【最新モデル試乗】毎日の気分が「きゅん」と上がるKカーEV、日産サクラはゲームチェンジャーになる!?

日産サクラX 価格:239万9100円 サクラはS(233万3100円)/X/G(294万300円)の3グレード構成 55万円のCEV補助金が受けられ実質的には約178万円から購入可能
日産サクラX 価格:239万9100円 サクラはS(233万3100円)/X/G(294万300円)の3グレード構成 55万円のCEV補助金が受けられ実質的には約178万円から購入可能

日産サクラ 価格:233万3100〜294万300円 試乗記

サクラは3グレード構成。実質約178万円から購入可能!

 2010年に世界初の量産BEV、リーフを発売して以降、日産は電動化をけん引する存在である。先日、BEVシリーズのフラッグシップ、アリアが発売された。今回紹介するのはBEVのエントリーレベルを担うKカー、SAKURA(サクラ)だ。発売(今夏予定)に先駆けて、テストコースで試乗した。

 サクラは、2019年の東京モーターショーに出展されたIMkの市販バージョン。BEVとしてはベースに位置するが、軽自動車としてはフラッグシップというポジショニング。エクステリア/インテリアとも、これまでの軽を超えるクオリティとデザインが与えられている。

 エクステリアの基本プロポーションはデイズと共通。そのうえで薄型LEDヘッドランプやVモーショングリル、一文字に光るテールランプなどアリアと共通性を持たせ、BEVらしいデザインに仕上げている
 インテリアは水平基調。統合型インターフェイスディスプレイ、2本スポークステアリングにより、室内の印象も「プチ・アリア」だ。横幅はそれなりだが、軽自動車を大きく超えたクオリティを感じた。ただしスッキリ&スマートなデザインの弊害で、インパネ右下に「追いやられた」スイッチ類の使い勝手は悪い。ここは少々気になる。

 パワートレーンはフロントにモーターを搭載。最高出力は軽自動車枠上限の47kW(64ps)。一方、トルクは軽ターボの2倍近い195Nm。バッテリーは20kWh仕様を床下に積む、航続距離はWLTC複合モードで180kmと公表されている。ラインアップは、S/X/Gの3グレード。価格は233万3100〜294万300円になる。サクラは55万円のCEV補助金が受けられるため、実質的には約178万円から購入できる。

20kWhバッテリーはフロア部のトンネルスペースに配置 ボディは各部を強化
20kWhバッテリーはフロア部のトンネルスペースに配置 ボディは各部を強化
写真はX  インパネは液晶メーターとセンターディスプレイが連結したモダンな造形 アッパー部をファブリック仕上げとした上質空間 静粛性を徹底追求
写真はX インパネは液晶メーターとセンターディスプレイが連結したモダンな造形 アッパー部をファブリック仕上げとした上質空間 静粛性を徹底追求
シートは優しい座り心地のソファーデザイン 室内色はブルーグレー/ブラック/ベージュの3色を設定
シートは優しい座り心地のソファーデザイン 室内色はブルーグレー/ブラック/ベージュの3色を設定

EV化でスムーズ&静粛。乗り心地も良好

サクラはBEVらしいレスポンスに優れた走りが印象的 フットワークも優秀 重厚な乗り心地は路面によってはアリアを凌ぐレベル 快適性は実に高水準
サクラはBEVらしいレスポンスに優れた走りが印象的 フットワークも優秀 重厚な乗り心地は路面によってはアリアを凌ぐレベル 快適性は実に高水準

 パワートレーンの印象は195Nmの力強さはもちろんだが、アクセルを踏んだ瞬間にクルマがスッと前に出るのがうれしい。BEVの応答性のよさが実感できる。車重との関係でエンジン負荷が大きい軽自動車は、モーターの利点をはっきりと感じる。

 走りの特性は3つのドライブモード(スタンダード/ECO/スポーツ)と1ペダルドライブが可能なeペダルステップのON/OFFの組み合わせで、6種から選べる。まさに好みと走行シーンに合わせて調整が可能。eペダルステップは苦手な人もいるが、サクラのそれは車速によって減速度が変わる制御を搭載。多くのユーザーが違和感なく使えるだろう。

 シャシーはデイズをベースに、新設計のフロントのメンバーユニットやバッテリーを支えるための床下を中心とした補強、重量増に対応したサスペンションチューニングが行われた。
 ハンドリングは、まるでトレッドが広がったかのように安定している。見た目に似合わず(⁉)軽快な動きを見せた。車重は1070〜1080kg。軽自動車にしては重いが、BEVの中では軽い車両重量が効いているのだろう。
 サクラは、ハイト系ワゴンが苦手とするS字カーブのような素早い切り返しが求められるコーナーでもしっかりとノーズが入る。安心感は非常に高い。床下にバッテリーを搭載した低重心化と、それに伴う剛性アップのメリットに違いない。シャシーはタイヤの能力の限界まで引き出せる完成度を持っている。上質なタイヤを履かせるのも意味がありそうだ。

 EV化は、乗り心地面でもプラスをもたらした。重さを上手に活かした印象で、しっとりした足の動きやアタリの優しさが印象的。走行条件によってはアリアを超えるレベルだとさえ感じた。ただし、タイヤの近くに座る後席はコツコツ感がやや強めだ。

フロントマスクをはじめ各部の造形にアリアと共通モチーフを採用 先進な印象をアピール
フロントマスクをはじめ各部の造形にアリアと共通モチーフを採用 先進な印象をアピール
駆動用モーターは最高出力が軽自動車の上限の47kW(64ps) 最大トルクは余裕たっぷりの195Nm(デイズ・ターボは100Nm)1充電当たり航続距離180kmは日常ユース重視設計の反映
駆動用モーターは最高出力が軽自動車の上限の47kW(64ps) 最大トルクは余裕たっぷりの195Nm(デイズ・ターボは100Nm)1充電当たり航続距離180kmは日常ユース重視設計の反映
Xは155/65R14タイヤ+アルミを装着 アルミは日本伝統の「水引き」から着想を得たデザイン
Xは155/65R14タイヤ+アルミを装着 アルミは日本伝統の「水引き」から着想を得たデザイン
充電リッドは普通/急速の2タイプをボディ右側にレイアウト
充電リッドは普通/急速の2タイプをボディ右側にレイアウト

室内の広さはエンジン車と同等。装備も充実

サクラは前回の東京モーターショーに出展されたコンセプトモデル「IMk」の市販版 車両ベースはデイズになる
サクラは前回の東京モーターショーに出展されたコンセプトモデル「IMk」の市販版 車両ベースはデイズになる

 室内ユーティリティはデイズと同等。一般的に内燃機関モデルとシャシーを共用するBEVは、バッテリー搭載の影響で居住空間が犠牲になる場合が多い。サクラは例外。バッテリーはフロア下のトンネルスペースに巧みにレイアウト。デイズ比で居住性/積載性はいっさい犠牲になっていない。
 先進安全技術は、緊急停止支援付きプロパイロットやプロパイロットパーキングなど、軽初採用アイテムを用意する。

 サクラは、開発陣が目指した「軽の概念を超える」完成度を実現していた。「軽のBEV」ではなく「コンパクトなBEV」と表現するのが適切なクルマに仕上がっている。
 多くのユーザーが気になるのは、180kmの航続距離だろう。セカンドカーとして使うなら十分(統計によると一般家庭の軽自動車一日の平均走行距離の約8割は100km未満)だが、1台ですべてをカバーするファーストカーとしては物足りない。

 価格はデイズと比べると高い(補助金を活用すると実質購入価格は約178万円~)が、BEVとしてはリーズナブル。日本でも生活の身近なパートナーとしてBEVが選べる時代が到来した。

メーターはフル液晶 電費やステアリング切れ角など各種の情報表示が可能
メーターはフル液晶 電費やステアリング切れ角など各種の情報表示が可能
走行セレクターはセンターパネルに配置 オートACはタッチパネル式
走行セレクターはセンターパネルに配置 オートACはタッチパネル式
走行モード切り替えスイッチなどはインパネ右下にレイアウト
走行モード切り替えスイッチなどはインパネ右下にレイアウト
ナビゲーション一体型に加え写真のディスプレイオーディオを設定
ナビゲーション一体型に加え写真のディスプレイオーディオを設定
サクラは日産BEVラインアップのベースモデル メーカーは日本車の「ニューノーマル」に成長することを期待 発売は2022年夏の予定
サクラは日産BEVラインアップのベースモデル メーカーは日本車の「ニューノーマル」に成長することを期待 発売は2022年夏の予定

日産サクラ主要諸元の主要諸元と主要装備

全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm
ホイールベース=2495mm
車両重量=1070〜1080kg
荷室容量=107リッター
乗車定員=4名
バッテリータイプ=リチウムイオン
バッテリー総電力量=20kWh
最高出力=47kW
最大トルク=195Nm
最高速度=130km/h
航続距離(WLTCモード)=最大180km
充電時間=普通充電/8時間 ※1
     急速充電/約40分 ※2

※1/バッテリー残量警告灯点灯位置〜100%
※2/バッテリー残量警告灯点灯位置〜80%

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