【注目モデル解説】2500万円で手に入る夢空間。新型トヨタ・センチュリーが提示する日本の「おもてなし」世界

センチュリーは後席に「特別な人」を乗せるためのショーファードリブン。室内は4シーター構成。ビジネス/プライベートでの移動を豊かにする工夫を満載。広さはアルファード/ヴェルファイアと同等。価格は2500万円

センチュリーは後席に「特別な人」を乗せるためのショーファードリブン。室内は4シーター構成。ビジネス/プライベートでの移動を豊かにする工夫を満載。広さはアルファード/ヴェルファイアと同等。価格は2500万円

センチュリーは「トヨタのモノ作り」を象徴する存在

 トヨタ・センチュリー、日産プレジデント、三菱デボネアなど、かつて日本の自動車メーカーには「特別」な人のための高級サルーンがラインアップされていた。これらは後席の乗員を優先した「ショーファードリブンカー」として開発され、主に官公庁や企業の役員車としての活用がほとんどだった。そのため、オーナードライバーにとっては縁のない「裏メニュー」のような存在と認識されていた。

 それゆえ販売台数が伸びず、多くのモデルは生産終了……。しかし、トヨタは1967年に初代を世に送り出して以降、50年以上にわたりセンチュリーを継承・進化させてきた。余談になるが、センチュリーのネーミングはトヨタ・グループ創設者・豊田佐吉翁の生誕100年が1967年だったことに由来している。

 現行モデルは2018年に登場した3代目だ。開発コンセプトは初代から続く「匠の技」、「高品質のモノ作り」と「最先端技術」である。パワートレーンは5リッター・V8(2UR-FSE)+モーターを組み合わせたハイブリッド(先代レクサスLS600h用のリファイン版)を採用した。

新01 歴代センチュリーは、セダンボディのみの設定だった。しかし登場から56年目にして新たなボディタイプが追加された。それが今回発表された「センチュリー」だ。誕生の理由をトヨタ自身は次のように語っている。

「これからもセンチュリーがお客様に「おもてなし」をお届けするにはどうすればいいかを真剣に検討してきました。その結果、車内での休憩やオンライン会議など「移動の時間」をより有効に使えることが、新たなおもてなしだと考えたのです。その最適なパッケージングがこの形です」。
 新型は、一段と移動の時間を豊かにするセンチュリー。ここでは従来型をセダン、新型は便宜上、シン・センチュリーと表記する。

厚みのあるボディが重厚感を演出。PHEVはシステム出力412psを誇るパワフル版

 エクステリアはボクシーで厚みのある端正なフォルムで構成。職人によって磨き抜かれた平滑な塗装面、額縁を思わせる窓枠、太いピラー、鳳凰のエンブレムが、ひと目でセンチュリー・ファミリーだと実感させる。もちろんフロントグリルやボディ下部の処理は現代的なデザイン手法が用いられている。

リアドア開け ちなみに基本パッケージはセダンのエンジン縦置きFRではない。シンは横置き4WDレイアウトを採用する。これはコスト的な問題ではなく室内空間確保のため。センチュリーは後席優先のクルマであり、「居住性を考えたときの最適解がこの形」というわけだ。

 インテリアは水平基調のインパネ、縦方向に貫くセンターの大型コンソールなど、エクステリア同様にセンチュリー・ファミリーであることがわかる。質感の高さはいうまでもないが、各種スイッチ類は運転手の操作が後席のパッセンジャーに感づかれないような位置にレイアウトされる。

キャビン01キャビン02 シン・センチュリー最大の魅力は、エンジン横置きレイアウトを活かした居住空間だ。後席は独立した2座仕様で、ヘッドクリアランス以外はアルファード/ヴェルファイアと同等。ちなみにリアドアは通常のスイング式に加えて、スライドドアも用意している。ただ、ミニバンなどで使われるシステムとは違い、開き戸と引き戸のメリットを組み合わせたグライドドアという構造を用いている。開発メンバーは「開閉の際のドアの動きは障子をあけるような所作を目指した」と語っている。

 パワートレーンはセンチュリー・セダンのHEVに対して、その先を行くPHEV。フロントはV6・3.5リッター+THSⅡ、リアはeアクスルを採用する電動4WDだ。システム出力は412ps。セダンの431psにわずかに劣るものの、高出力モーターによる応答性のよさと力強さはセダンを確実に上回るはず。EV走行距離は69km。これはセンチュリー・セダンの一日の平均走行距離から算出されたそうだ。

 シャシーは、重量増に対応したGA-K型プラットフォームをベースに、フロントは各部の構造強化を実施。リアはフロアクロスメンバーにラゲッジルームセパレーター骨格を結合、2種類の構造用接着剤の最適塗布などが行われている。なお、見た目は2BOX形状だが、ラゲッジルームセパレーター骨格により独立したトランクルームを備えた実質3BOX構造となっている。高い静粛性/快適性(リアコンフォート・ドライブモードも選択可能)はいわずもがな、走行性能に関してもAWDの駆動力制御やDRSの活用により非常に高いレベルだと予測する。

シャシー

並び ちなみにシン・センチュリーの生みの親である豊田章男氏は「セダンは、残念ながら 「センチュリーってあったよね⁉」と忘れ去られている状態です。このシンモデルにより、多くの方が「センチュリー、いいよね!!」といってくれるとうれしいです」と語っている。シン・センチュリーの価格は2500 万円、トップofトヨタの新たな選択肢が誕生した。

トヨタ・センチュリー主要諸元

 

イメージグレード=センチュリー
価格=2500万円
全長×全幅×全高=5205×1990×1805mm
ホイールベース=2950mm
前後席間距離=1220mm
車重=2580kg
パワートレーン=シリーズパラレルPHEV(3.5リッター・V6+モーター)
駆動方式=4WD(E-Four Advanced)
乗車定員=4名

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