ボクのシビックのイメージは、先進的でスタイリッシュでスポーティ、といったところが核になる。ボディタイプは3ドアHBが、つねに中心に位置し続けてきた。今回3ドアHBがラインアップから消えたのはちょっとショックだった。でも代わりに、新鮮で、いかにもホンダらしい5ドアHBがデビューした。
7代目シビックは、角度によってはセミノッチ的にも見えるリアエンドを持つHBだ。ボクの目には魅力的なルックスに映る。最近ルーフの高いクルマが多くなっている中で、シビックのプロポーションはとても新鮮に感じる。
ダッシュボード回りはシンプルで、きれいに仕上がっている。ATのセレクターも同様である。注目はフラットなフロアを持っていること。乗用車としてごく普通の全高の中で、フラットなフロアを生み出したパッケージングは魔法のように思えてしまう。キャビンは実質的にも感覚的にも広い。
試乗車はiEだ。1.5リッターのリーンバーン・エンジンとCVTを組み合わせたモデルだ。出足のスムーズさには合格点がつく。加えて、出足のパンチ力もある。なかなかいい仕上がりだと思う。CVTはどんどんよくなっている。少なくとも日常領域の加速ならレスポンスはいい。上り勾配でも、流れに乗って走るような領域なら同様に違和感はない。気持ちよく、滑らかに走ってくれる。
静粛性にも十分合格点が付く。エンジン音も、風音も、とくに目立ったピークもないし、淡々と上昇していく。乗り心地は良路はいいが、段差や突起などでのリアの突き上げ感は少し強めだ。できれば高速でのフラット感はもう少しほしい。ハンドリングは素直。ブレーキの利きはOKだった。
(岡崎宏司/2000年11月10日号)
2000年9月にデビューした7代目は「We Can Change「を掲げ大胆にイメージチェンジ。主力となるHBモデルは、「未来を包み込んだヒューマン・パッケージ」を謳い広い居住スペースを実現し、ボディタイプは3ドアから5ドアに変更された。HBは欧州仕様と共通設計。北米仕様と共通だったセダンのフェリオとは、スタイリングイメージが大きく異なっていた。ちなみに欧州向けには3ドアHBもあり、こちらは2001年にイギリス工場製のタイプRが日本に輸入された。
5ドアHBのエンジンは1.5リッター(105ps/115ps)と1.7リッター(130ps)の2種。トランスミッションは上級グレードがCVT(ホンダマルチマチックS)、中間グレード以下と4WDは4速ATが組み合わされた。7代目シビックが登場した2000年前後は、ミニバンがファミリーカーの新たな主流として注目を浴びていた。その中でコンパクトサイズながら、ミニバンと同等のルーミーな室内を追求したシビックの先進性は光った。とくにマフラーのレイアウトにまでこだわって実現した完全フラットなフロアは高い評価を受けた。スポーティな味わいは希薄だが、スマートな存在だった。
【出来事】高齢者に介護サービスを提供する介護保険制度がスタート/ヤフーの株価が国内の上場株で史上最高値となる1億6790万円/日本初のネット専業銀行『ジャパンネット銀行』が発足/シドニー五輪で柔道の田村亮子と女子マラソンの高橋尚子が金メダル獲得【音楽】オリコンシングル年間1位サザンオールスターズ『TSUNAMI』/『TSUNAMI』の売上は293.6万枚を記録(当時の売上1位)【映画】邦画配給収入1位『劇場版ポケットモンスター/結晶塔の帝王 エンテイ』、洋画興行成績1位『M:Ⅰ-2』
グレード=シビックiE
新車時価格=CVT 154万8000円
全長×全幅×全高=4285×1695×1495mm
車重=1170kg
エンジン=1493cc直4OHC16V・VTECリーンバーン(105ps/14.2kgm)
サスペンション=前ストラット/後ダブルウィッシュボーン