2023年の発売を予定するロールス・ロイス初のBEV「スペクター」がウィンターテストを実施

ロールス・ロイスが北極圏から55kmの地でブランド初の電気自動車「スペクター」の冬季走行試験を敢行。ハードウェアや使用素材などの耐久性および動作性能を徹底チェック

 英国ロールス・ロイス・モーター・カーズは2022年3月30日(現地時間)、2023年第4四半期の発売を予定する電気自動車「スペクター(SPECTRE)」のウィンターテストを行い、完了したと発表した。

▲ロールス・ロイス初のBEVモデルとなるスペクターが、北極圏から55km離れたスウェーデンのノールボッテン県アリエプログ市にある専用施設でウィンターテストを実施
▲ロールス・ロイス初のBEVモデルとなるスペクターが、北極圏から55km離れたスウェーデンのノールボッテン県アリエプログ市にある専用施設でウィンターテストを実施

 ロールス・ロイスの「ファントム クーペ」の実質的な後継車で、かつブランド初のEVモデルとなるスペクターは現在、250万kmに及ぶテストプログラムを実施中。今回のウィンターテストは、北極圏から55km離れたスウェーデンのノールボッテン県アリエプログ市にある専用施設で行った。なお、今回のテストの終了時点で、全プログラムの約25%が完了したという。

▲スペクターは「ロールス・ロイス3.0」と称する新設計のEVパワートレインを搭載。初期プロトタイプの空気抵抗係数(Cd値)は0.26を実現
▲スペクターは「ロールス・ロイス3.0」と称する新設計のEVパワートレインを搭載。初期プロトタイプの空気抵抗係数(Cd値)は0.26を実現

 新世代のアルミニウムスペースフレーム・アーキテクチャーを基本骨格に、2ドアクーペのボディを纏うスペクターは、「ロールス・ロイス3.0」と称する新設計のEVパワートレインを搭載する。通信および送信を担う機器は14万1200(既存のファントムは5万1000)を数え、これらをインテリジェントに、かつ滞りなく意図通りに動作させるために、ロールス・ロイスのエンジニアは従来の25倍以上の書き込みアルゴリズムを駆使する必要があった。今回のテストでは、その制御システムの動作および耐久性、さらにシャシー面とのマッチングやトラクション能力、ハンドリング、コントロール性などを確認する。そして、随時セッティング変更を加えながら完成度を高め、ロールス・ロイス車の特徴である“ワフタビリティ(waftability、浮遊感)”を具現化していった。

▲今回のテストでは制御システムの動作および耐久性、さらにシャシー面とのマッチングやトラクション能力、ハンドリング、コントロール性などを確認した
▲今回のテストでは制御システムの動作および耐久性、さらにシャシー面とのマッチングやトラクション能力、ハンドリング、コントロール性などを確認した

 一方、テストでは使用素材の耐久性や組みつけ精度なども確認。具体的には、アルミ材や鋼板、溶接および接着部、足回りや駆動系などの可動部、ゴム類、油脂類などを、最低気温最大-40度のという過酷な環境下で使用してチェックする。今後は得られたデータに基づいて、さらなる調整および修正を加えていくそうだ。

▲テストでは使用素材の耐久性や組みつけ精度なども確認。最低気温最大-40度のという過酷な環境下で使用してチェックする
▲テストでは使用素材の耐久性や組みつけ精度なども確認。最低気温最大-40度のという過酷な環境下で使用してチェックする

 市販化に向けて着々とテストプログラムが進められる“エレクトリック・スーパークーペ”ことスペクター。ロールス・ロイス・モーター・カーズのトルステン・ミュラー・エトヴェシュ最高責任者(CEO)は「ロールス・ロイスの新型車は、毎回大きな期待が寄せられますが、スペクターは間違いなく、現代ロールス・ロイスの中で最も期待されている製品。それは、スペクターが現状の単なるクルマ以上のもので、私たちの明るく大胆な電気自動車の未来を象徴し、かつパワートレイン技術に大きな変化をもたらすものだからです。重要で歴史的なテストプログラムによって、スペクターは私たちの最も野心的な期待に応えていることを確認しています」とコメントしている。

▲ロールス・ロイス伝統のフードマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」は車両のエアロダイナミクス性能を考慮したデザインに変更される
▲ロールス・ロイス伝統のフードマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」は車両のエアロダイナミクス性能を考慮したデザインに変更される
▲スペクターは2023年第4四半期の発売を予定する
▲スペクターは2023年第4四半期の発売を予定する
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