S660は「日本の誇り」という考察

令和の名車:ホンダS660モデューロX

IMG_7467.JPGホンダS660モデューロX 価格:6MT7CVT 285120円 モデューロXは「上質でしなやかな走り」をコンセプトに開発されたファインチューンモデル 足回りのセッティングは1stNSXを手がけたエンジニアが担当 ハンドリングは絶品

世界に類例のないマイクロスポーツ

 たとえ軽規格とはいえ、現在、ミッドシップの専用車体を持つことは、大メーカーにとってリスキーだ。それは世界の自動車メーカーを見渡してみればよくわかる。ミッドシップモデルをラインアップするメーカーは数えるほどしかない。ところがホンダは大小2車種、NSXとS660をそろえている。スーパーカー専門メーカーではないホンダの車種展開は、はた目には無謀に見える。いや、そうした夢を実践する姿勢こそが「ホンダらしさ」だろう。ぜひ、今後はその「中間」を発売してほしい。たとえば、アルピーヌA110やポルシェ・ボクスターと競合するミッドシップを!

 S660はミッドシップというだけで未来永劫、名車決定だ。ビートとセットでミントコンディションのモデルをキープしておけば、今後ちょっとした財産になる。世界で他に類を見ないのだから、それはもう間違いない。

 ボクは、スチールのモノコックボディが素晴らしいと思っている。実車で見ることはかなわない。けれども、それは途方もなく美しい。とくにサイドシルからリアのバルクヘッドにかけての形は生き物のような曲線を描き、ため息が出る。まさに機能美。ほとんど機械化されていない製造工程を見れば、その美しさに工芸的な価値を感じる。

 S660は、できればスケルトンボディで乗りたいほどだ。可能であればボディ単体とセットで保管したい。日本のモノ作り技術が詰まったスポーツカーであるという点もまた、名車の条件を満たすと思う。

IMG_7478.JPGモデューロXは5段階減衰力可変ダンパー標準 走行状況に応じて好みのセッティングができる 前後重量配分4555

貴重な3ペダルで楽しめるミッドシップ

 乗っても楽しい。全体のバランスがいい。64㎰のパワーに対し、ボディとシャシーが勝っているから、ガンガン踏んでも大丈夫。コントローラブルなミッドシップカーだ。たいていの無理はクルマが引き受けてくれる。安全なバイクを楽しむような感覚は貴重だ。

 しかも3ペダルのマニュアルを選ぶことができる。これがどんなに希少か_ ミッドシップカーのMTが新車で選べるモデルは、ロータス各車とポルシェのMR車、そしてS660だけである。

 ボクはS660のいっそうの進化と、基本設計を活用したミドルサイズモデルの誕生に期待する。大中小のミッドシップカーが揃ったなら、ホンダは、「手の届くスポーツカーのビッグネーム」としてその名前を世界にとどろかせるだろう。もっとも、高価なNSXと国内専用のS660という、いずれも少量生産モデルだからこそ成立したのかもしれない。

 S660はビートと並ぶ名車である。ミッドシップマイクロスポーツカーは、ドイツやイタリアのメーカーには絶対作れない。

IMG_7652.JPG室内はボルドーレッドとブラックで上質にコーディネート ステアリングは専用本革巻き ナビはディーラーop218160円)

IMG_7666.JPGシートは本革とスエード調素材のコンビ仕様 ホールド性と座り心地は良好

IMG_7452.JPGホンダS660モデューロXMT) 寸法・重量:全長×全幅×全高3395×1475×1180㎜ ホイールベース2285㎜ 車重830㎏ エンジン:658㏄直3DOHC12Vターボ 64㎰/6000rpm 104Nm2600rpm JC08モード燃費:21.2㎞/リッター サスペンション:前後ストラット 駆動方式:MR 乗車定員:2名 
※20153月デビュー/20187月グレード追加(※スペックは20195月現在)

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