ロータスがメルセデスAMG製のM139型2リットル直4ターボエンジンを搭載したエミーラの実車を披露。最高出力はロータスの4気筒エンジン搭載車で史上最強の365psを発生
英国ロータスカーズは2023年7月13日(現地時間)、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2023において2リットル直4ターボエンジンを搭載するエミーラ(Emira)を公開した。
メーカー自ら「ロータスが造り上げた最高で最後のミッドシップエンジン・スポーツカー」を謳うエミーラは、その言の通り電動化されていない純内燃機関の新型車で、新しいロータスのスポーツカーアーキテクチャーに基づいて新設計した押出し結合のアルミニウムシャシーに、ミッドシップ配置のパワーユニットを採用した、2シーターのピュアスポーツカーに仕立てている。2年前に登場したエミーラは、これまで3.5リットルV6エンジン(3456cc・V型6気筒DOHC・VVT-iスーパーチャージャーエンジン、最高出力405ps/6800rpm、最大トルクMT420Nm/2700~6700rpm、AT430Nm/2700~6700rpm)を搭載するV6モデルを設定していたが、今回ロータスならではのライトウェイトスポーツの特性が存分に味わえる2リットル直4ターボエンジン搭載車をラインアップに加えた。
肝心のパワーユニットには、先進のチルキャスト製法で製造されたシリンダーブロックを採用するメルセデスAMG製のM139型1991cc直列4気筒DOHC16V・VVT直噴ガソリンターボエンジンを搭載。ミッドシップ化に即して吸気系およびエグゾーストシステムを変更し、合わせて新設計のソフトウェアを組み込む。ローラーベアリングを配したツインスクロールターボも、反応性の向上やターボラグの最小化を図った。最高出力は365ps/7200rpm、最大トルクは430Nm/3000~5500rpmを発生。エンジンカバーにはロータスの専用アレンジを施す。トランスミッションにはロータスとメルセデスAMGが共同で開発したパドルシフト付きの8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせ、迅速かつシームレスなシフトチェンジを実現。性能面では、0→100km/h加速が4.4秒、最高速度が290km/hを成し遂げた。
アイバッハ製スプリングとビルシュタイン製ハイプレッシャーモノチューブダンパーを組み込んだ前後ダブルウィッシュボーン式の足回りに関しては、ツアーサスペンション+グッドイヤーEagle F1 SuperSport LTSタイヤ(Road)、スポーツサスペンション+グッドイヤーEagle F1 SuperSport LTSタイヤ(Road)、スポーツサスペンション+ミシュランPilot Sport Cup 2 LTSタイヤ(Track)の3タイプから選択可能。また、サブフレームはV6モデルのスチール製からアルミ鋳造性に刷新し、さらなる軽量化を図る。一方、シューズにはダイヤモンドカットでプレミアムなツートン仕上げとした20インチ超軽量Vスポーク鍛造アロイホイールを装着し、無償オプションでシルバーまたはグロスブラックのバージョンも用意。タイヤは前245/35R20/後295/30R20サイズを組み込む。そして、制動機構にはAPレーシング4ピストンキャリパーに前φ370×厚32mm/後φ350×厚32mmディスクを配備し、ブレーキキャリパーのカラーはブラックが標準で、ほかにレッド、イエロー、シルバーを用意した。
エクステリアについては、電気自動車ハイパーカーの「エヴァイヤ」でデビューした彫刻のようなサーフェスとテクニカルなディテールを発展させたもので、ロータスの最新デザイン言語による完璧なプロポーションとアスレチックで鍛え込まれたシュリンクフォルムを創出する。各部のデザインにもこだわり、フロント部はフルLEDヘッドライト(ダブルブレードのデイタイムランニングライトを配備)や意図的に角ばらせたボンネットダクトなどを配し、精悍で印象的なマスクを実現。ダクトは空気の流れを誘導して空気抵抗を低減し、エミーラのパフォーマンスポテンシャルを高めると同時に、エヴァイヤとの視覚的なつながりを強調した。一方でサイドビューは、抑揚のあるフェンダー造形やエンジンへの吸気および冷却を担うエアインテーク、流れるようなルーフラインなどによって、ミッドシップスポーツらしい躍動感を具現化する。そしてリアセクションは、スリムなハイレベルブレーキライトでリンクされたフラットなC字型のLEDライトクラスターやホイールアーチ両端に配したエアアウトレット、バンパー上のパネル面に装着した“LOTUS”ロゴ、ダウンフォースを高めるディフューザーなどを装備して、アグレッシブな後ろ姿を演出した。ボディサイズは全長4413×全幅1895×全高1226mm、ホイールベース2575mmに設定。車両重量(DIN)は1446kgに収める。ボディカラーはヘセルイエロー、マグマレッド、ビビッドレッド、ダークバーダント、セネカブルー、アトランティスブルー、メリディアンブルー、オスミウムシルバー、ニンバスグレー、シャドーグレー、ジンクグレー、ミストホワイト、コスモスブラックという計13色をラインアップ。オプションとして、ルーフ、カントレール、ミラーバック、リアクラムシェルのロータスワードマークをグロスブラック仕上げとしたブラックパックを用意した。
内包するインテリアは、純粋な人間工学に基づいたデザインを採用したうえで、素材の品質や収納スペースの拡大、卓越したフィット感と仕上がり、豊富な先進技術などを高度に統合したことがトピックだ。ダッシュボードはドアトリムと一体化して乗員を包み込むようにアレンジし、合わせてソフトにトリミングした数タイプの内装仕様を設定。また、ステアリングにはメタリックスポークとコントロール操作系を備えたフラットボトムタイプのスポーツステアリングホイールを採用する。一方、シートに関しては4方向電動調整機構を組み込んだスポーツタイプを標準で装着し、オプションとして12方向電動調整を備えたプレミアムスポーツシートを用意。表皮はブラック、レッド、アイスグレー、タンのナッパレザーと、イエロー、レッド、アイスグレーのコントラストステッチが選べるブラックのアルカンターラを設定した。また、機能装備として、センター部にスマートフォンの充電スペースと2つのカップホルダーを、アームレスト部にUSBポートと12Vソケットを、ドア部に500mlのペットボトルが入るポケットやトレイを、シート後方に208リットルの収納スペースを、エンジン後部に151リットルのトランクルームを配備している。
インフォテインメントシステムの拡充にも抜かりはない。ダッシュボード中央には10.25 インチタッチスクリーンを、ドライバー前部には12.3インチTFTドライバーディスプレイを配し、ここに必要な情報を見やすく、かつ操作しやすく表示。また、ミラーリング機能のApple CarPlay/Android Autoも採用し、さらにオーディオには英国KEFと共同開発した10チャンネル/560Wプレミアムサウンドシステムを設定している。