英国スズキは2022年3月11日(現地時間)、定番SUVのビターラ(VITARA)にフルハイブリッド(ストロングハイブリッド)モデルをラインアップして発売した。グレード展開はSZ-TとSZ5の2タイプで構成。車両価格は2万5499ポンド~2万7499ポンド(約393万5000円~424万4000円)に設定する。
ビターラは日本市場においてエスクードの車名で販売していたSUVモデルで、ハイブリッド仕様に関しては従来、48Vマイルドハイブリッド車のみを設定していた。そして今回、満を持して独自の140Vフルハイブリッドを搭載する新バージョンをリリースすることとなった。
肝心のパワーユニットは、K15C型1462cc直列4気筒DOHC16V・VVT直噴ガソリンエンジン(最高出力115ps/6000rpm、最大トルク138Nm/4400rpm)に、ジェネレーターと一体設計としたMGUモーター(最高出力24.6kW、最大トルク60Nm)を搭載。駆動用バッテリーには、140Vのリチウムイオン電池を採用する。トランスミッションには専用セッティングの6速AGS(オートギアシスト)を組み合わせ、駆動機構は2WD(フロントドライブ)または4WD(ALL GRIP、SZ5にオプション設定)で構成。減速時にはエンジンを停止し、クラッチを切り離すことによって、運動エネルギーを効率的に収集し発電する。性能面では、WLTPサイクルで燃費が5.4リットル/100km、CO2排出量が121g/km(いずれも2WD)を実現した。
ドライブモードとして、エコとスタンダードを設定したことも注目点。運転の状況に応じてスイッチ操作ひとつで2つのモードが切り替えられ、エコではEV走行(モーターのみの走行)領域の拡大を、スタンダードではガソリンエンジンの最適な支援によって活発な走りを演じる。0→100km/h加速は2WDで12.7秒を成し遂げた。
エクステリアに関しては、特徴的なクラムシェルボンネットや彫刻的なキャラクターライン、幅広なフェンダー、立体的なリアコンビネーションランプなど、既存のビターラのデザインを踏襲したうえで、角にブルーの枠を付けた“HYBRID”エンブレムや17インチアロイホイール(SZ5はポリッシュドタイプ)などを標準で装備する。ボディカラーはコスミックブラックPMのルーフを配する2トーンカラーを含めて、全11色をラインアップした。
内包するインテリアも、既存のビターラの基本デザインを踏襲。メーター内には、エネルギーマネージメントやバッテリーレベルなどを表示する4.2インチディスプレイを配する。また、センター部にはApple CarPlay/Android Auto対応の7インチデジタルタッチスクリーンを装備。140Vリチウムイオン電池の形状や搭載位置を工夫した効果で、ラゲッジ容量は後席使用時で289リットルを確保した。
安全運転支援システムの充実ぶりも見逃せない。最新のデュアルセンサーブレーキサポート(自動緊急ブレーキ)やブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックアラート、トラフィックサインリコグニション、アダプティブクルーズコントロール、ドライバーズニーエアバッグを含む7つのエアバッグなどを標準で採用している。
ビターラの日本仕様であるエスクードは、昨年9月をもって日本での販売を取りやめている。しかし、右ハンドルの英国仕様のビターラがフルハイブリッドモデルとなって登場したことから、日本での再販、しかもフルハイブリッドに進化したエスクードが再リリースされることを期待したい。