マツダが新開発のロータリーエンジンを発電機として使用するPHEVモデル「MX-30 Rotary-EV」の予約受注を開始。発売は本年11月を予定

「マツダはロータリーをあきらめない――」がついに市販モデルへ。マツダがロータリーエンジンを発電機として使うプラグインハイブリッドモデル「MX-30 Rotary-EV」の予約販売をスタート。グレードはエントリーモデルのRotary-EV、ブラウン内装のRotary-EV Industrial Classic、ホワイト内装のRotary-EV Modern Confidence、新設定でブラック内装のRotary-EV Natural Monotoneのほか、特別仕様車としてRotary-EV Edition Rをラインアップ

 マツダは2023年9月14日、ロータリーエンジンを発電機として使用するプラグインハイブリッドモデル「MX-30 Rotary-EV(エムエックス サーティー ロータリー イーブイ)」の予約受注を開始した。発売は本年11月を予定する。

▲マツダMX-30 Rotary-EV Natural Monotone 価格:478万5000円 全長4395×全幅1795×全高1595mm ホイールベース2655mm 車重1780kg 乗車定員5名 ハイブリッド燃費(WLTCモード)15.4km/リットル EV走行換算距離(WLTCモード)107km 写真のボディカラーはジルコンサンドメタリック(2トーン)

▲マツダMX-30 Rotary-EV Natural Monotone 価格:478万5000円 全長4395×全幅1795×全高1595mm ホイールベース2655mm 車重1780kg 乗車定員5名 ハイブリッド燃費(WLTCモード)15.4km/リットル EV走行換算距離(WLTCモード)107km 写真のボディカラーはジルコンサンドメタリック(2トーン)

 

車種展開および車両価格は以下の通り。

Rotary-EV:423万5000円

Rotary-EV Industrial Classic:478万5000円

Rotary-EV Modern Confidence:478万5000円

Rotary-EV Natural Monotone:478万5000円

特別仕様車Rotary-EV Edition R:491万7000円

▲マツダMX-30 Rotary-EV Industrial Classic 価格:478万5000円 写真のボディカラーはマシーングレープレミアムメタリック

▲マツダMX-30 Rotary-EV Industrial Classic 価格:478万5000円 写真のボディカラーはマシーングレープレミアムメタリック

▲マツダMX-30 Rotary-EV Modern Confidence 価格:478万5000円 写真のボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック(2トーン)

▲マツダMX-30 Rotary-EV Modern Confidence 価格:478万5000円 写真のボディカラーはソウルレッドクリスタルメタリック(2トーン)

▲マツダMX-30 Rotary-EV 価格:423万5000円 写真のボディカラーはアークティックホワイト

▲マツダMX-30 Rotary-EV 価格:423万5000円 写真のボディカラーはアークティックホワイト

 

 ロータリーエンジンを発電機として使うプラグインハイブリッドモデルのMX-30は、本年1月開催のブリュッセルモーターショーにおいて「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の車名を冠してワールドプレミアを飾る。市販モデルでは、よりシンプルに「MX-30 Rotary-EV」のネーミングに変更。MX-30の基本的な提供価値はそのままに、バッテリーEVとしての使い方を拡張したシリーズ式プラグインハイブリッドモデルとして登場した。特徴としては、「EVとして使う」ことを主体とする考え方のもと、①日常をEVとして使用するにあたって十分な107kmのEV航続距離に加え、ロータリーエンジンによる発電でさらなる長距離移動も不安がない②100%モーターで走行するシリーズ式の駆動方式とすることでEVモデルのような純粋で心地よいドライビング体験が走行中ずっと続く③EVと同じように使える充電・給電性能が備わっている、という3つの価値を掲げている。

▲特別仕様車マツダMX-30 Rotary-EV Edition R 価格:491万7000円 ボディカラーは専用色のマローンルージュメタリック/ジェットブラックマイカ(2トーン)

▲特別仕様車マツダMX-30 Rotary-EV Edition R 価格:491万7000円 ボディカラーは専用色のマローンルージュメタリック/ジェットブラックマイカ(2トーン)

 

 これらの価値を実現するキーとなるのが、発電機として使用する新開発のロータリーエンジンだ。ロータリーエンジンは同程度の出力を持つレシプロエンジンと比べて小型かつ軽量という特長を有する。このロータリーエンジンを発電機として活用することで、EVと100%モーターで駆動するシリーズハイブリッドの強みを融合し、EVとしての使い方を拡張した独自のPHEVに仕立てた。ロータリーエンジン自体は8C-PHの型式をつけた830ccの筒内直噴式(Di)シングルローターで、11.9の圧縮比から最高出力53kW(72ps)/4500rpm、最大トルク112Nm(11.4kg・m)/4500rpmを発生。また、ロータリーエンジンの省スペース性を活かし、薄型で高出力なジェネレーター、最高出力125kW(170ps)/9000rpm、最大トルク260Nm(26.5kg・m)/0~4481rpmを絞り出す高性能のMV型モーターと組み合わせて同軸上に配置し一体化することで、室内空間を犠牲にすることなくモータールームに搭載して前輪を駆動する。一方、フロア下には総電力量17.8kWhを確保したリチウムイオンバッテリーを配備。50リットルの燃料タンクを組み合わせることにより、普段はEVとして使えるEV航続距離を持ちながら、さらなる長距離ドライブもロータリーエンジンによる発電で充電の不安なく行える。性能の数値としては、ハイブリッド燃費がWLTCモードで15.4km/リットル、EV走行換算距離が同モードで107kmを実現した。

▲ロータリーエンジンは8C-PHの型式をつけた830ccの筒内直噴式(Di)シングルローターで、11.9の圧縮比から最高出力53kW(72ps)/4500rpm、最大トルク112Nm(11.4kg・m)/4500rpmを発生する

▲ロータリーエンジンは8C-PHの型式をつけた830ccの筒内直噴式(Di)シングルローターで、11.9の圧縮比から最高出力53kW(72ps)/4500rpm、最大トルク112Nm(11.4kg・m)/4500rpmを発生する

▲ロータリーエンジンの省スペース性を活かし、薄型で高出力なジェネレーター、最高出力125kW/最大トルク260Nmを絞り出す高出力のMV型モーターと組み合わせて同軸上に配置し一体化することで、室内空間を犠牲にすることなく、モータールームに搭載する。フロア下には総電力量17.8kWhを確保したリチウムイオンバッテリーを配備

▲ロータリーエンジンの省スペース性を活かし、薄型で高出力なジェネレーター、最高出力125kW/最大トルク260Nmを絞り出す高出力のMV型モーターと組み合わせて同軸上に配置し一体化することで、室内空間を犠牲にすることなく、モータールームに搭載する。フロア下には総電力量17.8kWhを確保したリチウムイオンバッテリーを配備

 

 走りの特性としては、高速道路や登坂時などにおいてロータリーエンジンで発電しているときも、すべての走行シーンをモーターで駆動。また、急な加速で大きな出力が必要な場面や、目的地で給電機能を使うためにバッテリーの残量を温存しておきたい時、あるいは長距離移動を行う時などは、走行中にロータリーエンジンによる発電を行い、バッテリーに必要な電力を供給する。ドライブモードとしては、走行シーンや使用用途に応じて選択できる「ノーマルモード」「EVモード」「チャージモード」の3つのモードを設定。ノーマルモードはロータリーの発電電力との組み合わせで走りの良さを提供し、一方でEVモードはできるだけ長くEVとして走行を続けたいときに選択する。そしてチャージモードは、夜間の住宅街などで静かに走りたいシーンやキャンプなどでの給電機能の使用に備えて、必要なバッテリー残量を確保しておきたいときに使用するパターンだ。EVモデルで培った車両運動制御技術、具体的にはエレクトリック G-ベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)やモーターペダル、回生協調ブレーキなどを適用することで、全方位につながったシームレスな車両挙動、常に路面に吸い寄せられているかのような落ち着きのある走りの質感、直感的に扱えて手足のように動かせるコントロール性という“人馬一体”を実現したことも、MX-30 Rotary-EVの走りの訴求点である。

▲ドライブモードとして走行シーンや使用用途に応じて選択できる「ノーマルモード」「EVモード」「チャージモード」の3つのモードを設定

▲ドライブモードとして走行シーンや使用用途に応じて選択できる「ノーマルモード」「EVモード」「チャージモード」の3つのモードを設定

▲EVモデルで培った車両運動制御技術、エレクトリック G-ベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)やモーターペダルなどを組み込んで“人馬一体”の走りを実現する

▲EVモデルで培った車両運動制御技術、エレクトリック G-ベクタリング コントロール プラス(e-GVC Plus)やモーターペダルなどを組み込んで“人馬一体”の走りを実現する

 

 充電に関しては、普通(AC)充電と急速(DC)充電の両方の充電方式に対応。充電時間はAC3kWで0→100%を約6時間20分、AC6kWで0→100%を約3時間、DC40kW以上で0→80%を約25分でこなす。スマートフォンアプリ「MyMazda」を利用すれば、クルマから離れた場所でも充電状態の確認が可能だ。また、給電機能である「V2L」(Vehicle to Load)と「V2H」(Vehicle to Home)にも対応。V2Lでは、荷室に1500Wまで対応可能なAC電源を、フロントコンソールに走行中でも使用可能な150WのAC電源を設置。別売の可搬型外部給電器を使えば、3000Wまたは4500Wまでの給電が可能である。一方、V2Hでは建物に設置した充放電(別売)に接続することで、クルマから建物に電力を供給し、万が一の停電時も電気を使用することが可能。災害時においては、17.8kWhのバッテリー満充電と燃料タンク満タンのロータリーエンジンによる発電を組み合わせ、約9.1日分(一般的な家庭での1日の使用電力量を10kWhとした場合の試算)の電力供給を可能としている。

▲充電に関しては普通(AC)充電と急速(DC)充電の両方の充電方式に対応する

▲充電に関しては普通(AC)充電と急速(DC)充電の両方の充電方式に対応する

▲給電機能である「V2L」(Vehicle to Load)と「V2H」(Vehicle to Home)にも対応。荷室には1500Wまで対応可能なAC電源を設置

▲給電機能である「V2L」(Vehicle to Load)と「V2H」(Vehicle to Home)にも対応。荷室には1500Wまで対応可能なAC電源を設置

 

 エクステリアについては、2種類のMX-30 Rotary-EV専用バッジを装着したことがトピック。車体のテール部右側には“e-SKYACTIV R-EV”バッジを、フロントフェンダー上には中央部分に発電を意味する“e”の文字をモチーフとして入れたロータリーエンジンの形状を模したバッジを配備する。また、足もとにはリム周辺の断面を最適な形状に改良することで空気抵抗の低減と軽量化の両立を成し遂げた、新形状の7J×18アルミホイール(タイヤサイズは215/55R18 95H)を組み込んだ。

▲中央部分に発電を意味する“e”の文字をモチーフとして入れたロータリーエンジンの形状を模したバッジをフロントフェンダー上に配備

▲中央部分に発電を意味する“e”の文字をモチーフとして入れたロータリーエンジンの形状を模したバッジをフロントフェンダー上に配備

▲車体のテール部右側に“e-SKYACTIV R-EV”バッジを装着

▲車体のテール部右側に“e-SKYACTIV R-EV”バッジを装着

▲足もとにはリム周辺の断面を最適な形状に改良することで空気抵抗の低減と軽量化の両立を成し遂げた新形状の7J×18アルミホイールを装着

▲足もとにはリム周辺の断面を最適な形状に改良することで空気抵抗の低減と軽量化の両立を成し遂げた新形状の7J×18アルミホイールを装着

 

 内包するインテリアは、従来のホワイト内装「Modern Confidence」とブラウン内装「Industrial Classic」の2色に加えて、新たにブラック内装の「Natural Monotone」を設定。既存のMX-30のイメージにない、シャープなスタイリッシュさやニュートラルでアクティブなライフスタイルを想起させるキャビン空間に仕立てた。

▲新たにブラック内装の「Natural Monotone」を設定。既存のMX-30のイメージにない、シャープなスタイリッシュさやニュートラルでアクティブなライフスタイルを想起させるキャビン空間に仕立てる。シート表皮はクロス(ブラック)+合成皮革(ブラック)

▲新たにブラック内装の「Natural Monotone」を設定。既存のMX-30のイメージにない、シャープなスタイリッシュさやニュートラルでアクティブなライフスタイルを想起させるキャビン空間に仕立てる。シート表皮はクロス(ブラック)+合成皮革(ブラック)

▲ブラウン内装の「Industrial Classic」。シート表皮はクロス(ブラック)+合成皮革(ブラウン)

▲ブラウン内装の「Industrial Classic」。シート表皮はクロス(ブラック)+合成皮革(ブラウン)

▲ホワイト内装の「Modern Confidence」。シート表皮はクロス(グレー)+合成皮革(ホワイト)

▲ホワイト内装の「Modern Confidence」。シート表皮はクロス(グレー)+合成皮革(ホワイト)

▲標準仕様のRotary-EVの内装。シート表皮はクロス(グレー/ブラック)

▲標準仕様のRotary-EVの内装。シート表皮はクロス(グレー/ブラック)

 

 最後に、特別仕様車のRotary-EV Edition Rの概要を紹介しよう。

 ロータリーエンジンの復活、すなわち“Return”の頭文字を車名に冠したEdition Rは、ルーフの差し色にマツダ初の乗用車である「R360クーペ」のルーフ色を復刻した、専用色のマローンルージュメタリックを採用。ジェットブラックマイカのボディカラーとの組み合わせによって、シックかつ上品なルックスを創出する。また、キーシェルを正面の曲線が MX-30 Rotary-EVに搭載するロータリーエンジン内部のローター局面と同じ角度の曲線になるようデザインした、専用のキーフォブを装備。キーシェル表面の両端には段差を設け、ローターアペックス(頂点のシール溝)と同じ2.6mmに設定し、艶加工を施したうえでキーシェル正面に“Edition R”ロゴを刻印した。

▲特別仕様車のRotary-EV Edition Rはルーフの差し色に専用色のマローンルージュメタリックを採用。ジェットブラックマイカのボディカラーとの組み合わせによってシックかつ上品なルックスを演出する

▲特別仕様車のRotary-EV Edition Rはルーフの差し色に専用色のマローンルージュメタリックを採用。ジェットブラックマイカのボディカラーとの組み合わせによってシックかつ上品なルックスを演出する

▲キーシェル正面に“Edition R”ロゴを刻印した専用のキーフォブを採用

▲キーシェル正面に“Edition R”ロゴを刻印した専用のキーフォブを採用

 

 インテリアについては、ボディカラーと同様にブラック基調の内装色を採用。また、運転席、助手席、後席のフロアマットに“Edition R”ロゴを配したオレンジのタグと、オレンジのステッチ、メッキ処理した専用バッジ(運転席/助手席)を配した専用タイプを装備する。さらに、クロス+合成皮革を張った前2席シートのヘッドレストには、MX-30 Rotary-EV専用バッジを模したマークと“Edition R”ロゴのエンボス加工を施し、ロータリーエンジン搭載車であることをさりげなくアピールしている。

▲インテリアはブラック基調で構成。クロス+合成皮革を張った前2席シートのヘッドレストにはMX-30 Rotary-EV専用バッジを模したマークと“Edition R”ロゴをエンボス加工で入れる

▲インテリアはブラック基調で構成。クロス+合成皮革を張った前2席シートのヘッドレストにはMX-30 Rotary-EV専用バッジを模したマークと“Edition R”ロゴをエンボス加工で入れる

▲フロアマットに“Edition R”ロゴを配したオレンジのタグと、オレンジのステッチ、メッキ処理した専用バッジ(運転席/助手席)を配した専用タイプを装備

▲フロアマットに“Edition R”ロゴを配したオレンジのタグと、オレンジのステッチ、メッキ処理した専用バッジ(運転席/助手席)を配した専用タイプを装備

 

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