売後もリファインが続けられ、最終的には当時の自主規制値だった280psにまで達したのである。
エンジン自体の大パワー化に加え、それを搭載するボディに歴代RX-7中で最高レベルといえる軽量化が図られた背景もあって、ロータリー特有の乾いたサウンドと共に感じられるFD型RX-7の加速力はまさに圧倒的といえる水準にあった。
255〜280psという絶対的ともいえるパワーとともに感動的だったのは、際立って高い最高許容回転数である。エンジン本体だけでなく、それと一緒に回るさまざまな補器類にも手が加えられた成果として、13B-REWのレブリミットは実に8000rpmに達していた!
もちろん、単に「そこまで回る」というのではない。頭打ち感や異音を伴うことなく、きちっとパワフルに回り切る感覚が最高だった。パワフルかつ高回転に強いキャラクターは、このエンジンが歴史に残る名機であることを強く印象づける要因である。
エンジン始動時のスターターモーターがごく軽やかに回る感触や、始動直後に排気管からわずかに漂う特有のオイルの香りも、いまとなっては懐かしい思い出だ。
低く設定されたフード高やフロントミッドシップ・レイアウトを実現させる要にもなったロータリーユニットは、紛れもなく日本の誇るエンジン・テクノロジーだ。