ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ 価格:8DCT 2999万円 新車ニュース&特別インタビュー
ウラカンのデビューは2014年3月のジュネーブ・ショーだった。あれから8年と少し。この8月に累計生産台数がなんと2万台を突破(ちなみにクーペの割合は71%)。名実ともに最も成功したミッドシップ・スーパーカーとしてその名を歴史に刻んだ。
8年間の歴史を振り返ろう。当初ウラカンはもちろんクーペで「LP610-4」と名付けられた。最高出力610hpの4輪駆動という意味で、ドライバーの背後には5.2リッターのV10自然吸気エンジンが積まれていた。トランスミッションは7速DCTのみ。2015年には後輪駆動のLP580-2とスパイダーを発表。
2016年には高性能仕様640hpのペルフォルマンテがデビューする。
2019年に第2世代に進化。EVOへとマイナーチェンジする。EVOはペルフォルマンテと同じ640hp仕様となり、後輪操舵や全輪トルクベクタリング、LDVI(フィードフォワード制御)など最新テクノロジーで走りを強化。これを機に後輪駆動モデルを新たにRWDと呼び、こちらも610hpへパワーアップした。
そして記憶に新しいところでは2021年、ワンメイクレースのスーパートロフェオシリーズにインスパイアされたスペシャルモデル、STOが鮮烈のデビューを果たしている。
後輪駆動ながらシリーズ最高峰の640hpエンジンを積み、まるで公道を走るレーシングカーのようなスタイルが話題となった。その走りもまた過激で魅力的だった。
今回紹介する最新バージョンのテクニカは12番目のバリエーション(レースモデルや限定車を除く)で、EVO・RWDとSTOの間を埋める後輪駆動モデルである。STOほど強烈なアピアランスとパフォーマンスは要らないが、それに準じた高性能をもう少しおとなしいスタイルで楽しみたい、パフォーマンスとライフスタイルを両立させたいユーザーに向けたモデルだ。アヴェンタドールでいうと、SVJに対するウルティメと同じ位置づけだと思っていい。それが証拠に、リアミッドに搭載されるV10自然吸気エンジンのスペックはSTOとまったく同じ640hp/565Nmになる。
ウラカンは、このテクニカが事実上、最後のシリーズ生産モデルとなる。実はもう1台、まだ見ぬ新バリエーションが存在するが、そちらは極めて少量の限定生産になるらしい。
テクニカは来年まで生産され、その後、おそらく2023年末には次世代モデルへのフルチェンジが発表されるだろう。ウラカン後継モデルはPHEVになることが発表されている(エンジンの種類は未公表)。姉妹モデルのアウディR8にも最終バージョンの設定が予想されており、テクニカと同様に来年で生産を終えるらしい。
ウラカン・テクニカが、新鮮な魅力を備えたモデルであることは、エクステリアを見ればひと目でわかる。前後やエンジンカバーのデザイン変更だけでなく、サイドウィンドウ周辺まで一新されているからだ。普通はマイナーチェンジでも手をつけないエリアである。
フロントマスクは電動コンセプトカー「テルツォ・ミッレニオ」を彷彿とさせる。一方で、ウラカンEVOよりも61mmも伸びた全長と、変更されたサイドウィンドウデザインにより真横からみたスタイルは、トラック専用モデル「エッセンツァSCV12」との共通性が見出せる。次世代のサンタアガタ製ミッドシップ・スーパーカーは、これらの新しいデザイン要素を盛り込んでくるのかもしれない。
乾燥重量は1379kg。EVO・RWD比で10kg減、STOよりは40kg重い。これが走りの印象を左右するのではないか。6月予定の国際試乗会が待ち遠しい。
インタビュー/ランボルギーニ・ジャパン・ブランドディレクター:ダビデ・スフレコラ氏
──どんな価値観を持った方に、ウラカン・テクニカを乗ってもらいたいですか?
ダビデさん/ウラカン・テクニカはパーフェクトな魅力の持ち主です。開発テーマは「3つの魂を宿したクルマ」でした。
1つめが乗って楽しい、「エモーションがかき立てられるクルマ」。2つめは圧倒的なパフォーマンス、「限界までプッシュできるクルマ」。3つめは、ライフスタイル、「見てすごく美しいクルマ」。1台ですべてのニーズを満たすのがテクニカです。ひと言で表現すると「パーフェクト・オールラウンダー」でしょうか。
こんなテクニカには、「人生を楽しむ人」が似合うと思います。人生を楽しむ、という点は、ランボルギーニの重要なキーワードになっています。なぜなら人生を楽しむということは、感情の高まり、感動と結びついているからです。テクニカは感動をサポートするクルマといっていいでしょう。乗るだけで刺激を受け、楽しい気分になる、サーキットに持ち込んでも、エモーショナルな時間を約束します。しかも美しい。テクニカにはランボルギーニの情熱とクラフツマンシップが凝縮されています。そのパッションを通じて、ユーザーは自分自身を表現することができるのです。ランボルギーニはお客様の人生を大切なものと考えています。テクニカは、その象徴的な存在です。
──ランボルギーニにとって大切な価値観はどんなものですか?
ダビデさん/私たちが重視しているのは、お客さまに最高のものを届けることです。今回のウラカン・テクニカはその一例です。ちなみにブランドの重要な柱となるのは次の3点です。
1)勇敢で大胆であること
2)自分自身のルーツ、DNAを知り、つねにランボルギーニらしくあること
3)サプライズ、予想外であること
ランボルギーニはスーパースポーツカーのトップブランドであり、ラグジュアリーでエクスペリエンスな体験を提供するブランドであり続けることが大切だと考えています。
そして中心には、つねにお客様がいます。ランボルギーニは、エクスクルーシブで特別な存在であり続けることにこそ価値があると考えて行動しています。
(文責/カー・アンド・ドライバー編集部)
グレード=ウラカン・テクニカ
価格=7DCT 2999万円
全長×全幅×全高=4567×1933×1165mm
ホイールベース=2620mm
トレッド=フロント:1668×リア:1624kg
乾燥重量=1379kg
エンジン=5204cc・V型10気筒DOHC40V
最高出力=470kW(640hp)/8000rpm
最大トルク=565Nm(57.7kgm)/6500rpm
燃料タンク容量=80リッター
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/30R20/リア:305/30R20
駆動方式=RWD
乗車定員=2名
最高速度=325km/h
0→100㎞/h加速=3.2秒
0→200㎞/h加速=9.1秒