ケータハムが将来の電気自動車セブンのための技術開発コンセプトモデル「EVセブン」を発表。パワートレインには240bhp/250Nmを発生するモーターと総電力量51kWhの液浸冷却式バッテリーを搭載。車重は既存のセブン比で+70kgの700kg未満に抑える
英国ケータハムカーズは2023年5月24日(現地時間)、将来の電気自動車セブンのための技術開発コンセプトモデル「EVセブン」を発表した。
EVセブンは、軽量な電気自動車の実現可能性を検証するモデルとして企画される。ここからさらなる技術開発を進め、ガソリン車のセブンと同様にドライバーに焦点を当てたバッテリー電気自動車へと発展させて、市場投入に近づけていく計画である。
開発に際しては、公道用およびモータースポーツ用のパワートレインを手がけるスウィンドン・パワートレイン社とタッグを組んで行う。シャシーは既存のワイドタイプをベースとし、ここにモーターやインバータ、リダクションギアなどで構成するスウィンドン製の専用E Axleと、液浸冷却式バッテリーを搭載。モーターは最高出力240bhp/9000rpm、最大トルク250Nm/0~rpmを発生し、シングルスピード/専用レシオ2ステージリダクションとリミテッド・スリップ・デファレンシャルのファイナルドライブを組み合わせて後輪を駆動する。一方、駆動用バッテリーはケータハムの長年の技術パートナーであるMOTULが供給する誘電性流体を使用。バッテリーセルに直接接触させることで最適な熱管理を実現して、充電速度の向上とバッテリー寿命の延長を成し遂げる。総電力量は51kWh(40kWh実用可能)を確保。充電は最大152kWのDC急速充電器に対応させた。性能面に関しては、車重をセブン485/480比で+70kgほどの700kg未満に抑えたことでパワーウェイトレシオ340bhp/トンを達成し、0→60mph加速は4.0秒(見込み)、最高速度は209km/h(見込み)と公表している。
サスペンションについては、420カップより流用したビルシュタイン製アジャスタブルショックアブソーバーおよびスプリングを組み込み、シューズには前6J/後8J×13インチApolloブラックアロイホイール+AVON製ZZRタイヤを装着。制動機構には4ピストンキャリパー付ベンチレーテッドディスクブレーキを配する。また、操舵機構にはロック・トゥ・ロック1.93回転のラック&ピニオン式を採用した。
今回の発表では、フロントセクションをグリーン、リアセクションおよびロールバーをホワイトで彩ったGreen-Compと、フロントセクションをホワイト、リアセクションおよびロールバーをグリーンで彩ったWhite-Compという2タイプのEVセブンを披露。いずれもサイドにS“EV”EN/DRIVE.ELECTRIFIED./CATERHAMのロゴやユニオンジャックのリアフードデカールを配する。ボディサイズは全長3350×全幅1685×全高1115mmに設定した。
なお、ケータハムのボブ・レイシュリーCEOは「現段階では、EVセブンをこのままの形で生産する計画はありません。このプロジェクトは、EVパワートレインがユーザーの個々の使用ケースに対してどの程度有効なのかを確認するためのテストベッドです。軽量でシンプル、そしてfun-to-driveという、セブンに必要なケータハム車特有の車両特性を実現する方法を学ぶために、私たちは大きく目を見開いてEVプロジェクトを進めています。次世代のバッテリー技術が可能にする将来の適切なタイミングで、EV車両を市場に投入するつもりです」とコメント。また、EVセブンとは別に、新しいチーフデザイナーであるアンソニー・ジャナレリが主導するEVスポーツカー・コンセプトの開発も進行中で、年内に詳細を発表する計画だという。一方でEVセブンのコンセプトモデルは、本年7月に英国で催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて一般公開を果たす予定である。