「EQ」は、メルセデスのBEVシリーズ。その最新モデル、EQE・SUVが上陸した。短時間かつ大半が高速道路という限られたシチュエーションだが、早速テストドライブを行った。
試乗車は「AMGラインパッケージ」と「エクスクルーシブパッケージ」を標準装備したEQE350・4マティックSUVローンチエディション。前に71kW、後に144kWのモーターを備えた4WDである。
EQE・SUVはひと足先にデビューしたEQS・SUVの弟分的な存在。2018年にローンチされたEQCとのギャップを埋めるポジショニングになる。
プラットフォームはEQS・SUVと同様の「EVA2」と呼ばれるBEV専用構造。ボディサイズは全長×全幅×全高4880×2030 ×1670mm。EQS(同5135×2035×1725mm)と比較すると全長は明確に短く、ホイールベースも180mmのマイナス。それを受けて、前後車軸間に敷き詰められる駆動用バッテリーの容量は107.8kWhから89kWhへと減少した。とはいえ250㎏ほどの重量減と、新たに採用されたフロントアクスルの抵抗を低減させるDCU(ディスコネクトユニット)の効果によって、1充電走行距離(WLTCモード)は528km。EQS450・4マティックSUVの593kmに迫るデータになっている。
エクステリアは個性的なモノフォルム。Cd値は0.25とクラストップ級。長いホイールベースとブラックパネル化されたフロントマスク。左右が繋がったテールランプなど、さまざまなポイントに共通項を持つこともあり、たたずまいはEQS・SUVに近い。
雰囲気の近似性はインテリアも同様。ダッシュボード全幅がディスプレイ化された「MBUXハイパースクリーン」を経験した後では多少普通に映るものの、各部のデザインと仕上げは十分にクオリティが高く未来的である。空間そのものも広く、着座位置が高いこともあり開放感も抜群だ。
走りのスムーズさは、さすがのレベル。前述のようにプラットフォームを共有し、かつ出力上は多少の差があるものの前後にモーターを備えることもあって、走りの上質感は兄貴分のEQS・SUVと同等だ。床下整流を含めた徹底した空力対策が施されていることもあり、速度が高まってもノイズレベルが低く抑えられている点もさすがだ。ただし、それでもEQS・SUVに比べると、わずかにロードノイズが目立ちがち。静粛だが、やはり無音ではない。
取り回し性は、なかなか良好。後輪が10度も切れる4WSを標準装備しているため、最小回転半径は、コンパクトカーと同等の4.8m。全幅が2mをオーバーしているとはいえ、運転は容易だ。「日本の環境下で扱いやすい」とまではとてもいえないサイズと重量ではあるが、それでも、多少なりとも「身の丈感」が感じられるプレミアムBEVである。
グレード=350・4マチックSUV・ローンチエディション
価格=1369万7000円
全長×全幅×全高=4880×2030×1670mm
ホイールベース=3030mm
トレッド=フロント:1650/リア:1650mm
車重=2630kg
モーター型式=交流同期電動機
モーター最大出力=フロント:70kW/リア:144kW
モーター最大トルク=フロント:251Nm/リア:514Nm
一充電走行距離=528km(WLTCモード)
駆動用バッテリー=リチウムイオン電池(ブレードバッテリー)
駆動用バッテリー総電力量=89kWh
サスペンション=フロント:4リンク/リア:5リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:255/45R20/リア:265/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=4.8m