日産がフェアレディZの2024年モデルを発表。高性能バージョンの「フェアレディZ NISMO」を新たにラインアップ。東京オートサロン2023に出展して注目を集めた「フェアレディZ Customized Edition」を再現できる日産純正アクセサリーパッケージの発売も予告
日産自動車は2023年8月1日、フェアレディZの2024年モデルを発表した。
車種展開および車両価格は以下の通り。
■VR30DDTTエンジン+6MT搭載車
フェアレディZ:539万8800円
フェアレディZ バージョンS:624万5800円
フェアレディZ バージョンST:665万7200円
■VR30DDTTエンジン+9M-ATx搭載車
フェアレディZ:539万8800円
フェアレディZ バージョンT:585万8600円
フェアレディZ バージョンST:665万7200円
フェアレディZ NISMO:920万400円
フェアレディZの2024年モデルは、機能装備のバージョンアップと新しい内外装色の設定を実施したほか、東京オートサロン2023に出展して脚光を浴びた「フェアレディZ Customized Edition」を再現できる日産純正アクセサリーパッケージの導入(本年10月下旬発売)や、高性能バージョンの「フェアレディZ NISMO」をラインアップしたことが特徴である。
まず機能装備の面では、全グレードにAmazon Alexaを標準で組み込んで利便性をアップ。また、ボディカラーにはS30型フェアレディZ432のボディカラーとして人気を博したグランプリオレンジを想起させる「432オレンジ」を新たにラインアップする。さらに、バージョンTおよびSTグレードにはブルーの特別内装色を追加設定した。
東京オートサロン2023に出展したフェアレディZ Customized Editionを再現できる新しい日産純正アクセサリーパッケージの内容を見ていこう。まずエントリーパッケージとして、往年の名車を彷彿とさせるフロントバンパー&グリルとドライカーボン製リアスポイラーを組み合わせた仕様を用意。どちらのパーツも特製デザインの“Fairlady Z”エンブレムを添付する。そして、エントリーパッケージに専用デザインの19インチアルミホイール、専用サイドエンブレム、フードデカール、ボディサイドステッカーをプラスしたフルパッケージを設定。フードデカールおよびボディサイドステッカーはミッドブラックのボディカラーにシルバー、それ以外の9色のボディカラーにブラックを採用している。
高性能バージョンのフェアレディZ NISMOに話を移そう。キモとなるパーユニットには、ターボのブーストアップとともに電動ウエストゲートバルブの制御を変更し、合わせて気筒別点火時期制御なども組み込んだ専用チューニングのVR30DDTT 型2997cc・V型6気筒DOHC直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力は通常ユニットの最高出力405ps/6400rpm、最大トルク48.4kg・m/1600~5600rpmから、同420ps/6400rpm、53.0kg・m/2000~5200rpmにまで引き上がる。さらに、ドライブモードのSPORT+をセレクトした際にはバルブタイミングを変更。アクセルを踏み込むと即時にトルクが発生するよう制御し、レスポンスをより高めた。エンジンのポテンシャルアップに即して水冷式インタークーラーのサブラジエーターを強化し、同時に高剛性エンジンマウントを配したことも、新パワーユニットのトピックである。
組み合わせるトランスミッションには、専用チューニングの9M-ATxを採用。クラッチプレートの枚数を増やすことで熱容量に対応し、合わせてシフトレスポンスを高めるためにクラッチストロークの短縮を図る。さらに、マニュアルモードではエンジン制御との協調によりコーナリング前のシフトダウンスピードを半減。ドライブモードにはNISMO専用のSPORT+モードを含む3モードを設定し、使用シーンに応じた最適なチューニングを施した。ドライブモードのSPORTとSPORT+選択時に、レーシングカー等でアクセルオフやシフトチェンジ時に発生するアフターバーン音をアクティブサウンドコントロールで再現したことも訴求点だ。
車体の基本となるボディ構造もNISMO専用の補強を実施する。専用フロントクロスバーを追加してフロントエンドを補強するとともに、リアにも専用ラゲッジアンダーブレースと専用リアアンダーフロアVバーを追加し、リヤフロアを強化。ボディのねじり剛性を高めることで、優れたステアリングレスポンスの実現に貢献している。一方でシャシー面に関しては、フロントに剛性を高めたステアリングラックインシュレータを、前後サスペンションに専用の高剛性サスペンションブッシュを装備。さらに、径を拡大したNISMO専用ダンパーとばね定数を最適化したスプリングおよびスタビライザーも組み込む。加えて、リアサスペンションのダンパーにはリバウンドスプリングを追加。そして、足もとにはNISMO専用タイヤ(前255/40R19 100Y XL/後285/35R19 103Y XL)&専用レイズ製19インチ鍛造アルミホイール(前10J×19/後10.5J×19)と専用4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ(前4ポッド/後2ポッド)+スポーツパッドを配備した。また、操舵機構は高速高G走行に対応したNISMO専用の操舵力設定に変更。さらにトラクションモードを新設定して、狙い通りのラインをトレースできるようチューニングした。
エクステリアについては、さらなるダウンフォースの発生を主眼にボディの空力性能を向上。GT-Rで培ったノウハウを投入し、新形状の専用フロントバンパーやアンダーカバー、カナード、サイドシルなどを装備する。フロントはバンパー下面形状によりリップ前の圧力上昇を最小化。バンパー先端とフロントリップスポイラーで気流を剥離させ、アンダーカバーで受ける負圧を最大化した。また、カナードはフロントホイールハウス周辺の圧力を下げてダウンフォースを増加。さらに、エンジンのハイパワー化に即して、ハニカムメッシュグリルとエアガイドスロープを配してラジエーターの冷却性能を向上させた。一方でリアセクションは、ダウンフォース向上と空気抵抗抑制の両立をテーマに専用パーツを装着。リアバンパーはサイドの張り出しと剥離を促進する形状により、車両背面への気流の巻き込みを防ぎ空気抵抗を抑制する。また、設置位置を見直すとともに大型化したNISMO専用リアスポイラーは、新たな断面形状によりバックドア上面の圧力を高めてダウンフォースを向上。幅方向の拡大により空気抵抗の抑制にも貢献する。そしてサイド部では、有効なダウンフォースを生み出すサイドシルプロテクターを配備するとともに、ブレーキへの冷却風コントロールも実施。フェンダー下面形状によりブレーキ冷却風を制御し、ブレーキエアガイドを介して気流をブレーキローターへ導風して冷却性能を向上させた。外装ではほかにも、NISMO専用カラーのサイドターンランプ付電動格納式リモコンカラードドアミラーやNISMO専用エンブレム、NISMO専用フェンダーモールなどを装備する。ボディサイズは通常モデル比で30mm長く、25mm幅広く、それ以外は同寸の全長4410×全幅1870×全高1315mm/ホイールベース2550mmに設定。ボディカラーは特別塗装色のNISMOステルスグレー/スーパーブラック 2トーンのほか、カーマインレッドCM/スーパーブラック 2トーン、ブリリアントシルバーM/スーパーブラック 2トーン、プリズムホワイト3P/スーパーブラック 2トーン、ミッドナイトブラックPという計5色をラインアップした。
内包するインテリアは、通常モデルのシンプルかつスポーティなコクピットをベースに、NISMOのキーカラーであるレッドを随所にあしらって、ドライビングに対するさらなる高揚感を演出。装備としては、NISMO専用本革・アルカンターラ巻ステアリング(レッドセンターマーク、レッドステッチ付)や専用プッシュエンジンスターター、専用アドバンスドドライブアシストディスプレイ(12.3インチカラーディスプレイ)、専用ドライブモードセレクターなどを組み込む。また、シートには専用チューニングのRECARO製スポーツシート(スライド、リクライニング、運転席/助手席)を装着。運転席へのクロスビーム追加によりバックシェルの剛性を高め、優れたシートバックのサポート性により体幹を安定させることで車両との一体感を向上させ、さらに肩甲骨を面で支える構造で横G発生時の保持性も高めて、ハイスピードコーナリングでも安定した姿勢で運転操作に集中することができるようアレンジしている。