フェラーリ・ジャパンは6月25日、新世代のV8ミッドシップスポーツカーとなる「F8トリブート(F8 Tributo)」を日本で発表した。
▲フェラーリ・F8トリブート 全長4611×全幅1979×全高1206mm ホイールベース2650mm 車重1330kg 性能面では0→100km/h加速2.9秒 0→200km/h加速7.8秒 最高速度340km/hと公表
今年2月にイタリア本国で発表され、3月開催のジュネーブ・ショーでワールドプレミアを飾ったF8トリブートは、「488GTB」の後継を担うV8ベルリネッタ(クーペ)の最新モデルだ。車名はフェラーリのF、エンジン気筒数の8、歴代V8フェラーリへの賛辞や捧げものを表すTributoで構成する。
設計を見直したプラットフォームに縦置きミッドシップ搭載されるエンジンは、新たなカムプロファイルや強化したピストンおよびバルブスプリングを採用した3902cc・V型8気筒DOHCツインターボユニットで、最高出力は720ps/8000rpm、最大トルクは770N・m(78.5kg・m)/3250rpmを発生。従来の488GTBと比べて50psものアップを図り、しかもリッター当たり馬力は185ps/lというフェラーリ製エンジン最高の数値を達成する。また、新V8エンジンはターボラグを感じさせることなく最高出力を発揮し、同時に刺激的なエグゾーストサウンドを奏でることも特徴だ。組み合わせるトランスミッションには7速デュアルクラッチのギアボックスを採用。最新バーションのフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE+)やF1トラクション・コントロール・システム(F Track)、サイドスリップ・アングル・コントロール・システム6.1(SSC6.1)などのデバイスも組み込んで後輪を駆動する。性能面では0→100km/h加速が2.9秒、0→200km/h加速が7.8秒、最高速度が340km/hと公表された。
▲車両デザインはフェラーリ・スタイリングセンターが担当 エクステリアではエアロダイナミクスが徹底追求される また歴代のV8フェラーリに敬意を表してかつてのデザインモチーフを鋭意取り入れた
車両デザインに関しては、フェラーリ・スタイリングセンターが担当する。まずエクステリアでは、エアロダイナミクスを徹底追求。効率的なダウンフォースを発生するF1由来の要素も多数取り込んだ。フロント部にはバンパーの開口部から取り込んだ空気がダクトを通ってボンネット上部に設けた排出口から抜けることでフロントアクスル上にダウンフォースを発生させる改良版のS-Ductを装備。また、よりコンパクト化したフラットタイプの新型LEDヘッドランプの採用により、ブレーキ冷却用の新型インテークをバンパー外側のインテークと一体化させ、ホイールアーチ全体の気流を改善する。ほかにも、大型タイプのブロウンリアスポイラーやボディ下部に配するボルテックスジェネレーター、空気抵抗を低減するリアフラックスディフレクターおよびアクティブエアロダイナミクスリアディフューザーなどを導入。空力性能は488GTBに比べて確実に向上した。
▲フェラーリのV8ミッドシップスポーツカー伝統のドライバー重視のコクピットデザインを踏襲しながらダッシュボードやドアパネルなど個々の要素をすべて再設計する
車名が示す通り、歴代のV8フェラーリに敬意を表して、かつてのデザインモチーフを鋭意取り入れたことも外装のトピックだ。エンジンルームを覆うレキサン製リアウインドウは、1987年にデビューしたF40の造形要素を現代的にアレンジ。さらに、丸型4灯式のリアコンビネーションランプおよびボディ同色のテールパネルは、1975年デビューの308GTBをヒントにしてリデザインしている。
▲ボディと同色のラインを入れたバケットタイプのシートを装着 新型7インチのパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイも採用する
インテリアについては、フェラーリのV8ミッドシップスポーツカー伝統のドライバー重視のコクピットデザインを踏襲しながら、ダッシュボードやドアパネルおよびトランスミッショントンネルなど、個々の要素をすべて再設計する。また、新世代のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)のほか、新タイプの小径ステアリングホイールやスイッチ類、新型7インチのパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイ、ボディと同色のラインを入れたバケットタイプのシートなどを装備し、新世代のスポーツカーらしいキャビン空間を構築した。
▲ミッドシップに縦置き搭載される3902cc・V型8気筒DOHCツインターボユニットは最高出力720ps/8000rpm、最大トルク770N・m/3250rpmを発生
F8トリブートの車両価格は未公表だが、488GTBよりは上と見られ、3000万円台の前半と予想される。