ルノーがE-TECHハイブリッドのために用意する新グレード、「エンジニアード」が、アルカナに続いてルーテシアにも設定された。エンジニアードは、既存のE-TECHモデルに対する上級車種というポジショニングになる。
仕立てはアルカナと同様だ。エクステリアではフロントバンパーにウォームチタニウムカラーのF1ブレードが追加されるとともに、サイドプロテクションモール、専用17インチアルミホイールを装着。リアバンパーにもウォームチタニウムの差し色が入り、フロントグリル、エンブレム、サイドプロテクターはブラックになる。
インテリアは、ウォームチタニウムのステッチが入った本革巻きステアリングや専用シート、ドアトリムに加えて、エアコンルーバーにもウォームチタニウムのインサートが入る。インパネやドアトリムの一部はカーボン調パネルになり、アルミペダル、専用キッキングプレートを装備する。
ボディカラーは落ち着いた印象のグレーとブラックの2色。レッドやブルーといった原色をまとったルーテシアを多く見てきた経緯もあって、別のボディと錯覚してしまうほどシックな出で立ちだ。
内外装を見て、昔からフランス車に注目してきたボクの頭に浮かんだのは、1980年代の後半、ルーテシアの前身、5(サンク)に用意されたバカラだった。バカラはエレガントさに気を配ったモデル。仕立ての内容は異なるものの、上質で品のいい空間が共通している。
エンジニアードのE-TECHメカニズムはいままでどおり。1.6リッター直4エンジンに2基のモーターを組み合わせ、エンジン側にはドッグクラッチを用いた4速、メインモーターには2速のトランスミッションを用い、合わせて12通りの走行モードを持つ。エンジンスペックが91ps/144Nmと、アルカナやキャプチャーの94ps/149Nmより抑えられている点も、これまでと同じだ。
試乗はアルカナからの乗り換えだったこともあり、160kg軽いボディを生かした加速はダイレクト感にあふれていた。一方でエンジン音やロードノイズの遮断はアルカナほどではなく、車格の違いを教えられた。ただしエンジニアードにはBOSEのサウンドシステムが標準装備される。オーディオを楽しんでいるうちにノイズが気にならなくなったことも事実だ。
足回りの印象は素晴らしい。乗り心地は速度を上げるにつれてフラットでしっとりしたフィーリングになり、フットワークはルーテシアの持ち味である自然な身のこなしに、駆動用バッテリーをリアに積んだことによる重心の低さや前後重量配分の適正化が加わって、安定感が増していた。
かつての5バカラのエンジンは、他の多くのグレードが積んでいた1.4リッターではなく、新世代の1.7リッターだった。その結果、走りも上質に仕立てていたことを思い出す。余裕のあるE-TECHハイブリッドを得たエンジニアードは、その点でも5バカラの再来のように感じられた。
グレード=E-TECHエンジニアード
価格=マルチモードAT 379万円
全長×全幅×全高=4075×1725×1470mm
ホイールベース=2585mm
トレッド=フロント:1505/リア:1495mm
車重=1310kg
エンジン(無鉛プレミアム仕様)=1597cc直4DOHC16V
最高出力=67kW(91ps)/5600rpm
最大トルク=144Nm(14.7kgm)/3200
メインモーター最高出力=36kW(49ps)/1677〜6000rpm
メインモーター最大トルク=205Nm(20.9kgm)/200〜1677rpm
サブモーター最高出力=15kW(20ps)/2865〜10000rpm
サブモーター最大トルク=50Nm(5.1kgm)/200〜2865rpm
駆動用バッテリー総電力量=1.2kWh
WLTCモード燃費=25.2km/リッター(燃料タンク容量42リッター)
(WLTC市街地/郊外/高速道路:21.9/26.2/25.5)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.5m