ホンダ・ヴェゼルe:HEV・Z(FF) 価格:289万3500円
総合評価/77点
CDテストモード燃費/27.7km/リッター
ヴェゼルは全長×全幅×全高4330×1790×1590mm。旧型と大差ないものの、やわらかな面と細部の造形によるものか、Bセグメントらしからぬ高い質感をアピールする。作りのいい印象は、新型の大きなアピールポイントだ。
パッケージングはよく考えられている。クーペ的なフォルムながら、後席の居住性は十分。荷室も広い。ただし後席使用時のラゲッジ長は、旧型比で少し短くなった。
走りは滑らかさと静かさが印象的。このクラスの水準を超えている。e:HEVは、フィットと同じ1.5リッター+2モーター方式。だが駆動用バッテリーのセル数が増やされ、モーター出力もアップした上級仕様である。
街中から高速道路まで、パワーは十分。街中ではモーター走行が主になるので、静粛性が高く、電動車感が強い。FFと4WDを比較すると、後輪にも駆動力を配分する4WDのほうがやや出足が力強い印象。FFは軽快な味わいが気持ちいい。足回りは適度に引き締まっていながらも、ストローク感がある。うねりのある路面を高めの車速で走ると、もう少し抑えが効いていてもいいかなと感じるが、総合的なバランスは良好。どんな道でも快適だ。
ハンドリングは高水準。テストコースでFFと4WDを、全力で乗り比べた際には、操舵応答性やステア特性など4WDのほうが大幅によかった。だが、リアルワールドでは、そこまで顕著な差はない。ではFFで十分なのかというと、そうともいいきれない。それは「走りの質」だ。ハンドリングだけでなく乗り心地も、4WDのほうがしっとりしている。テスト燃費は、4WDが24.0km/リッター、FFは27.7km/リッター。FFが大きく上回った。
ヴェゼルは採点すると、7点と8点が多かった。まさしくそういうクルマ。いろいろな要素をまんべんなく、そつなく身に付けていて完成度が高い。他のメーカーがひとつ上のクラスで実現していることを、ホンダの場合はヴェゼルがメインSUVという事情もあり、この価格とサイズの中で達成した。素直に素晴らしいと思う。細かいところまでユーザーフレンドリーで、各部が丁寧に作り込まれていることが伝わってくる。
グレード=e:HEV・Z(FF)
価格=289万3500円
全長×全幅×全高=4330×1790×1590mm
ホイールベース=2610mm
車重=1380kg
エンジン=1.5リッター直4DOHC16V
エンジン最高出力/トルク=78kW(106ps)/127Nm(13.0kgm)
モーター最高出力/トルク=96kW(131ps)/253Nm(25.8kgm)
WLTCモード燃費=24.8km/リッター
駆動方式=FF