BMWがドイツで開催されたIAAモビリティ2023のプレビューイベントにおいて、BMWの近未来を予感させるデザインコンセプトモデルの「Vision Neue Klasse」を発表。BMWの伝統であるキドニーグリルやサイドウィンドウグラフィックのホフマイスターキンクなどを最新のデザイン言語で再構築。現実とバーチャルの世界をつなぐインターフェースとしての次世代BMW iDriveを採用
独BMWグループは2023年9月2日(現地時間)、ドイツのミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2023のプレビューイベントにおいて、最新デザインコンセプトモデルの「Vision Neue Klasse(ビジョン・ノイエ・クラッセ)」を初披露した。
BMWは本年1月に米国ネバダ州ラスベガスで催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」において、2025年にデビュー予定の「Neue Klasse(ノイエ・クラッセ=ニュー・クラスの意。BMWでは1962年に発売した新しい4ドアサルーンの1500で初めてこの呼称を使用)」の実現に向けた新たなマイルストーンとなる新型EVセダンのコンセプトモデル「i Vision Dee(iビジョン ディー)」を発表しているが、今回公開されたVision Neue Klasseはその発展型といえるモデルで、BMWにおける今後の電動化、デジタル化、循環性という中核分野における革新能力を結集した1台に仕立てている。
エクステリアは必要なもの以外を削ぎ落とし、広々とした車体面や前方に大きく傾斜したシャークノーズ、特徴的なキャラクターラインなどによって、クリアかつ先進的な3ボックスデザインを創出。また、デジタルサーフェスによって統合されたキドニーグリルおよびツインサーキュラーヘッドライトや、サイドウィンドウグラフィックのホフマイスターキンク、センサーによる自動開閉機構を有する面一なドア、21インチサイズのエアロダイナミックホイールを覆う力強い前後フェンダーライン、ミニマリズムが貫かれたリアビュー、3Dプリントされた光の要素が数段にわたって広がるリアコンビネーションライトなどによって、先鋭的でエモーショナルなセダンスタイルを構築する。さらに、イエローの色彩をわずかに加えて歓びの光のように輝く外装のカラーリングや、高精度な3次元アニメーションの照明効果により人間が車両に近づくとすぐに人間とクルマの間で直感的な対話が始まるヘッドライトおよび周辺のサーフェス、サイドウインドウ下部のE Ink要素によるウェルカムシナリオなどを配備して、先進性とエンターテインメント性を強調した。
インテリアについては、デジタル化とともにアナログ式の操作制御の簡素化を図り、デジタル体験や新感覚のドライビングプレジャーを邪魔するものがないようにデザインする。人とクルマの対話は、新開発のBMWパノラミックビジョン、平行四辺形の外形としたマトリクスバックライト付きのセンターディスプレイ、上下を平らにしたステアリングホイールのマルチファンクションボタンを通じて行う。市販の際のNeue Klasseに初搭載する予定のBMWパノラミックビジョンは、各種情報がドライバーの視線の先に理想的な高さで映し出され、かつフロントガラス全幅に見やすく投影。ドライバーが簡単なジェスチャー操作で、センターディスプレイに表示しているコンテンツをBMWパノラミックビジョンに移動させることも可能だ。さらに、BMWパノラミックビジョンとセンターディスプレイのグラフィック要素はアンビエントライティングと調和して動作し、豊かで新しいユーザー体験を提供する。一方、センターコンソールにはスマートフォンの充電クレードルとガラス仕上げのセレクターレバーを配備。フロントシートは1つのブラケットで床面に固定しており、リアコンパートメントの足もとには広々としたスペースを確保した。サステナブルな素材を多用したうえで明るいインテリアカラーを採用したことも、Vision Neue Klasseのトピックである。
パワートレインに関しては、第6世代のBMW eDriveテクノロジーを搭載。高効率の電気モーターに、従来の角型セルよりエネルギー密度を20%以上高めた新開発の円型バッテリーセルを組み合わせて、航続距離を最大30%延長するとともに、充電速度を最大30%高速化させる。結果として、車両全体の効率は現行の電動パワートレイン比で25%の向上を成し遂げた。
なお、BMWジャパンは2023年9月5日、本年10月26日~11月5日の日程で開催されるJAPAN MOBILITY SHOW 2023にブースを構え、Vision Neue Klasseを出展すると予告している。