ランチアがいよいよ本格始動! 往年のランチア車を彷彿とさせるEVコンセプトカーの「Pu+Ra HPE」を公開。航続距離は700km以上が目標
Stellantisグループのランチアは2023年4月15日、新しい電動スポーツモデルのコンセプトカー「Pu+Ra HPE(プーラHPE)」を公開。また、4月17日より開催されたイタリアのミラノデザインウィーク2023において実車を披露した。
Pureの略であるPu、Radicalの略であるRuを組み合わせた車名は、ピュアでラジカルな車両デザインに仕立てたことを意味。また、HPEは高性能な電動システムの搭載を示すHigh Performance Electric(ハイパフォーマンスエレクトリック)の略で、1970年代にスポーティさと実用性を兼ね備えたランチア・ベータのHPE(High Performance Estate)の革新的なイメージを引き継ぐネーミングを採用している。
スタイリッシュな2ドアクーペのボディで構成したPu+Ra HPEは、随所に往年のランチア車のモチーフを採用する。スポイラーを組み込んだリア後端のシャープなラインと円形コンビネーションランプ、短いオーバーハングはストラトス、伸びやかなルーフを配するキャビン部やサンブラインド調のリアウィンドウ・ストライプはベータHPE、空力的な全体のフォルムはアウレリア、プログレッシブグリーンと称するボディカラーはフラミニアに設定されたアズーロヴァンセンヌを彷彿とさせる。また、3本のLEDストラップでY字を描くカリチェ(シャンパングラスの一種)と称したヘッドライトバーや、パネル面に埋め込んだカメラ式のサイドミラー、回転して開く半円形のサンルーフを組み込んだ電気式調光ガラスのルーフ、グッドイヤー製の専用タイヤと極太3本スポークのエアロダイナミックホイールのリムがシームレスに融合するシューズなど、先進的かつスポーティなアレンジも鋭意盛り込んだ。
内包するインテリアは、イタリアの家具メーカーであるカッシーナとコラボレートして開発する。ダッシュボードや内装トリム、センターコンソールに配したテーブル、フロア面を覆うカーペットは円をモチーフにデザインされ、合わせてオープンポアのウッドやリビングのソファを思わせる瀟洒なシートなどを装備して、くつろぎのキャビン空間を演出。ドアパネルに廃材となった大理石の粉を用いるなど、内装全体の70%あまりをリサイクル素材またはリサイクル可能素材で構成した点もトピックだ。一方、インパネセンターには「S.A.L.A.」と称するバーチャルインターフェイスのタッチ式ディスプレイを配備。Sはサウンド、Aは空調のエア、Lはライト、Aはディープラーニングの際のデータ拡張を示すオーグメンテイションを意味し、それぞれのメニューを呼び出すショートカットキーを組み込んでいる。
新世代のプラットフォームに搭載するパワートレインはブランド初のBEVシステムで、モーターや駆動用バッテリーなどの内容は未公表だが、700km以上の航続距離、約15分での20%から80%までの急速充電、100km走行あたり10kWh未満のエネルギー消費を実現するという。最新の先進安全運転支援システムの設定も想定している。
なお、ランチアは2024年にハイブリッドシステムとEVシステムを採用する新型イプシロンを発表すると予告。今回公開されたPu+Ra HPEのデザインを、随所で反映する計画だ。また、2025年にはイプシロンの高性能バージョンとなるHFを、2026年にはEVクロスオーバーのガンマを発表する予定。さらに、2028年にはデルタの復活も果たす見込みである。