種類:直列4気筒DOHC16V
総排気量:1997cc
ボア×ストローク:83.5×91.2mm
圧縮比:13.0:1
最高出力:135kW(184ps)/7000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/4000rpm
「人馬一体」を掲げ、FRオープン2シーターの醍醐味を満喫できるロードスターは文句なく楽しいクルマだ。ただし、1989年の初代デビュー以来、ハンドリングは高評価なものの、エンジンについてはあまり褒められたことがなかったように思う。
ざっとふりかえると、初代のNA型は1.6リッターで登場したが、非力さを指摘され、途中で1.8リッター化された。ところがそれがイマイチで、後にエンジン特性を見直すとともにファイナルを落とすことで対処した。
1998年にモデルチェンジした2代目NBは1.8リッターと1.6リッターの2本立て。1.8リッターには当時としてはいちはやく6速MTが組み合わされた。モデル末期には異色の1.8リッターsターボも限定販売された。
2005年に登場した3代目のNCは、ボディサイズが拡大するとともにエンジンも2リッターとなった。当初はV6を積むという噂まであったほどだ。クルマが進化していく過程でありがちな、拡大志向が見え隠れした。
しかし、2015年に登場した現行ND型では一転して、「原点回帰」。ボディサイズを切り詰め、徹底した軽量化を図った。日本仕様のソフトトップには、歴代最小の1.5リッター(P5-VP:131ps/150Nm)エンジンを積んだ。
一方、遅れて登場したRF(リトラクタブルファストバック)には、電動格納式ルーフの採用に伴い、車重が100㎏前後増加することに合わせて、プラス500ccの2リッター(PE-VPR:158ps/200Nm)ユニットが与えられた。両車を乗り比べると、パワーウェイトレシオよりもトルクウェイトレシオが効いてか、2リッターを積むRFのほうがだいぶ余力があるように感じた。
せっかくエンジンをブン回して楽しむクルマなのに、回すと振動がひどくてぜんぜん気持ちよくない……という欠点は、どちらも改善されていた。それでもスムーズに回るようになったのはいいが、面白みという点では「いま一歩」と思ったのも事実だった。
転機は2018年6月。マイナーチェンジでエンジンが改良され、ポテンシャル向上が図られたのだ。とくに26ps/5Nmパワーアップして、184ps/7000rpm、205Nm/4000rpmを発揮するようになった2リッターのPE-VPRは、歴代ロードスターのエンジンで初めて、吹き上がりにちょっとした官能性を感じるほど、印象が変わっていた。
あまり上まで回さなくてもラクに高速巡行をこなせるのも2リッターの強み。1.5リッターは高速道路を走ると少々、いやけっこう物足りなさを感じる。
北米など海外ではソフトトップにも2リッターエンジンが積まれている。日本仕様にも設定してくれればと率直に思う。ロードスターでそれは邪道という見方もあるだろうが、2リッターを熱望している人だって大勢いるわけで、筆者も2リッターに乗りたい派だ。ソフトトップに2リッターがあったらほしいといっていた知人は結局、別のクルマを買ってしまった。やっぱり選べたほうがよい気がする。