ホットハッチと呼ばれるクルマがずいぶん少なくなってしまった中でしっかりと生き残り、その間ずっと大人気というポジションに居続けている「絶対王者」がスズキのスイフトスポーツ。
その特徴は、高い運動性能を持ちながら、何といっても200万円チョイで買えるビックリプライスでしょう。こんなにお得といいますか、コストパフォーマンスが高いスポーツカーは、世界広しといえどもなかなかないと思います。だからこそ「スイスポ」という愛称で、幅広い年代から愛されているのでしょうね。
さて、どれくらい本物の運動性能を持っているかと申しますと、モータースポーツシーンで多用されていることからも、その性能の高さがうかがえるのではないかと思います。
数々のスプリントレースや耐久レースに参戦していたのはもちろんのこと、ラリーシーンでも大活躍。私も参戦していた全日本ラリー選手権でも、ひとつ上のクラスを軽く凌駕し、うまくいけば2つ上のクラスに迫るようなタイムで走っていました。
排気量が1.4リッターターボと小さいながらパワフルに出力やトルクを発揮するその特性もそうですが、とにかく軽いんですよね。クルマにとって軽いということは加速・減速・コーナリング、すべてにおいて絶対有利なのはいうまでもないことですが、スイスポは歴代欧州で走り込んでセッティングが行われていたり、欧州仕様のパーツが使われていたりと、いわゆるオリジナルのスイフトよりもハードな環境で耐えられるようなクルマに仕上げられています。
つまり、さまざまな個所の剛性も高められていて、足がしっかりと動いてくれるため、うねり路などでも確実に路面とタイヤの接地が稼げるんですよね。だからこそ余計に軽さも生きてくる。どんな環境でも速さ(=タイム)に繋がるわけです。
世界で最も過酷なコース、「緑の地獄」と呼ばれるドイツのニュルブルクリンク・サーキットのスポーツ走行用レンタカーとして採用されているくらいですから、そのポテンシャルの高さはご想像いただけるんじゃないかと思います。
何を隠そう、私も2世代前のスイスポでニュルを走ったことがあるのですが、あの難コースを楽しく駆け抜けることができましたからね。クセがなく素直で操りやすいスポーツカーです。
世代を重ねるごとに、ヤンチャな面は厳しく躾られてお行儀よくなってきている感じもなくはないですが、実際、サーキットなどでタイムを計ってみるとターボ化によって確実に速くなっているので、クルマとして進化しているのは間違いないこと。
現行型では安全装備なども最新のものが装着されたこともあり、普段使いとスポーツ走行の両面からアクセスして、どちらも満足できるようにレベルアップしています。
何よりすごいのはその性能を、街中のチョイ乗りでも楽しめること。軽さは低速でも楽しめますからね。
1)ホンモノの運動性能を持っていながら、200万円+αで購入できる。コストパフォーマンスに優れたホットハッチ
2)現行型は1.4リッターターボエンジンを搭載しており、パワフルな走りが魅力。モータースポーツのベース車両としても使える
3)MTが設定され、自分で操る楽しさを存分に味わえる! またATモデルもあり、手軽にスポーティドライビングが楽しめる
■主要諸元
グレード=スイフトスポーツ(全方位モニター用カメラパッケージ装着車)
価格=208万200円(6MT)
全長×全幅×全高=3890×1735×1500mm
ホイールベース=2450mm
トレッド=フロント:1510×リア:1515mm
最低地上高=120mm
車重=970kg
エンジン(プレミアム仕様)=1371cc直4DOHCターボ
型式=K14C
燃料タンク容量=37リッター
最高出力=103kW(140ps)/5500rpm
最大トルク=230Nm(23.4kgm)/2500〜3500rpm
WLTCモード燃費=17.6km/リッター
(WLTC市街地/郊外/高速道路=13.8/18.8/19.2)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=195/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.1m
●スイフトスポーツのトランスミッションは、試乗車の6MTのほかに6ATの設定もある。標準仕様でACC機能を備えたスズキセーフティサポートが装着となり、さらに全方位モニター用カメラパッケージの装着を選択することができる。試乗車はバーニングレッドパールメタリックブラック2トーンルーフ仕様車(op6万6000円)。また、opのパナソニック製8インチナビゲーション(17万1105円)を装着していた。エクステリアでは専用バンパー&グリル、インテリアでは専用インパネオーナメント&スポーツシートを採用するなど、見た目でもスポーティ感を演出している