アルピーヌがA110Rの特別仕様車「A110Rル・マン」を発表。パフォーマンスを徹底追求したA110Rをベースに、ル・マンのシンボルカラーをオマージュしたホワイトとブルーのボディ色や、耐久レースマシンから着想を得たバケットシートやカーボン製リアウィンドウのシャークフィンなどを採用。販売台数は全世界100台の限定で、日本への導入も決定
仏アルピーヌは2023年6月7日(現地時間)、A110Rの特別仕様車「A110Rル・マン(A110 R Le Mans)」を発表した。車両価格は14万ユーロ(約2150万円)の設定で、販売台数は全世界100台の限定。また、6月8日にはアルピーヌ・ジャポンがA110Rル・マンの日本導入を予告し、導入時期や受注方法等を後日発表するとアナウンスした。
今回の特別仕様車は、ル・マン24時間レースの100周年を記念したアニバーサリーモデルに位置する。ル・マンとアルピーヌの関係は非常に深く、アルピーヌの創立者であるジャン・レデレ(Jean Rédélé)氏が1952年と1953年のル・マン24時間レースにルノー4CVで出場。1952年にはテール・エンダーの17位で完走する。そして、1955年にはレデレ氏がエンジンやクルマのチューンアップショップであるソシエテ・デ・オートモビルス・アルピーヌ(Societe des Automobiles Alpine=アルピーヌ自動車製造会社)を生まれ故郷のフランス南部のディエップに設立し、経営が軌道に乗った1960年代からはスポーツカーレースに出場するための本格的なレーシングカーの企画を推し進める。1963年には最初のレーシングカーのM63を、1964年には改良モデルのM64を、1965年にはさらなる進化版のM65を、そして1966年には新バージョンのA210を製造し、ル・マン24時間レースに挑み続けた。その間、同レースにおいて4度のクラス優勝と3度の熱効率指数賞を獲得する。さらに、1978年大会ではA442Bが総合優勝を成し遂げた。
A110Rル・マンは、F1を始めとするモータースポーツで培ったノウハウを活かしてエアロダイナミクスを突き詰め、同時に車体をさらに軽量化したうえで専用シャシーを導入した、A110シリーズのなかで最もラディカル(過激)なモデルであるA110Rをベースに、ル・マンのシンボルカラーをオマージュしたホワイトとブルーのボディ色を採用。また、外装にはカーボンファイバー材のフロントボンネット/ルーフ/リアフード、さらに最新レーシングマシンのA480を彷彿させるリアウィンドウのシャークフィンを装着し、ここにブルーeと称する細いダブルラインを配して、特別感を強調する。また、中央にブルーeを、サイドにブルーのアクセントを施したスワンネックマウントのリアスポイラーを装備。足もとには18インチカーボンホイールAEROCARBONを組み込んだ。さらに、フロントスポイラーやサイドシルにル・マン24時間レースの公式ロゴを配し、合わせてALPINEロゴやA110Rエンブレム、ホイールリム周囲、ブレーキキャリパーなどをブルーで彩った。
インテリアについては、ル・マン24時間レースの公式ロゴを刻んだカーボンファイバー骨格のSabelt製軽量モノコックバケットシートやシートスライド/ハーネスアダプター、マイクロファイバー巻きステアリング、外装のカラーリングおよびグラフィックと同イメージで仕立てたドアトリム上部などを特別装備。センター部には“ALPINE A110R”およびル・マン24時間レースの公式ロゴと限定台数の証となる“000/100”のシリアルナンバーを刻印した専用プレートを配備する。また、7インチマルチファンクションタッチスクリーンおよびミラーリング機能を標準で採用した。
パワーユニットはベース車と基本的に共通で、最高出力300ps/6300rpm、最大トルク340Nm/2400rpmを発生する1798cc直列4気筒DOHC16V直噴ターボエンジンをミッドシップ搭載。排気系には二重構造デュアルエキゾーストを装備する。トランスミッションには7速DCTを組み合わせ、軽量化(車重1082kg)やエアロダイナミクス性能の向上を果たした結果、最高速度はA110 シリーズでトップクラスの285km/h、0→100km/h加速は3.9 秒を実現した。また、機構面ではアルピーヌシャシーや4輪ハイドロリック・コンプレッション・ストップなどを採用。特別な内外装とともに、サーキットシーンの興奮をいつでも感じることができる1台に仕立てている。