セレナとライバルの力関係はやはり気になるところ。ボディサイズは、セレナとノア/ヴォクシーが同等。ステップワゴンは全長がひと回り長い。3車とも全幅はほどほど。日本の道路環境でも持て余す心配はない。
ハイブリッド・システムは三車三様。エンジン/モーターとも強力なステップワゴンが、動力性能面は優位。燃費性能はノア/ヴォクシーがライバルを凌ぐ。走りにおいても、かつては鈍かったレスポンスが向上。印象は上々だ。セレナは、100%モーター駆動が魅力。アクセルワークに対する優れたレスポンスと、走りのダイレクト感が味わえる。ライバル2台はどうしても大なり小なり応答遅れがあるが、セレナにはない。市街地ではエンジンのかかる頻度を減らしたe-POWERの制御もあり、最も電動感が高い。
新規プラットフォームを得たノア/ヴォクシーは、e-4WDが選べる点が特筆できる。リアに強力なモーターを配した構成で、ハンドリングも気持ちいい。走りのレベルは、セレナもステップワゴンもなかなか高い。とくにセレナは基本設計が古いプラットフォームを「よくぞここまで仕上げ」たと感心する。車体の強化や足回りのチューニングの最適化はもちろん、3台の中で唯一、デュアルピニオン式の電動パワーステアリングを採用したことが効いて、軽く素直な動きを実現している。
静粛性はセレナがかなり高水準に達している。静かな印象のステップワゴンに対しても優位に立つ。ノア/ヴォクシーは「このクラスは、これくらいでよい」と割り切っているようだ。
車内の広々感は3車とも優秀。冷静に判断すると、サイズアップしたステップワゴンが最も広く感じる。これまでセレナが優位を保っていたが、そのアドバンテージは少ない。シートアレンジ性はセレナとノア/ヴォクシーが多彩さをアピール。対して、ステップワゴンはむしろシンプルであることを是としている。3列目シートは、ステップワゴンだけが床下格納式。3列目シートの前後スライドや、テールゲートの2WAY開閉システムはセレナだけ。なお、セレナのテールゲートは手動式だが、ライバルは電動ゲートを設定している。
先進運転支援装備については、ステップワゴンに対して優位と感じていたノア/ヴォクシーと比較しても、セレナが上回った印象。それは「2.0」ではないプロパイロット搭載車についても該当する。
日産セレナe:POWERハイウェイスターV/価格:368万6100円。セレナは1.4リッターエンジン(98ps)+モーター(163ps)のe:POWERと2リッターガソリン(150ps)の2シリーズ構成。駆動方式はe:POWERがFF。2リッターガソリンはFFと4WDを設定する。新型は従来モデルのプラットフォームを徹底ブラッシュアップしたうえで、e-POWERを中心にメカニズムを熟成。完成度を高めた。e:POWERハイウェイスターVは販売主力車種。WLTCモード燃費は19.3km/リッター。シートは撥水処理済みファブリック。
トヨタ・ノア・ハイブリッドS-Z(FF)/価格:367万円。ノアは1.8リッターエンジン(98ps)+モーター(95ps)のハイブリッドと2リッターガソリン(170ps)の2シリーズ構成。駆動方式は全車にFFと4WDを設定する。現行モデルは最新TNGA世代にプラットフォームを一新。ハイブリッドシステムや各種の安全・運転支援機能も大幅リファインし実力を大幅にアップ。全幅の全車3ナンバー化で室内空間も拡大している。S-Z(FF)のWLTCモード燃費は23.0km/リッター。BROS車のヴォクシーも基本的に同一内容
ホンダ・ステップWGN・e:HEVスパーダ・プレミアムライン/価格:384万6700円。現行モデルは初代に原点回帰。シンプルな箱型スタイルで広い室内を追求。ラインアップは2リッターエンジン(145ps)+モーター(184ps)のe:HEVと1.5リッターターボ(150ps)の2シリーズ。駆動方式はe:HEVがFF。1.5リッターターボはFFと4WD。メカニズムはプラットフォームを含め従来モデルがベース。スパーダ・プレミアムラインは最上級グレード。2列目はオットマン付き。WLTCモード燃費は19.5km/リッター