ランボルギーニ・ウラカン・ステラート/価格:7DCT 3116万5367円 試乗記
2013年のデビュー以来、数えきれないほど投入されてきたランボルギーニ・ウラカンの限定車の中でも、間違いなく最大級の「問題作」が登場した。その名はウラカン・ステラート。イタリア語でグラベルを意味する車名が示す通り、守備範囲をオフロードにまで拡大した全天候型スーパースポーツである。
外観はなかなか刺激的だ。先鋭的なウラカンのシャープなボディは44mmリフトアップされ、フロント、サイド、リアのアンダー部分には樹脂製のプロテクターが装着されている。前後フェンダーにもクラッディングが追加され、そこには前235/40R19、後285/40R19というサイズのブリヂストン・デューラーAT002が収まる。オフロードでの走破性とオンロード性能を両立させ、しかもランフラット構造という専用開発タイヤだ。
シュノーケル型のエアインテークも目をひく。標準仕様のウラカンはエンジンへの吸気をボディの両サイドから取り入れているが、ダートで横を向けて走らせると、ここから土や埃が入り込んでしまう。その対策として、吸気系が全面刷新されたのである。
お馴染みの5.2リッター・V10自然吸気エンジンは最高出力610hp、最大トルク560Nmというスペック。7速DCTを介して4輪に駆動力を伝達する。ハードウェアに標準車からの変更は無いが、ドライブモードの切り替えを可能とするANIMAの制御は変更され、SPORTはダートやグラベルでのドリフトしやすさを念頭に置いた設定に。さらに滑りやすい路面への対応を考慮し、前輪への駆動力配分を増やしたRALLYモードが新設定された。
クローズドコースでの試乗体験は鮮烈だった。まず舗装路では、素晴らしいコントロール性に驚嘆した。車高アップによりサスペンションストロークが前25%/後35%増加したことから、適度な姿勢変化により挙動がつかみやすくなっている。そしてどの回転域からでも鋭いピックアップで応える珠玉の自然吸気V10が、高いコントロール性に貢献している。
RALLYモードで走るグラベルは、もう笑いが止まらなかった。とにかくトラクションに優れるので、滑り出しても不安がない。それどころか、むしろアクセルを踏み込んだ方が安定する。どんどん右足に力が入ってしまう。3速全開でのドリフトも余裕で楽しめた。
最新のスーパースポーツは性能が上がりすぎ、サーキットでも持てる力をフルに引き出すのは簡単ではない。しかしウラカン・ステラートは違う。新たなアプローチによってオフロードでも、そしてオンロードでも思い切りアクセルを踏み込む楽しさに浸らせてくれた。
一般道での試乗でも、余裕ある地上高のおかげで段差もうねりも気遣いは無用。こんな爽快感、久しぶりである。いや、初めてかも? 冒頭に問題作と記したが、いやいやどうしてウラカン・ステラートの示したこの新世界は、スーパースポーツの新たな可能性を切り拓くものだと大いに唸らされた。
グレード=ウラカン・ステラート
価格=7DCT 3116万5367円
全長×全幅×全高=4525×1956×1248mm
ホイールベース=2620mm
乾燥重量=1470kg
エンジン=5204cc・V10DOHC40V
エンジン最高出力=610hp/8000rpm
エンジン最大トルク=560Nm/6500rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:235/40R19/リア:285/40R19
駆動方式=4WD
乗車定員=2名
0→100km/h加速=3.4秒
最高速度=260km/h
※スペックは欧州仕様