The Sport-spirit of TOYOTA
トヨタのスポーツカーには2つの流れがある。ひとつは技術の粋を集めた「象徴」となるフラッグシップスポーツ、 そしてもうひとつは、ベーシックカーのコンポーネントを活用した「身近」なスポーツカーだ。
象徴となるスポーツカーは、1967年に登場した2000GTに始まり、1993年デビューの4thスープラ、そして、2010年のレクサスLFAへと続く。どのモデルも本質を追求し、妥協なき開発が行われたモデルだ。圧倒的なパフォーマンスを実現したのが特徴である。
現在は2019年に16年ぶりに復活を遂げた現行GRスープラがそのポジションを受け継ぐ。GRスープラはBMWとの共同プロジェクト。新たな開発手法を導入し、走りは歴代のトヨタスポーツのDNAをシッカリと継承している。
身近なスポーツカーはどうか? 1965年に登場したヨタハチことスポーツ800に始まり、歴代最後のFRレイアウトを採用したレビン/トレノ(AE86/1983年)、そして1984年に登場した日本初のミッドシップモデルMR2へと続く。だがMR2の後継として1999年にデビューしたMR-Sは2007年に生産終了。この時点でトヨタの軽量スポーツカーはゼロに。
その後、約5年の空白期間を経て、2012年にトヨタ×スバルの共同開発による1st・86が誕生する。86は量産モデルのコンポーネントを有効活用。ネーミングも「86」を受け継ぐ。身近なスポーツカーの系譜だ。現在は2ndモデルのGR86がラインアップされている。
トヨタには突然変異的なモデルも存在する。その代表が1986年のセリカGT-FOURだろう。スペシャルティカーのセリカをベースにしたスポーツ4WDで、WRC(世界ラリー選手権)のベースマシンとして活躍。その後、2世代にわたって進化し、1999年に生産を終了する。スポーツ4WDのバトンは長い期間途切れたが、2020年にGRヤリスが誕生する。GRヤリスはモータースポーツから学ぶクルマづくりを徹底したことでも有名だ。
では、この先はどうなるのか?カーボンニュートラル時代に向け、スポーツカーも変化が必要になってくる。ちなみにトヨタのスポーツモデルを開発するGRカンパニーの目的は「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の実践部隊であると同時に、「スポーツカーをビジネスとして成立させる」こと。つまり、トヨタからスポーツカーがなくなる心配はない。