トヨタ・ノアHV・S-Z(FF) 価格:THS 367万円
総合評価/73点
CDテストモード燃費/22.6km/リッター
印象的なのは、使い勝手の大幅な進化である。知れば知るほど、「ここまで手を加えたのか」と感心する。パッケージングは見直され、ボディ骨格の最適化により、左右のCピラー間距離が従来型比で75mmも拡大した。1400mmを超える室内高と相まって室内空間は開放感たっぷり。シートアレンジは多彩。旧型の2列目超ロングスライド機構は、いったんシートを横にスライドさせたが、新型はその必要がなくなった。3列目シートがワンタッチで跳ね上げられるようになった点も本当に便利だ。インテリアの質感も大幅に引き上げられている。
走りはスムーズで、なかなか力強い。「エンジン回転が先行して加速がひと呼吸遅れる」感覚がかなり低減されていた。右足の動きに合わせてリニアに応答し、踏み増すとそのとおり遅れなく加速。気持ちよく走れる。
足回りは適度に引き締まっている。路面への感度はやや高く、乗り心地は意外と硬め。そのぶんハンドリングは軽快で、ミニバンにありがちな重心の高い感覚は薄められている。ステアリングの操舵力は軽く、扱いやすい。
ACCは強力なモーターを持つ強みもあって、追従性能はまずまず。ただし、少し車間が開きぎみなのと、車線維持機能が「車線上に車輪が乗るところまでいってしまう」点が気になった。
注目の新機能として、全操作をクルマ側が行い、さらにスマートフォンでも操作できる駐車および出庫機能が挙げられる。
価格はずいぶん高くなった印象を受けるが、内容はそれに見合うだけ充実している。装備内容やリセールを含めて検討すると、お買い得感は高水準である。
全体においてそつがない。とくに使い勝手は、このクラスのミニバン・ユーザーが望むニーズを細かいところまで考え尽くした印象を受けた。走りは、ミニバンの弱点をできるだけ感じさせないように仕上げられている。新世代ハイブリッドのリニアなレスポンスも好印象。インフォテインメント系や先進運転支援装備系もトヨタの最新モデルらしく非常に充実している。この内容なら、少々高くなった価格も十分納得できる。
グレード=ハイブリッドS-Z(FF)
価格=THS 367万円
全長×全幅×全高=4695×1730×1895mm
ホイールベース=2850mm
車重=1670kg
エンジン=1.8リッター直4DOHC16V
エンジン最高出力/トルク=72kW(98ps)/142Nm(14.5kgm)
モーター最高出力/トルク=70kW(95ps)/185Nm(18.9kgm)
WLTCモード燃費=23.0km/リッター
駆動方式=FF