メルセデス・ベンツ日本は2022年7月14日、7シーター電気自動車のEQBを発売した。
車種展開は以下の通り。
EQB250:788万円
EQB350 4マチック:870万円
まずはキモとなるパワートレインから解説していこう。
EQB250は、フロントアクスルに最高出力140kW/3550~1万1130rpm、最大トルク385Nm/0~3350rpmを発生する新設計のモーターを搭載して前輪を駆動。一方、EQB350 4マチックはフロントアクスルに最高出力143kW/5800~7600rpm、最大トルク370Nm/0~3600rpmを発生するモーター、リアアクスルに最高出力72kW/4500~1万4100rpm、最大トルク150Nm/0~4500rpmを発生するモーター、前後合わせて総出力215kW/520Nmを発生する動力源を搭載して4輪を駆動する。2つのユニットともに、前後アクスル間のフロア部に容量66.5kWhのリチウムイオン電池を配備。一充電航続距離はWLTCモードでEQB250が520km、EQB350 4マチックが468kmを、交流電力量消費率はWLTCモードでEQB250が147Wh/km、EQB350 4マチックが163Wh/kmを成し遂げた。
充電に関しては、6.0kW(200V・30A)までの交流普通充電と、100kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応。充電用ウォールユニット用の充電口(普通充電用ポート)はリアバンパー右側に、CHAdeMO用の充電口(急速充電用ポート)は右リアフェンダーに配置する。また、航続距離を延ばす目的で効率的な回生制御を導入。回生ブレーキの強度は、コースティングのD+、軽度の回生ブレーキのD、中程度の回生ブレーキのD-、前走車との車間距離や登坂・降坂などの道路状況などを加味して最適な強度の回生ブレーキを発生するD Autoという4段階の手動設定が可能で、ステアリング左側に回生レベルの上昇を担うパドルスイッチを、右側に低減を担うパドルスイッチを配備した。
エクステリアについては、メルセデス・ベンツのデザインの基本思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」をより先進的に表現する“プログレッシブ・ラグジュアリー”というコンセプトの下にデザインする。基本プロポーションは、前後のオーバーハングが短く、タイヤをボディの4隅に配置して居住空間を最大限確保するという機能的パッケージを大切にしたうえで、筋肉質でエモーショナルな都市型SUVの洗練されたフォルムを創出。エアロダイナミクスも最大限に重視し、専用の意匠とした前後バンパーやエプロン、空力特性や風切り音の低減を考慮したドアミラー、ボディ下側を流れる空気を整流するアンダーボディパネル、ルーフスポイラー、整流エッジを組み込んだリアコンビネーションランプなどを採用して、空気抵抗係数(Cd値)は最小で0.28を実現した。
各部のアレンジにも徹底してこだわる。
フロントマスクには、中央にスリーポインテッドスターを配したブラックパネルグリルを装備。水平に伸びる光ファイバーのデイタイムランニングライトの帯はフルLEDヘッドライトにつながり、昼夜を問わず容易に識別できるアレンジを施す。また、AMGラインパッケージではフロントのブラックパネルグリルにハイグロスブラックのフレームとツインルーバーをあしらい、引き締まったスポーティな印象を演出した。一方でサイドビューは、輪郭のはっきりしたショルダー部に、後方にいくにしたがってリアフェンダー周辺に筋肉質な印象を与えるベルトラインを配して、力強さと安定感を強調。ルーフには上質なポリッシュアルミルーフレールを装備する。そしてリアセクションは、左右のLEDコンビネーションランプをライトストリップと途切れることなく一体化して、ワイドで印象的な後ろ姿を創出。利便性を高めるEASY-PACK自動開閉テールゲートも標準で採用した。
内包するインテリアは、ワイド感を強調する造形のダッシュボードに、アルミニウムルックのチューブ形状デザインをドアやコンソール、助手席側のダッシュボードに施し、さらに前席エアアウトレットなどにモーターのコイルの色をモチーフとしたローズゴールドの色彩を、インパネにスパイラル調(バックライト付)インテリアトリムを配して、新しい時代のラグジュアリーコクピットを表現する。また、インパネには1枚のガラスカバーで融合された大型ディスプレイ(タッチスクリーン式10.25インチワイドディスプレイ/10.25インチコックピットディスプレイ)をセット。さらに、フロントのセンターコンソールとフロントセンターアームレスト内にUSB Type-Cポートを装備した。
キャビン空間自体は、2830mmのロングホイールを活かした3列式シートを配備したうえで、2列目シートには140mm調整が可能な60:40分割の前後スライド機構と40:20:40で前方に倒せる分割可倒機構を、3列目シートには50:50分割可倒機構を採用。また、2/3列目シートにはISOFIX対応固定装置およびトップテザーアンカー (固定ポイント)を組み込み、最大4つのチャイルドセーフティシートを取り付けることができる。シート表皮はローズゴールド/チタニウムグレーパールのレザーツインを標準で採用し、またオプションのAMGラインパッケージにはレッドステッチ入りブラックのレザーDINAMICAを、AMGレザーエクスクルーシブパッケージにはブラックのレザーを採用。ラゲッジスペースは3列目シート使用時で110リットル、3列目シート格納時で465リットル、2/3列目シート格納時で1620リットルの容量を確保した。ヒートポンプを配して消費するバッテリー電力を軽減する暖房システムや、乗車前にMBUXやMercedes meアプリから操作可能なプリエントリークライメートコントロールなどを装備して快適性を高めたことも、EQBのトピックだ。
セーフティ機構の強化にも抜かりはない。バッテリー周囲を強固なフレームで囲み、フレームとバッテリーの間には側面衝突時の衝撃を効果的に吸収する衝撃吸収素材を配置した高電圧システムの損傷防止構造を採用。また、バッテリー前部のプロテクションシールドによって、衝突時の他の車両や部品などの侵入による損傷を防止する。事故の際に自動的に停止して乗員および救助員を感電の危険から守る、高電圧システム停止機能も組み込んだ。一方で先進安全運転支援システムに関しては、高度化されたステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーの働きにより周囲の交通状況をより的確に把握することができるようになった最新のインテリジェントドライブを標準装備。さらに、車両前方もしくは後方1m以内に障害物があり、その方向に進むギアを選択した場合、アクセルを強く踏んでも時速2km/h以上の速度が出ず、警告音によりドライバーに誤操作の可能性があることを警告するドライブアウェイアシストや、360°カメラシステムを活用するアクティブパーキングアシストなどを標準で組み込んだ。
EQBにはテレマティクスやMercedes me connectにMercedes-EQ専用のプログラムも用意する。具体的には、Electric Intelligenceナビゲーション、充電ステーション情報、出発時刻・プリエントリークライメートコントロールの設定、エナジーフローや電費情報の表示、最大充電電流の設定などを採用。また、自然対話式音声認識機能を備えた対話型インフォテインメントシステムのMBUXは、従来の会話のほか、「充電ステーションを探して」など、電気自動車固有の機能にも対応する。さらに、安心のEVカーライフと充電サービスを提供する「Mercedes me Charge」も設定した。