【エンジン車よ永遠なれ!】マツダの2.2リッターディーゼルは独自技術満載。最大トルクはガソリン4リッターと同等。卓越の走りが味わえる

マツダCX-5・XD・Lパッケージ(2WD)/価格:6MT/6SAT 360万8000円。デビュー時190ps/450NmのスペックだったSH-VPTSは各部の改良で現在200ps/450Nmにパワーアップ。写真は2019年モデル

マツダCX-5・XD・Lパッケージ(2WD)/価格:6MT/6SAT 360万8000円。デビュー時190ps/450NmのスペックだったSH-VPTSは各部の改良で現在200ps/450Nmにパワーアップ。写真は2019年モデル

MAZDA CX-5 & CX-8 & MAZDA6/SH-VPTS

CX-5エンジン種類:直列4気筒DOHC16Vディーゼルターボ
総排気量:2188cc
ボア×ストローク:86.0×94.2mm
圧縮比:14.4:1
最高出力:147kW(200ps)/4000rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2000rpm

 ディーゼルエンジンは、脱炭素化に向けた方策としてBEV一択の姿勢を鮮明にする欧州勢を筆頭に、もともとディーゼルを乗用車に用いる習慣のなかったアメリカ市場を含め、このところどうにも逆風にさらされている印象が強い。
 そうした中にあって、マツダはいまでもそれを諦めないどころか、直列6気筒デザインの新開発ユニットを完成させるなど、進化にますます積極的だ。マツダのディーゼルの中で、乗るたびにガソリンユニットに勝るとも劣らないパフォーマンスに感心するのが、CX-5をはじめ様々な車種に搭載されているSH-VPTS型だ。200ps/450Nmを発揮するツインターボ付きの2.2リッター4気筒ユニットである。

CX-5リア走り

 SH-VPTS型は最新技術の宝庫。マルチホール・ピエゾインジェクターや可変排気バルブ機構の採用で、これまでディーゼル・エンジンの常識と考えられてきた高い圧縮比を14.4と低めに設定。これにより各部の軽量化を実現すると共に、排気ガス中の有害物質発生を減らして後処理装置の簡略化を可能にした。大小2つのターボを使い分けるシーケンシャル・ツインターボは、大型ターボ側に低速域から素早く過給圧を発揮する可変ジオメトリータイプを採用。一段とドライバビリティを向上させた点も見逃せない。

CX-5室内

 SH-VPTS型は、2012年に当時のアテンザ(現在のマツダ6)に搭載されて登場以来、手を緩めることのない改良が積み重ねられ、現在でも世界トップ級の実力を誇る。とくに高速道路のクルージングは圧倒的な得意科目。4リッターのガソリンエンジン並みの太いトルクを幅広い領域で生み出すことを武器に、ゆとりたっぷりの走りを生み出した。低回転から力強い性格のため、結果として静粛性に長けていることもこのエンジンの大きな特長と言える。さらにアクセルを深く踏み込むと、最高出力回転数の4500rpmを超え、5000rpmまでためらいなく回り切る。
 燃費に優れるうえ、軽油の税額がガソリンより低く、軽油が安価なため、ランニングコストが低く抑えられる点も大きなメリット。

 優れたエンジンというと、どうしてもハイパフォーマンスなガソリンユニットに目が向きがち。だが、それらとは大きく異なる特性を備えたこのマツダのディーゼルユニットも、「歴史に残る逸品」といえる存在である。

CX-8

マツダ6

SNSでフォローする