トヨタGR86・RZ 価格:6MT 334万9000円/6SAT 351万2000円 試乗記
果たして世代交代は行われるのか? 一時はそんな声すら聞かれたものの、無事にフルモデルチェンジが行われた2ndモデルは、新たにGR86の名で発売された。
新型もSUBARU(スバル)とのコラボレーションによって開発され、スバルの工場で生産するFRレイアウトの2+2クーペという基本を踏襲。「トヨタの86」から自らのスポーツカーブランドを冠した「GRの86」へと変わったことで一段とオリジナリティをアピールする。BRZに対して3カ月ほど発売をあえて遅らせて、従来モデル以上に大きな範囲で独自チューニングを施したシャシーとサスペンションを採用。明確な「走りの個性」が与えられた。
全長×全幅×全高4265×1775×1310mmのボディサイズや見た目の雰囲気に大きな変化はない。
ハードウェア上の最大の進化点は、6速MTもしくは6速ステップATとの組み合わせで搭載される自然吸気式水平対向4気筒エンジンが、従来の2リッターから2.4リッターへと拡大されたことだ。
スペックは235ps/7000rpm、250Nm/3700rpm。ピークパワーが向上し、トルクも上乗せをされたことによって、たとえばMT仕様の街乗りシーンで「1速飛ばし」のアップシフトがより容易に行えるようになった。実用性能が確実にリファインされている点は見逃せない。
と同時に、回転数が高まっていくとアクセル操作に対するレスポンスがいっそう研ぎ澄まされるなど、「スポーツ心臓」らしさを味わえるのが大きな魅力。率直なところ、どうしてもトルクの細さが気になった従来型に対し、トルク感が2割、いや3割ほど強力になっている。あらゆるシーンで力強さが味わえるのだ。「アクティブサウンドコントロール」がもたらす乾いたサウンドも、心地いい仕上がりである。新型は、本格スポーツカーらしさがグンと増したイメージである。
フットワークは、FRスポーツカーらしい、シャープでありながらも素直な身のこなしが好印象。少なくともドライの舗装路面であればトラクション能力に不足を感じる場面はない。このあたりには心臓に自然吸気方式を踏襲したメリットを実感した。
電動化一辺倒の欧州メーカーには、こうした「手の内感」が漂う純エンジン搭載のスポーツカーを作る余力は求めづらい。その点でもGR86(そしてBRZ)は、日本の財産であると同時に貴重な存在である。本格度と骨太感をアップさせた新型を、たっぷりと味わっていきたい。
グレード=RZ
価格=6MT 334万9000円/6SAT 351万2000円
全長×全幅×全高=4265×1775×1310mm
ホイールベース=2575mm
トレッド=フロント:1520×リア:1550mm
車重=1270(AT1290)kg
エンジン=2387cc水平対向4DOHC16V(プレミアム仕様)
最高出力=173kW(235ps)/7000rpm
最大トルク=250Nm(25.5kgm)/3700rpm
WLTCモード燃費=11.9(AT11.7)km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(市街地/郊外/高速道路:8.0/12.8/14.2(AT7.2/12.7/14.9)km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=215/40R18+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.4m
主な燃費改善対策:筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/ロックアップ機構付きトルクコンバーター(AT)
主要装備:トルセンLSD/Vタワーバー/フロントパフォーマンスロッド/フロントスポーツブレーキパッド/アクティブサウンドコントロール/水冷式エンジンオイルクーラー/アルミ製フロントフード&ルーフパネル&フロントフェンダー/フロントバンパーダクト(空力テクスチャーパターン)/前後エアアウトレット/サイドシルスポイラー/ダックテールトランクリッド/デュアルテールパイプ/フルフロアアンダーカバー/フルLEDヘッドライト/クルーズコントロール/本革巻きステアリング&シフトノブ&ハンドブレーキレバー/TRACKモードスイッチ/アルミパッド付きスポーツペダル/左右独立温度調節式オートAC/BOXERメーター(7インチカラー+LED液晶メーター)/キーレスアクセス&プッシュスタート/8スピーカー/ウルトラスエード&本革コンビシート/シートヒーター/ブランノーブ表皮メーターバイザー/後側方警戒支援システム/アイサイトコアテクノロジー(AT)
ボディカラー:クリスタルホワイトパール(op3万3000円)
※価格はすべて消費税込み ※リサイクル費用は8790円