マセラティが往年のスーパースポーツ「MC12」のレガシィを受け継ぐサーキット専用モデルの「MCエクストレーマ(MCXtrema)」を発表。専用設計のボディワークに730hpを発生する3リットルV6ツインターボエンジンを搭載。生産台数は62台限定
伊マセラティは2023年8月18日(現地時間)、米国カリフォルニア州モントレーで催されたザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング(The Quail Motorsports Gathering)において、新しいサーキット専用モデルの「MCエクストレーマ(MCXtrema)」を初公開した。
マセラティ自ら“ビースト(beast)”と謳うMCエクストレーマは、エンツォ・フェラーリの主要コンポーネントを流用したレースカーで、2004年にデビューしたマセラティの名スーパースポーツ「MC12」のレガシィを受け継ぐサーキット専用モデルに位置。企画および開発は、マセラティ・エンジニアリングとチェントロ・スティーレ(デザインセンター)が共同で手がけた。
ボディワークに関しては、軽量かつ高剛性なカーボンファイバーセントラルモノコックで構成。ここに完全にフラットなアンダーフロアや専用デザインのフロントスプリッターおよび調整可能なリアウィングとシャークフィン、サイドアンダースポイラー、彫刻的な造形のリアディフューザー、高効率な冷却システム、FIA第277条に則ったインテグレーテッドセーフティルーフハッチ、ポリカーボネート製のウィンドシールドおよびサイドウィンドウなどを配備する。ボディ長×幅は5199×2045mmに設定。乾燥車重は約1300kgに抑えた。
シャシー面については、前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションに専用セッティングの4ウェイアジャスタブルレーシングダンパーとスプリング、アンチロールバーを装備。足もとにはセンターロックシステムの18インチフォージッドアルミホイールを配する。また、制動機構にはカーボンファイバー製レーシングブレーキを装着。さらに、操舵機構にはドライビングスタイルに応じて調整可能なエレクトリックパワーステアリングを採用した。
シングルシーターのコクピットに関しては、サーキット走行に必要なコントロール性や安全性などを最大限に重視してアレンジする。装備としては、4点式ハーネスを配したレーシングバケットシートや6点式のレーシングセーフティロールケージ、5インチディスプレイ付きのカーボンファイバー&アルミニウム製マルチファンクションステアリングホイール、調整可能なステアリングコラムおよびレーシングペダルボックス、エアコンディショニングシステム、FIAスペックの消化器システムなどを採用。また、ステアリングの握り部や足もとの両サイドには人間工学に基づいたパッドを張る。オプションで助手席シートを装着することも可能とした。
ミッドシップ配置のパワーユニットには、点火システムにMTC (マセラティ・ツイン・コンバスチョン) ツインスパークおよびパッシブプレチャンバーを、ECUにボッシュ製MS 6.4 EVOを、排気系にツインテールパイプのレースエキゾーストシステムを採用した専用セッティングの“ネットゥーノ”2992cc・V型6気筒DOHC直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力は730hp(540kW)、最大トルクは730Nmを発生し、パワーウェイトレシオは1.8kg/hpという好数値を実現する。一方、トランスミッションには専用設計のパドルシフト付き6速シーケンシャルレーシングギアボックスを組み合わせて後輪を駆動。また、レーシングクラッチや機械式リミテッドスリップデファレンシャルも装備した。
なお、MCエクストレーマ(MCXtrema)の生産台数は62台の限定としている。