【ボクらの時代録】2015年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。マツダ・ロードスター ( ND型)の軽くナチュラルな人馬一体感

メイン軽量コンパクトを徹底。原点回帰したピュアオープン

 4代目ロードスターに一般道で試乗した。試乗車は990kgと軽量に仕上がったSグレード(6速MT)。LSDやリアのスタビライザー、トンネルブレースバーなど「走り」にこだわったアイテムが未装備の、最もシンプルなロードスターである。

 街乗りシーンでの扱いは、非常にイージーといえる。131ps/15.3kgmを発生する1.5リッターユニットは、アイドリング付近でクラッチをミートしてもトルクは太く、日常の緩加速シーンでは、1速→3速→5速→6速という「飛ばしシフト」も受け付けてくれる。スポーツパフォーマンスが優れているだけでなく、リラックスした走行シーンでの適応力も高い。

イベント室内 ワインディング路限定で試乗したときは、意外にしなやかと感じた乗り味は、低速域でとくに固いという印象はないものの、都市高速をそれなりのペースで走りはじめると、継ぎ目などで上下Gが思いのほか大きい。「このまま横浜から大阪や広島まで長距離ドライブしてほしい」といわれたら、ちょっとつらいかな……と思った。

 ちなみにトップを閉じた状態での静粛性は、十分に納得できるレベル。日常的な速度域ではうるさい印象はない。ただし90km/hくらいから「後方からの騒音」が気になりはじめた。ソフトトップの遮音性が高まれば、高速クルージング時の快適性は、いちだんと高まるだろう。

スタイルデザイン ロードスターはワインディングロードで痛快な走りが堪能でき、街中でも軽快な走り味が楽しめる。手動式トップの開閉性は抜群に優れているし、トランクスペースも使いやすい容量が確保されている。新型の「エブリデイスポーツカー」としてのポテンシャルは、非常に高い。
(河村康彦/2015年5月号)

4代目マツダ・ロードスター・プロフィール

 4代目のロードスターは「原点回帰」。あらためてライトウェイトFRスポーツの魅力を追求した意欲作である。サイズの見直しとボディに使用する高張力鋼板の使用比率を従来の58%から71%に拡大するなどして、軽量化を徹底。ベーシックモデルのSグレードは初代NA型と同等の990kgを達成した。初代にはなかった各種安全装備と快適装備を標準化したうえで軽く仕上げた点は見事といえた。

シフトシャシー 軽さは「人馬一体」の伝統の乗り味にいっそう磨きをかけた。世界的に見てもロードスターほど軽やかにワインディングロードを舞い、日常域から走りの素晴らしさを語りかけるスポーツカーはない。パワーユニットはスカイアクティブ技術を投入した1.5リッターに変更。トランスミッションはシフトタッチの素晴らしい6速MTと、シンクロレブコントロールなどでスポーツ性を高めた6速ATの2種。4代目は美しくダイナミックなスタイリングもあり、多くのスポーツ派ドライバーから注目を集める。幅広い年齢層から愛されるリアルスポーツの代表である。2016年11月には電動リトラクタブルHT仕様のRFを追加。RFは2リッターを搭載。個性的なルーフ形状とともに、走りの余裕を強調した点が個性だった。

幌2015年の時代録/マイナンバー制度スタート

【出来事】マイナンバー制度がスタート/郵政3社が株式を新規上場、時価総額は計15兆3960億円という大規模ぶりが話題に/訪日外国人が1973万人に増大、大量に買い物をする「爆買い」が流行語に/又吉直樹の小説『火花』が芥川賞を受賞/Apple Watch発売/ラグビーW杯イングランド大会で南アフリカに勝利/【音楽】ビルボードシングル年間1位三代目 J Soul Brothers from exile tribe『R.Y.U.S.E.I.』【映画】邦画配給収入1位『バケモノの子』洋画興行成績1位『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

2015年マツダ・ロードスター主要諸元

グレード=ロードスターSスペシャルパッケージ(MT)
新車時価格=6MT  270万円
全長×全幅×全高=3915×1735×1235mm
車重=1010kg
エンジン=1496cc直4DOHC16V(131ps/15.3kgm)
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後マルチリンク

表紙

 

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