トヨタ・ハリアーZ・PHEV 価格:620万円 試乗記
現行4thハリアーは人気が高い。とはいえオーダーが殺到したため2020年のモデルチェンジ当初から納期の遅れが伝えられ、さらにはコロナ禍や半導体不足の影響で受注が停止されるなど、不運に見舞われている。だが潜在ユーザーにうれしいニュースが届いた。先ごろ改良を受け、しっかり進化したのである。
最新モデルは、2.5リッターのHEVと2リッターガソリン車の安全性とインフォテインメント系をリファイン。そして待望の2.5リッター・PHEV車が加わった。ハリアーのPHEVを待ち望んでいたユーザーは多いに違いない。PHEVは、RAV4やレクサスNXなどと同じシステムを採用する。
620万円という車両価格は、ガソリン車なら300万円台の前半から手が届くことを思うと高価に感じる。だが充実した内容を知ると、納得のプライスでもある。
PHEVはシリーズのフラッグシップであり、上級のZグレードに設定される。外観はフロントグリルが専用形状、ボディカラーは専用色が選べる。インテリアは、インパネからドアトリムへと走る金属メッシュ質感のダークレッドパイピングオーナメントが特徴だ。
装備は最大1500WのAC100V外部給電システムとリアシートヒーター、床下透過表示機能付きパノラミックビューモニターを標準とするなど、充実している。ユーティリティはいっそう高まった。
PHEVシステム自体は、RAV4やNXと同様の熟成システム。駆動方式は電動4WDのE-Fourだ。18.1kWh容量の駆動バッテリーを搭載し、93kmという長いEV走行可能距離を実現している。
車両重量は1950kg。HEVよりも約200kg重くなっているが、300psを超えるシステム出力のためパフォーマンスは優秀だ。0→100km/h加速は6.0秒とかなり速い。他のグレードと比べて圧倒的な速さが与えられている。
エンジンとモーターをフル動員したときの瞬発力はインパクト抜群だった。しかも右足をワイドオープンしなくても、強力なモーターが効いてリニアなアクセルレスポンスと力強く伸びやかな加速フィールが味わえる。
走行モードは、EV/HV/バッテリーチャージモードのほか、EV走行をできるだけ維持しながら、いざというときにエンジンがかかり力強く加速するオートEV/HVモードが用意されている。
ドライブフィールは滑らかで静かな印象。重量増が効いてしっとりとした印象がある。走りの上質さではRAV4を上回り、レクサスの一員であるNXと肩を並べる。静粛性も素晴らしい。エンジンがかかってもキャビンに音や振動があまり侵入することはなく、ロードノイズや風切り音も小さく抑えられている。
乗り心地はハリアーらしく素晴らしく快適。ストローク感のある足回りがしなやかに路面の凹凸を吸収する。乗り味は適度にしなやか。操舵に対する動きは素直でシチュエーションを問わず乗りやすい。ロールなどの挙動もほどよく抑えられている。高価だが、価格に見合う付加価値の持ち主である。
グレード=Z PHEV
価格=THS 620万円
全長×全幅×全高=4740×1855×1660mm
ホイールベース=2690mm
トレッド=フロント:1605/リア:1625mm
車重=1950kg
エンジン(レギュラー仕様)=2487cc直4DOHC16V
最高出力=130kW(177ps)/6000rpm
最大トルク=219Nm(22.3kgm)/3600rpm
モーター最高出力=フロント:134kw(182ps)/リア:40kW(54ps)
モーター最大トルク=フロント:270Nm(27.5kgm)/リア:121Nm(12.3kgm)
駆動用バッテリー=リチウムイオン
総電力量=18.1kWh
WLTCモードEV走行換算距離=93km
WLTCモードハイブリッド燃費=20.5km/リッター(燃料タンク容量55リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路=18.4/21.8/20.7)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=225/55R19+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.7m