イタリアのフェラーリは5月29日(現地時間)、ブランド初の PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)プロダクションモデルとなる「SF90ストラダーレ(Stradale)」を発表した。車名のSF90は、ワークスレーシングチームのスクーデリア・フェラーリ(Scuderia Ferrari)の誕生90周年を記念して名づけられた。
▲フェラーリ・SF90ストラダーレ 全長4710×全幅1972×全高1186mm ホイールベース2650mm トレッド前1679×後1652mm 車重1570kg(前後重量配分45:55) タイヤサイズは前255/35ZR20/後315/30ZR20 公表値の最高速度は340km/hで0→100km/h加速は2.5秒
「ハイブリッドシステムを採用したほうがハイパフォーマンスなスポーツカーを造れる」という信念をもって開発されたSF90ストラダーレは、リアミッドシップに置かれた3990cc・V8ツインターボエンジン(780ps)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に高性能のリチウムイオンバッテリーという、計1000psのパワーユニットを搭載して4輪を駆動(AWD)する。エンジンと組み合わせるトランスミッションには、新設計の8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用。最高速度は340km/h、0→100km/h加速は2.5秒、0→200km/h加速は6.7秒、100km/hからの停止距離は29.5mで、フェラーリのテストコースであるフィオラーノのラップタイムは79秒を記録するという。
▲パワーユニットはリアミッドシップに置かれた3990cc・V8ツインターボエンジン(780ps)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に高性能のリチウムイオンバッテリーで構成する
ステアリングに配置したエレクトロニック・ビークルダイナミクス・モードセレクターの「eManettino(イーマネッティーノ)」によって、ドライバーは4つの走行モードを選択できる。まず「eドライブ」は、V8エンジンは停止したままで、駆動は前輪のモーターが担当。バッテリーがフル充電の状態から最大25kmまで走行できる。次に標準的なドライビングモードの「ハイブリッド」は、V8エンジンとモーターの稼働を制御ロジックが自己判断し、全体の効率性を最適化させる。3つめの「パフォーマンス」では、エンジンが稼働し続けると同時に、バッテリーは効率よりも充電を優先。よりパワーが必要であれば、瞬時に全体をフル活用する。そして4つめの「クオリティ」では、システム全体が最高出力を発揮。制御ロジックは、バッテリー充電よりもパフォーマンスを優先するという仕組みだ。
ボディおよびシャシーは新設計で、マルチマテリアルとマルチテクノロジーのアプローチによって、新パワーユニットとAWDの導入に伴う応力の吸収に対応しながら、効率的に高剛性化と軽量化を果たす。また、ビークルダイナミクスとしてeSSC(エレクトリック・サイドスリップコントロール)や新ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムなども組み込んだ。
▲「手はステアリングホイールに」という発想から生まれた新しいヒューマン・マシン・インターフェイスで仕立てたインテリア フェラ-リ初の16インチのフルデジタルディスプレイを設定する
エクステリアに関しては、フラビオ・マンツォーニ率いるフェラーリ・スタイリングセンターのデザインチームが担当。エアロダイナミクスや重量配分などを踏まえたうえで、フェラーリのスーパーカーからインスピレーションを得たスポーティかつ存在感あふれるデザインを構築する。フェラーリ初となるマトリックスLEDヘッドランプや水平イメージのテールランプ、コンパクトなドーム・フォルムのキャビン部なども印象的に仕上がった。
▲インパネからはスイッチの数が大幅に削減される フロントガラスには最新のヘッドアップ・ディスプレイを装備
インテリアについては、「手はステアリングホイールに」という発想から生まれた新しいヒューマン・マシン・インターフェイスを導入したことが特徴。インパネからはスイッチの数が大幅に削減され、インストルメントクラスターにはフェラ-リ初の16インチのフルデジタルディスプレイが組み込まれる。また、走行に必要な各種情報をフロントガラスに映し出す最新のヘッドアップ・ディスプレイも装備した。
SF90ストラダーレのグレード展開は、標準仕様とスポーツ指向仕様「アセットフィオラーノ(Assetto Fiorano)」の2タイプをラインアップ。アセットフィオラーノには、マル チマチック・ショック・アブソーバーやカーボンファイバー(ドアパネル、アンダーボディ)およびチタン(スプリング、エグゾーストライン全体)材パーツ、高ダウンフォース・カーボンファイバー製リアスポイラー、専用ミシュランPilot Sport Cup2タイヤなどを装備する。車両価格ついては、発表時点では未公表だ。