令和の名車:マツダ・ロードスターSスペシャルパッケージ
マツダ・ロードスターSスペシャルパッケージ 価格:6MT 275万9400円/6SAT 287万9400円 ロードスターは写真のキャンバストップと電動リトラクタブルHT仕様のRFの2シリーズ エンジンはキャンバストップが1.5リッター(132㎰) RFは2リッター(184㎰)搭載
歴史を継承した最新モデルの価値
1stモデル、すなわちユーノス・ロードスター(NA型)がそうであったように、この先も多くのユーザーに愛されるスポーツカー......それが、最新のマツダ・ロードスターだ。
マツダ・ロードスターの歴史は1989年にスタートした。すでに30年の歴史を持つ。その中で、2015年に登場した4thモデル(ND型)が画期的な理由は、車両重量増とボディサイズ拡大に明確に終止符を打った点にある。
「衝突安全性の向上に必要」、あるいは「ユーザーの体格が大きくなっている」などという理由からボディサイズを拡大し、同時に「装備の充実」をうたって世代交代のたびに重量を増すのが、通例だった。だが、ND型は見事に軽量かつコンパクトになった。ND型を前にすると、「重厚長大」化を前提とした一般的なモデルチェンジ手法は、「テクノロジーの敗北ではないか!?」とも思う。
ND型のシートに腰を下ろし、まるで「構成するパーツの1ピースになったのではないか」というようなドライバーとクルマとの強い一体感を味わいながらスタート。即座に、スポーツカーの魅力の根源は強烈なパワーを発するエンジンではなく、「意のままにコントロールできる」という点にある事実を再認識する。
全長×全幅×全高3915×1735×1235㎜ 車重1010㎏(MT) 1stモデルのNA型比で全長は55㎜短く全幅は60㎜ワイド
圧倒的な一体感。これぞロードスターの魅力
環境への配慮を連想させる「ダウンサイジング」を掲げる一方で、過給器の助けを借りて400㎰、あるいは500㎰という出力を叩き出す強心臓モデルはいまや珍しくない。そんな中でソフトトップ仕様のND型のパワーユニットは1.5リッター。最高出力はわずか132㎰にすぎない。当然、動力性能は強心臓モデルとは、比べるまでもない。
一方で、勝るとも劣らないのは、まさに究極ともいえる「人とクルマの一体感」。太いタイヤが生み出す強大なグリップ力や、電子デバイスに頼らずに、狙ったラインを寸分の違いもなくトレースしていく走りは、ND型の特技。軽量かつコンパクト設計の勝利だ。
とくに軽やかなエンジンの吹き上がりと、スポーティなサウンドをBGMに、6速MTを操るときの小気味よさは最高。センターコンソール上に置いたひじをピボット(支点)にして、手首の動きだけで自在なシフトを行うドライビングは、本当に楽しい。
CO2排出量低減のための電動化や、運転支援システムの拡充が法制化されると、大幅な重量増やボディサイズ拡大は避けられない。
だからこそND型ロードスターには価値がある。ライトウエイトスポーツの本流。時を経ても色あせない名車の資質が、山ほど詰まっている。
室内は適度にタイト クルマとの一体感が味わえる ステアリングはチルト&テレスコピック機構付き
オープン時の開放感は最高 SPパッケージはファブリックシート標準 シートヒーターはセットオプション
マツダ・ロードスターSスペシャルパッケージ(MT) 寸法・重量:全長×全幅×全高3915×1735×1235㎜ ホイールベース2310㎜ 車重1010㎏ エンジン:1496㏄直4DOHC16V 132㎰/7000rpm 152Nm/4500rpm JC08モード燃費:16.8㎞/リッター サスペンション:フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク 駆動方式:FF 乗車定員:2名
※2015年5月デビュー/2018年6月マイナーチェンジ(スペックは2019年5月現在)