日産自動車は2022年2月28日、キャラバンのディーゼル車を商品改良し、4月下旬に発売すると発表した。車両価格は309万5400円~418万2200円に設定する。
今回の改良は、ディーゼルターボエンジンの刷新やトランスミッションの換装、内外装の仕様変更、機能装備のバージョンアップ、車種展開の見直しなどを実施して、キャブオーバー型バンとしての訴求力をいっそう引き上げたことが特徴である。
まずデザイン面では、昨年10月にひと足早くマイナーチェンジしたキャラバンのガソリン車と同様、フロントグリルとフロントバンパーを変更し、よりダイナミックで力強く、存在感のあるマスクを創出。また、ボディカラーには雪原を想起させる「ピュアホワイトパール」、漆黒の夜空をイメージした「ミッドナイトブラック」、アウトドアシーンでの存在感が際立つ「ステルスグレー」という3タイプの新色を追加し、全8色のラインアップとする。このうち、ピュアホワイトパール、ミッドナイトブラック、インペリアルアンバー、ステルスグレーといった塗装色には特殊高弾性樹脂を配合し、日常使用で生じる擦りキズなど塗装表面の劣化を防ぐ塗料のスクラッチシールドを採用した。
インテリアに関しては、黒を基調に落ち着いた雰囲気を演出。メーターには先進的で視認性および操作性を大幅に引き上げたファインビジョンメーター(5インチTFTディスプレイ付)を設定する。また、ステアリングには新形状のD型タイプを採用。さらに、シートトリムの表皮を刷新するなど、質感も大幅に向上させた。
仕様向上も注目ポイントで、シートにはワゴンで好評を博している、中立姿勢を維持し長時間のドライブでの疲労を軽減する「スパイナルサポート機能付きシート」を全車に標準装備。昨今の衛生意識の高まりに対応するため、表皮にウイルスや菌の増加を抑制する抗菌加工を施したシートバックとクッションも全グレードの全シートに導入する。さらに、ステアリングのグリップ部分にも抗菌加工を施した。
動力性能の向上も見逃せない。4N16型2439cc直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンは、燃焼効率の改善や摩擦抵抗の低減により高トルクな特性がさらに進化。最高出力は132ps/3250rpm、最大トルクは従来の356Nmからアップして370Nm/2000rpmを発生する。また、排気後処理には最新の尿素SCRシステムを組み込み、平成30年排出ガス規制に適応したクリーンな排気によって排気性能とCO2低減を高次元で両立。尿素水の補水についても、緻密な制御と尿素水タンクの大型化により、補水回数の最小化を成し遂げた。
一方、トランスミッションは従来の5速ATからフルレンジ電子制御7速AT(7M-ATx)に換装。多段化したワイドレンジによって動力性能と燃費性能の両立を実現するとともに、高速走行時の静粛性を向上させる。さらに、追加されたマニュアルシフトモードにより、意のままのドライビングを可能とした。燃費面では、JC08モードで従来の12.4km/リットルから13.9 km/リットルへと12%ほど向上している。
先進安全機能の強化も図り、「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や「インテリジェントアラウンドビューモニター」、「踏み間違い衝突防止アシスト」などの先進安全システムを新たに装備。ディーゼル全車で経済産業省や国土交通省などが普及を推進する「サポカーSワイド」の対象に発展した。
車種展開の見直しについては、プライベートユースのユーザーの満足度を高める目的で専用の内外装の仕様を施した最上級グレード「GRANDプレミアムGX」をディーゼル車のバンにも設定したことがトピック。なお、今回のマイナーチェンジを機にマニュアルトランスミッション車とディーゼル車のワイドボディをカタログから外している。
キャラバンのディーゼル車の商品改良に伴い、関連会社のオーテックジャパンが手がけるキャラバンのディーゼル車をベースとした特別仕様車のプロスタイル、車中泊仕様車のマルチベッドおよびトランスポーター、「ライフケアビークル(LV)」シリーズのチェアキャブ、「ワークユースビークル」シリーズのDX 2分割上級セカンドシート/中温冷凍バンおよびクールバン/保冷バン/リフター付バンもマイナーチェンジを実施する。内外装の仕様変更や機能装備のバージョンアップなどは、ベース車と同様の改良を敢行。また、車中泊仕様車では従来の「プレミアムGX」に加え、新設定の最上級グレード「GRANDプレミアムGX」もベース車として追加する。さらに、ライフケアビークル(LV)のチェアキャブでは車いす固定装置を一新し、操作性の向上を図った。