ルノー独自のE-TECHフルハイブリッドが好評だ。現在、ルーテシア/キャプチャー/アルカナの主力3モデルに展開し、輸入ハイブリッド車部門の燃費上位を独占。ルノーは2022年にフランス勢トップの販売セールスを記録したが、E-TECHフルハイブリッドが躍進の原動力となっている。
そのメカニズムは、走行状況に応じてシリーズ式にもパラレル式にも変貌する賢い独自システムである。小気味いい走りと、優れた燃費が魅力になる。
今回、その実力を体感するためルーテシアの燃費チャレンジに挑んだ。ルートは神奈川県・横浜から、愛媛県の松山まで約800km。ゴール地点は、1922年、旧松山藩主の子孫、久松伯爵が建てたフランス・ルネサンス様式の洋館・萬翠荘(国の重要文化財)。である。
ルーテシアのWLTCモード燃費は25.2km/リッター。1.6リッターエンジンと2モーター、そしてドッグクラッチを使用したマルチモードATを組み合わせたシステムは、欧州車らしく比較的速度が高い領域でも高い効率を実現する。つまり高速クルージングが得意。今回のチャレンジ目標は30km/リッター突破。ルートは基本的に高速道路。ナビの誘導に従うことにした。
午後3時に横浜をスタート。東名高速に乗る頃から天候が悪化し、雨が降り出した。交通量は多いが、流れは比較的スムーズだ。速度は70km/h前後をキープする。この速度でも駆動バッテリーに余力がある限り、EVとして走行する。
100㎞を何リッターで走行できるかという表示の瞬間燃費計を確認していると、エンジン稼働時は8リッター/100km(12.5km/リッター)、バッテリー充電時は14リッター/100km(7.1km/リッター)ほどを指す。
好燃費を目指すには、EV走行を心がけ、下り勾配などを利用したエネルギー回生で、効率よく駆動バッテリーを満たすことが大切だと実感する。
スタートから約220km、浜松SAで小休止する頃には、平均燃費は3.2リッター/100km(31.3km/リッター)をマーク。その後も順調に距離を進め、翌日の午前1時に淡路島SAで仮眠を取る際も3.2リッター/100kmをキープしていた。
午前4時20分、再スタート。残り距離は約250km。しかし四国に入って燃費は悪化傾向に。感覚的に上り勾配がきつかったこと、さらに長距離を走ってきた疲れが影響したのだろう。
燃費は一時3.4リッター/100km(29.4km/リッター)にまで落ちた。
午前8時47分、松山自動車道の松山ICを降り、9時6分にゴールの萬翠荘に到着。通算燃費は3.3リッター/100km(30.3km/リッター)だった。目標の30km/リッターはかろうじて達成できたものの、もっと緻密にマネージメントしていれば、さらにいい燃費が記録できたに違いない。ちょっぴり残念な結果だった。
ちなみに、今回の燃費チャレンジは23の自動車関連メディアとルノージャポン・チームを加えた合計24チームによって競われた。結果は残念ながら総合14位。やはり終盤の燃費低下が響いた。
どうも、終盤、速度を意識的に抑えたのがマイナス方向に働いたようだ。ルーテシアは50~60km/h前後で走るより、80km/h前後の方が良好な燃費を叩き出す。ちなみにトップ(Clicccarチーム)の燃費は3リッター/100km(33.3km/リッター)だった。