トヨタが新型クラウンシリーズの第3弾となるセダンタイプを発売。「セダン再発見」を感じさせる、新スタイルでパーソナルにもビジネスにも使える新進のセダンを具現化。パワートレインは2.5Lマルチステージハイブリッドシステム(HEV)とMIRAI譲りのFCシステム(FCEV)を設定
トヨタ自動車は2023年11月2日、新型クラウンシリーズの第3弾となるセダンモデルのクラウンを発表し、本年11月13日に発売すると発表した。
車種展開および車両価格は以下の通り。
Z(FCEV):830万円
Z(HEV):730万円
2022年7月に市場デビューを果たしたクロスオーバーSUVのクラウン・クロスオーバー、本年10月に受注を開始したスポーツSUVのクラウン・スポーツに続く、16代目クラウンシリーズの第3弾となるセダンモデルの新型クラウンは、正統派セダンを再定義する新スタイルを構築して、パーソナルにもビジネスにも応える「ニューフォーマル」という新たな価値観に挑戦するとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献する新しいパワートレインを鋭意採用したことが特徴である。
まずエクステリアは、新時代クラウンのデザイン思想である“シンプル”を基盤に、「オーソドックスなセダンはつくりたくない」というデザイナーたちの思いのもと、ニューフォーマルセダンという新たな価値を創造。FRプラットフォームを生かした水平基調の伸びやかなプロポーションにより、かつてのセダンにはない伸びやかで美しいたたずまいを実現する。また、フロントマスクは鋭さとワイド感を強調する“ハンマーヘッド”と、縦基調のパターンを施した大型台形グリルの“アンダープライオリティ”、クラウン・クロスオーバー比で約16mmも薄い形状で仕立てた4眼LEDヘッドランプを組み合わせて、トヨタのフラッグシップとしての存在感を主張。一方でリアビューは、ワイド感を強調した横一文字のLEDコンビネーションランプや、LEDリアフォグランプを組み込んだ厚みのあるバンパーを装着して、印象的な後ろ姿を創出した。足もとには、新造形のハイパークロームメタリック塗装8J×19アルミホイール+235/55R19タイヤを標準で組み込む。また、より鋭く精悍なニューフォーマルへと変身させる「BLACK PACKAGE」を設定。装備面では、ブラックスパッタリング塗装8.5J×20アルミホイール+245/45ZR20タイヤや漆黒メッキ加飾のヘッドランプモール/ロアグリルモール/フェンダーガーニッシュ/ベルトモール/リアバンパーモール(標準仕様はサテンメッキ加飾)を配備した。ボディサイズは先代のセダンモデル比で120mm長く、90mm幅広く、25mm高く、ホイールベースが80mm長い、全長5030×全幅1890×全高1475mm ホイールベース3000mmに設定。ボディカラーはプレシャスホワイトパール/プレシャスメタル/プレシャスシルバー/プレシャスブロンズ/プレシャスブラックパール/マッシブグレーの6色をラインアップしている。
内包するインテリアは、大型の杢目調パネルを組み込み、インストルメントパネルから左右のドアに連続するレイアウトやコンソールが浮き出て見えるようにすることで、ディスプレイやシフトなどの各種機能をひとくくりにして島(アイランド)のように配置する“アイランドアーキテクチャー”を強調したことがトピック。落ち着きがありながら、広がりのある室内空間を創出する。また、おもてなしの心を込めた、日本ならではの光による演出を導入。インストルメントパネル左右や前席足元、リアドアトリム左右には全64色に色替え対応可能なLEDのマルチカラーイルミネーションを配して、行燈のような柔らかい灯りによる間接光によって室内に奥行きと心地よさを提供するようアレンジした。一方でシート表皮には、高品質なプレミアムナッパ本革を採用。また、運転席には除電スタビライジングプラスシートを、運転席・助手席・後左右席にはヒーター機構とベンチレーション機構を配備する。内装カラーについては、シックなブラックを標準で、ラグジュアリーなムードを高めるミッドブラウンをオプションで設定した。
装備面では、12.3インチHDディスプレイのディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plus、4つのテイスト(Casual/Smart/Tough/Sporty)と3つのレイアウトの中から好みに合わせて表示を変えられる12.3インチTFTカラーメーター+マルチインフォメーションディスプレイ(メーター照度コントロール付)、3つの表示モード(フル/スタンダード/ミニマム)を設けたカラーヘッドアップディスプレイ、マルチインフォメーションディスプレイ内の表示切替や運転支援系およびオーディオなどの操作をステアリングから手を離さずに行うことができるステアリングスイッチ、シフトポジションを電動で制御するエレクトロシフトマチック、車両後方カメラの映像をインナーミラー内のディスプレイに表示するデジタルインナーミラーなどの先進機構を設定。機能装備として、3席独立温度コントロールフルオートエアコン(オールオート機能付・S-FLOW:1席/前席集中モード付)やナノイーX、おくだけ充電(縦置き)、イルミネーテッドエントリーシステム(フロントパーソナルランプ・リアパーソナルランプ・インパネ左右・カーテシランプ・センターコンソール・前席足元・フロントカップホルダー・インサイドドアハンドル[フロント・リア]・リアドアトリム左右・後席足元)なども組み込んだ。
ショーファーニーズに対応させたことも訴求点。3000mmというロングホイールベースと頭上スペースの拡大により後席乗員のゆとりを増幅させるとともに、40:20:40分割リクライニング機構を内蔵したリアパワーシートや、座面内のエアブラダー(空気袋)を膨張させることで乗員の背中から大腿部までを押圧し、心身のリフレッシュに寄与するリフレッシュシート(後左右席)、オーディオをはじめエアコンやシート機能、リラクゼーション機能、サンシェードの操作などを指先で直感的に行えるリアマルチオペレーションパネル、乗降性を高めるシートバックアシストグリップやリアドアサポートグリップ、リクライニング使用していた後席(左右席)がドアオープンに連動して復帰する降車時リクライニングサポート機能、2段階の角度調整が可能で、使用しない時は畳んで王冠マーク付の専用収納袋に収納できる後左右席フットレスト、日差しを遮り後席の快適性を高める電動リアサンシェード&手動式リアドアサンシェード、そして頭部から首周りをクッションで心地よく支える王冠マーク刺繍入りのヘッドレストピロー(脱着式)などのおもてなし装備を設置する。また、ラゲッジルームは450リットルの容量を確保。合わせて、ハンズフリーパワートランクリッド(挟み込み防止機能付)を標準で採用した。
パワートレインに関しては、MIRAI譲りのFCシステム(FCEV=燃料電池車)と、新開発の2.5Lマルチステージハイブリッドシステム(HEV)を設定する。
多様なエネルギーから製造可能で地球環境やエネルギーセキュリティに貢献できる水素を燃料とするFCシステムは、FCB130型固形高分子形FCスタック(最高出力128kW)、車両トンネル下に1本、後方床下に2本配置した高圧水素タンク(充填圧力70MPa)、3KM型モーター(最高出力134kW/6940rpm、最大トルク300Nm/0~3267rpm)、リチウムイオン電池(容量4.0Ah)でシステムを構成して後輪を駆動。一充填走行距離(WLTCモード)は約820km、を実現している。
一方、2.5LマルチステージハイブリッドシステムはA25A-FXS型2487cc直列4気筒DOHC・D-4Sガソリンエンジン(最高出力185ps/6000rpm、最大トルク22.9kg・m/4200~5000rpm)に、2NM型モーター(最高出力132kW、最大トルク300Nm)、リチウムイオン電池(容量4.3 Ah)でシステムを構成して後輪を駆動。従来はエンジン最高出力を使用できる車速領域が約140km/hからだったが、新システムでは約43km/hから使用可能とする。WLTCモード燃費は18.0km/リットルを実現した。
なお、2つのパワートレインともにアクセサリーコンセント(AC100V・1500W/非常時給電システム付/センターコンソール後部1個・ラゲッジルーム右側1個)を装備。走行中だけでなく、非常時給電システムとして車両が停止した状態でも給電を可能とする。また、FCEVには外部給電器の接続により大出力の電力を住宅や電気製品に供給できる外部給電アウトレットを採用した。
基本骨格については、デザインとパフォーマンスの理想の形を叶えるために、その基礎となるTNGAプラットフォームのクオリティを徹底追求する。具体的には、高剛性化、軽量化、低振動化を果たす目的で、結合剛性を高める「レーザースクリューウェルディング(LSW)」や構造用接着剤の接着範囲拡大、そして主要骨格部材にアルミ材や超高張力鋼板(ホットスタンプ材)を採用することで、剛性強化と軽量化を両立。ボディのねじれ現象を抑制するなど、ドライバーのステアリング操作にクルマが素直に応える走りを実現する。また、フロアには微振動を低減させる高減衰接着剤を使用することで、走行時の低振動化を達成。さらに、リアねじり剛性も確保することで、ショーファーカーにふさわしい後席の乗り心地を成し遂げた。一方でシャシーに関しては、ショーファーカーにふさわしい上質な乗り心地と操縦安定性を高い次元で両立させるために、ハイマウントマルチリンク式(フロント)とローマウントマルチリンク式(リア)の各サスペンションを入念にチューニング。路面の細かな凹凸を足回りが滑らかにいなし、走り始めから揺れが伝わりにくい乗り味を実現する。さらに、ショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVSを配し、様々な走行シーンで高いパフォーマンスを発揮するようセッティングした。
最先端の先進安全運転支援システムとコネクテッドシステムを採用した点も見逃せない。
先進安全運転支援システムとしては、2種類のセンサーで高い認識性能と信頼性を実現した最新のToyota Safety Sense(トヨタセーフティセンス)を標準装備。先行車やカーブに対しての減速支援とステアリングの支援を行う、プロアクティブドライビングアシスト(PDA)も組み込む。また、渋滞時の安全運転を支援する「アドバンスト ドライブ(渋滞時支援)」や様々な駐車シーンでスムースな入庫・出庫を自動で行いリモート操作も可能な「アドバンスト パーク(リモート機能付)」など、安心・便利な先進機能を組み込んだ高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」も設定した。一方でコネクテッドシステムに関しては、スマホアプリ「moviLink」を介して普段利用するスケジュールアプリとクルマが連携するスケジューラ連携、スマホとつなげることでこれまでのナビに加えて色々なサービスが楽しめるディスプレイオーディオおよびコネクティッドナビ、スマートフォンアプリ「My TOYOTA+」を使って離れた場所からクルマの状況がわかるマイカーサーチ、同じく「My TOYOTA+」の操作で離れた場所からクルマのエアコンを起動できるリモートスタート、スマートキーなどでドライバーを認識して次回乗車時に同じ設定で利用できるマイセッティング、スマートフォンがクルマのキーとなる専用アプリのデジタルキーなどを用意している。